閉めたはずの冷蔵庫が開けっ放しになっていて焦った経験がある人も多いのではないでしょうか。また、食材がなかなか見つからず、冷蔵庫を開けたまま探すこともよくある話です。
このように冷蔵庫を長い間開けっ放しにした場合、電気代や食材への影響はあるのでしょうか。そこで今回は、電気代や食材への影響、故障する可能性などを解説します。また、電気代の節約につながる冷蔵庫の使い方もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
冷蔵庫の一般的な電気代と開けっ放しにしたときの電気代
冷蔵庫を開けっ放しにするとどの程度の電気代がかかるのでしょうか。ここでは、冷蔵庫の一般的な電気代と開けっ放しにしたときの電気代を解説します。
冷蔵庫の一般的な電気代
冷蔵庫の電気代は、冷蔵庫本体や取扱説明書などに記された「年間消費電力」を踏まえて計算すると大まかな金額を算出できます。計算方法は以下の通りです。
「1年間の電気代=年間消費電力量(kWh)×1kWhあたりの電気料金単価(円/kWh)」
「1ヶ月の電気代=1年間の電気代÷12ヶ月」
以下の表では、冷蔵庫の1ヶ月・年間における電気代の目安を定格内容積別にまとめました。
定格内容積 | 年間消費電力量 | 1ヶ月の電気代 | 1年間の電気代 |
---|---|---|---|
201~250L | 312kWh | 約806円 | 9,672円 |
301~350L | 337kWh | 約870円 | 10,447円 |
401~450L | 287kWh | 約741円 | 8,897円 |
501L以上 | 278kWh | 約718円 | 8,618円 |
電気料金の単価は31円/kWhと仮定しています。この金額は、電力会社による電力料金の改定を受けて全国家庭電気製品公正取引協議会が決めた目安単価です。現在の単価は、令和4年7月22日に改定されたものとなります。
参考:公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会|よくある質問 Q&A
また、定格内容積ごとの消費電力量については、経済産業省資源エネルギー庁が発行した「省エネ性能カタログ2023年版」にある2022年の調査データを参考にしています。
参考:経済産業省資源エネルギー庁|省エネ性能カタログ2023年版
上記の表で示したように、冷蔵庫は大型になるほど電気代を節約できる傾向にあります。なお、冷蔵庫の容量は一人暮らしの場合150L前後で、二人暮らしだと300L前後、3~4人家族では400L前後、5人家族では500L以上が一般的です。
冷蔵庫を開けっ放しにしたときの電気代
冷蔵庫の多くは、扉を開けるとコンプレッサーが止まる仕組みになっています。そのため、万が一開けっ放しにしても電気代が高額になることはありません。
しかし、中には扉を開けてもコンプレッサーが稼働したままの冷蔵庫もあります。この場合は「1時間の電気料金単価×開けっ放しにした時間」で電気代の算出が可能です。
例えば消費電力300kWhの冷蔵庫の場合、1時間の電気料金単価は以下の金額となります。
300kWh×31円/kWh=9,300円(1年間の電気代)
9,300円÷12ヶ月÷30日=約25.8円(1日の電気代)
25.8円÷24時間=約1.07円(1時間の電気代)
上記で示したように数時間または1日中開けっ放しにしてしまっても、電気代にはさほど影響がありません。
電気代の節約につながる冷蔵庫の省エネ技術
従来の家電と比べて、近年の家電は性能が高くなっています。冷蔵庫も例外ではなく、より性能が高いタイプを選ぶことで電気代を抑えられるでしょう。ここでは、電気代の節約につながる冷蔵庫の省エネ技術を解説します。
インバーター制御機能
冷蔵庫の省エネ機能の一つが「インバーター制御機能」です。インバーターとは電圧や周波数を変換し、コンプレッサーの回転数を効率よく調整する仕組みを指します。
従来の冷蔵庫は、定速コンプレッサーが使用されており「運転」と「停止」のみだったため、運転時は常にフルパワーで電力を消費していました。一方でインバーター制御機能が搭載された冷蔵庫は、庫内の温度や扉の開閉状況に合わせて回転数を制御できるため、省エネ効果が期待できます。近年リリースされている冷蔵庫は、こうした機能が搭載されているケースがほとんどです。
自動節電機能
「自動節電機能」は自動省エネ運転とも呼ばれ、扉をあまり開閉しないときや庫内の温度が変わらないときに、消費電力をセーブしながら稼働する仕組みです。例えば、外出時や就寝中のように冷蔵庫の扉を開閉しない場合には、自動的に節電運転に切り替わります。
ほかにも扉を長く開けたままにするとアラームが鳴ったり、庫内の照明を減光したりして開けっ放しを防止する機能が施された冷蔵庫もあります。
断熱材
冷蔵庫には、庫内の冷気が逃げたり外からの熱が入り込んだりするのを防ぐために断熱材が使用されています。近年は断熱材の性能が上がり、より高い断熱効果が得られるようになりました。例えば、ノンフロン発泡断熱材やノンフロン真空断熱材などが挙げられます。
これらの断熱材が採用された冷蔵庫は、従来のタイプより庫内の冷気が逃げにくく、コンプレッサーの稼働頻度が下がるため省エネが期待できます。
冷蔵庫・冷凍庫を開けっ放しにした場合の悪影響
冷蔵庫や冷凍庫を開けっ放しにすると、電気代はさほど気にならないものの、食材や冷蔵庫本体に悪影響が及ぶ可能性があります。ここでは、冷蔵庫や冷凍庫を開けっ放しにした場合の影響について解説します。
食中毒になる恐れがある
いくら高性能な断熱材が採用された冷蔵庫でも、扉を開けたままにすると冷却機能が自動的に停止するため庫内の温度が上がります。特に冷凍庫は開けっ放しにした場合の温度差が激しく、保管している食材が半解凍状態になりかねません。
要冷蔵や要冷凍の食材は、温度が上昇した庫内に保管しておくと鮮度が落ちます。すぐに気づいて扉を閉めれば腐る可能性は低いですが、時間が経った場合は食中毒を引き起こす恐れもあるでしょう。
また、半解凍になった食材を再度凍らせると風味が落ちることも考えられます。長く開けっ放しにした冷凍庫は温度が戻るまでに時間がかかる点も注意が必要です。
庫内が水浸しになる
冷蔵庫を開けっ放しにして冷却機能が停止した状態が続くと、外気が入り込み結露するため、庫内に水滴や霜がつく可能性があります。さらに、長時間開けたままにすれば庫内が水浸しになることも考えられるでしょう。
冷蔵庫の庫内についた水滴を放置するとカビの原因になるほか、水滴が凍りついて霜になると冷却効率が悪くなります。万が一、冷蔵庫を開けっ放しにしてしまったら、庫内を清潔に保ち、冷却効率を下げないためにも早急に水滴や霜を除去することが大切です。
故障の原因になる
冷蔵庫を開けっ放しにしてたまった水滴や霜を放置すると、コンプレッサーに水が侵入する可能性があります。コンプレッサーは冷却に不可欠な装置ですが、水が多く入り込めば壊れるリスクが高まるため注意が必要です。
また、コンプレッサーに霜がつくと冷却機能が低下します。故障まで至らなくても冷却機能が下がれば冷蔵庫の性能が悪くなり、電気代が上がることも考えられるでしょう。
なお、冷蔵庫の寿命については、以下の記事で詳しく解説しています。
冷蔵庫の電気代を節約するコツ
冷蔵庫の電気代を節約するには、使い方や設置方法にも留意することが大切です。ここでは、4つのコツを解説します。
ドアの開閉回数を減らす
冷蔵庫のドアを頻繁に開閉すると、冷気が外部に逃げ出します。その都度、庫内の温度が上昇し、元の温度まで冷やすのに余計な電気代がかかるため注意が必要です。
冷蔵庫内の食材を取り出す際は、できるだけ速やかに開閉しましょう。普段から庫内を整理整頓しておくと、不必要に開けっ放しにしなくても済みます。また、食材を出す前に何が必要かを考えてからドアを開けるように心がけることも大切です。
季節や使用状況に合わせて温度設定を調整する
多くの冷蔵庫には、庫内の温度を「弱」「中」「強」「ECOモード」などに調整する機能がついています。なお、最も消費電力を抑えられる設定は「弱」や「ECOモード」です。電気代が気になるときは設定を変更してみるとよいでしょう。
ただし、消費電力が低い設定は思うように冷えない可能性があります。特に夏場は庫内の温度が上がりやすく、食材が傷む危険性があるため「弱」は避けた方が賢明です。温度設定をする場合、夏は「強」で冬は「弱」など季節や気温に合わせて調節するように心がけましょう。
設置場所を考慮する
冷蔵庫には「放熱板」という部品がついており、庫内から集めた熱を放っています。そのため、冷蔵庫の設置場所を決める際は放熱スペースも考慮しなければなりません。放熱スペースが少ないと熱がこもりやすくなり、余計な消費電力がかかるため注意しましょう。
従来の冷蔵庫は背面に放熱板が備えられているケースが多く、背面と壁を離して設置する必要がありました。しかし、近年はその限りではなく、上部や側面に放熱板が設けられた冷蔵庫も増えています。電気代を節約したい場合は、事前に取扱説明書を確認した上で適切なスペースを確保するようにしましょう。
食材の入れすぎに注意する
電気代を節約するには、冷蔵庫内に保存する食材の量にも注意しましょう。庫内一杯に食材を詰め込むと冷気が循環しにくくなるため、冷却効率が下がり電気代の上昇につながります。また、食材を見つける際に時間がかかってしまい、扉を開けっ放しにしやすいです。
そのため、冷蔵庫内に食材を入れる際は半分から7割程度を目安にすることをおすすめします。
節電につながる冷蔵庫の選び方
冷蔵庫の節電を考えるなら、使い方や設置方法だけでなく冷蔵庫本体の選び方にも留意することが大切です。続いては、節電につながる冷蔵庫の選び方を解説します。
省エネ性マークを確認する
冷蔵庫を選ぶ際は、省エネ性マークがあるかどうかを確認しましょう。省エネ性マークとは、いわゆる「省エネ性能」と呼ばれるエネルギー消費効率を数値で評価した環境ラベルです。
経済産業省資源エネルギー庁が定めた「省エネ法」という法律では、家電などの省エネ基準が設けられています。これを「トップランナー制度」といい、省エネ性マークで達成度合いを表示することで消費者がより性能の高い製品を選びやすくなります。その結果、省エネのさらなる促進につなげることが可能です。
省エネ基準を達成した家電には、緑色の省エネ性マークが貼られています。さらに5段階の星評価が設けられており、5に近いほど省エネ性能が高い製品といえます。
観音開きのタイプを選ぶ
冷蔵庫の扉は「片開き」「両開き」「観音開き」の3タイプがあります。このうち、観音開きは「フレンチドア」とも呼ばれ、真ん中から左右両方に開くことが可能です。つまり、必要な食材がある側のドアだけを開けられるため、開口部を最小限に抑えられます。その結果、庫内の冷気が逃げにくく節電につなげやすい点が魅力です。
奥行きスリムタイプを選ぶ
冷蔵庫にはさまざまな形状があり、中でも奥行きが短い「奥行きスリムタイプ」は節電につながります。容量を確保するために奥行きが抑えられている分、横幅が広いのがこのタイプの特徴です。
奥行きが深い冷蔵庫は庫内の奥にある食材が取りにくく、どうしても開閉時間が長くなります。一方で奥行きスリムタイプであれば奥の食材にも手が届くため、開閉時間が短縮されて電気代の節約が可能です。
なお、冷蔵庫の選び方については以下の記事でも詳しく解説しています。
冷蔵庫は、家電量販店だけでなく通販サイトやフリマアプリ、リユースショップ・リサイクルショップなどでも購入可能です。購入先によってメリットやデメリットが異なるため、事前に特徴を把握しておくとよいでしょう。
新しい冷蔵庫を購入する場合、これまで使っていた冷蔵庫を売却するのがおすすめです。以下の記事では売却方法や高く売るためのコツなどを解説しています。
まとめ
冷蔵庫を開けっ放しにした場合、電気代がいくらになるのかが気になる人は多いでしょう。一般的な冷蔵庫は扉を開けると冷却機能が止まるため、それほど電気代への影響を心配する必要はありません。
しかし、冷蔵庫の故障や食材の腐敗など、別の問題が発生する点に注意が必要です。効率的に庫内を冷やすためにも冷蔵庫の開けっ放しは避け、できるだけ速やかに開閉するように心がけましょう。
また、冷蔵庫の使い方や設置方法にも留意して、より省エネにつながるように意識することも大切です。近年は、省エネ性能の高い製品も多数販売されているため、買い替えを検討してもよいでしょう。
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