従来のプロジェクターは、ビジネスシーンで使用されるケースが多いアイテムでした。しかし、近年は安価でコンパクトなプロジェクターが販売されており、一般家庭でも求めやすくなっています。自宅で映画や動画を楽しむために、購入を検討している人も多いのではないでしょうか。
しかし、実際に使用するとなると、電気代について気になる人が多いでしょう。今回は、プロジェクターの電気代やテレビとの消費電力との違いについて解説します。
プロジェクターの電気代はいくらかかる?
まずは、プロジェクターの電気代がいくらかかるのかを紹介します。
プロジェクターの電気代の計算方法
プロジェクターの電気代は、「1時間あたりの消費電力(kW)×使用時間(時間)×料金単価(円/kWh)」で算出できます。
2024年現在、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が制定している電気料金の目安単価は、31円/kWh(税込)です。
引用:公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会
https://www.eftc.or.jp/qa/
仮に消費電力が180Wのプロジェクターを1時間使用した場合、電気代は以下の計算式で求められます。
(180W÷1,000)×1時間×31円/kWh=5.58円
プロジェクターの消費電力は、取扱説明書やメーカーのウェブサイトで確認できます。料金単価は、地域や契約している電気会社、料金プランによっても異なるため注意してください。
プロジェクターの電気代は消費電力によって異なる
プロジェクターの消費電力量は、投影方式や性能によって異なり、消費される電力量が大きいほど、電気代は高くなります。
たとえば、消費電力が150Wのプロジェクターを2時間使用した場合、電気代は以下の金額となります。
(150W÷1,000)×2時間×31円=9.3円
一方で、消費電力が300Wのプロジェクターを2時間使用した場合、電気代は以下の通りです。
(300W÷1,000)×2時間×31円=18.6円
上記の計算式のように、消費電力が2倍になれば、電気代も比例して倍になります。そのため、プロジェクターの電気代をできるだけ抑えたい人は、消費電力が低いプロジェクターを選ぶことが大切です。
プロジェクターの電気代は投影方式と解像度によって異なる
前項では、プロジェクターの電気代は消費電力量によって変化することがわかりました。次に、解像度と投影方式の消費電力量の違いについて解説します。
プロジェクターの解像度と消費電力は比例する
解像度とは、画像の細かさを示す数値です。プロジェクターは、小さな点の集まりを投影して映像を表示するため、点の数が多いほど画質が滑らかになります。
プロジェクターの解像度は、「フルHD(1920×1080)」「WXGA(1280×800)」「4K(3840×2160)」といった数値で示され、 解像度が高いほうがきめ細やかで色鮮やかな映像を楽しめます。
解像度が低いと、小さな文字や映像の細かい部分が見えにくくなるため、高画質の映像を求める場合は、解像度が高い機種を選びましょう。
ただし、解像度が上がるとその分、投影に必要な消費電力が増えます。それに伴い、電気代も高くなるため、費用と解像度のバランスを考慮して選びましょう。
プロジェクターの投影方式による消費電力の違い
プロジェクターは、大きく分けて「液晶方式(DLP)」「透過型液晶方式(LCD)」「反射画型液晶方式(LCOS)」の3つの投影方式があります。投影方式による消費電力量の違いは、下記を目安にしてください。
投影方式の種類 | 平均消費電力量 |
液晶方式(DLP) | 200W~300W |
透過型液晶方式(LCD) | 200W~400W |
反射画型液晶方式(LCOS) | 300W~500W |
「液晶方式(DLP)」は、デジタルマイクロミラーという極小サイズの鏡を敷き詰めたチップを用いて、鏡の反射で映像を映す仕組みです。映画館の映写機などにも用いられており、小型で軽量なため家庭用のプロジェクターとして多く使用されています。
一方で、「透過型液晶方式(LCD)」は、液晶パネルを通過する光を抑制して映像を作る仕組みです。明るく色彩のきれいな映像が投影されます。消費電力は、「液晶方式(DLP)」と同程度ですが、使用している部品が安価なので、本体価格は「液晶方式(DLP)」のほうがリーズナブルな傾向があります。
「反射画型液晶方式(LCOS)」は、反射型液晶パネルを用いて、光を反射させて映像を作る仕組みです。基本的な仕組みは「透過型液晶方式(LCD)」と変わりませんが、より複雑な構造になっており高解像度で、精密な色彩を投影できます。しかし、消費電力も多く、ほかの投影方式と比べると電気代が高くなります。
プロジェクターのメーカー別で消費電力と電気代を比較
次に、プロジェクターの人気メーカー別に消費電力と電気代の違いを比較してみてみましょう。
〈EPSON エプソン〉
エプソンのプロジェクターは、豊富なラインナップを取り揃えており、使用用途に合わせて選びやすい点が特徴です。
たとえば、自宅のみで使用する人は、「透過型液晶方式(3LCD)」を採用した「ホームプロジェクター EF-11」がおすすめです。片手でも持ち運べるコンパクトなサイズ感でありながら、フルHDの高画質で補正機能も充実しており、三脚に取り付ければ360度設置できます。消費電力は102Wで、1時間あたりの電気代は3.162円です。
また、ビジネスシーンでプロジェクターを使いたい人には、「ベーシックシリーズEB-FH52」がおすすめです。こちらも投影方式は「透過型液晶方式(3LCD)」です。明るい部屋でも鮮明に映像が映るため、室内を暗くできない場合でも活躍します。消費電力は345Wで、1時間あたりの電気代は10.695円です。
〈Sony ソニー〉
ソニーでは、「VPL-XW7000」と「VPL-XW5000」の2つのプロジェクターを取り扱っています。いずれも投影方式は、「透過型液晶方式(3LCD)」ですが、ソニー独自の技術によって高解像度、高輝度、高コントラスト、高色・色調再現を実現しており、没入感を味わえます。また、解像度は両モデルともに24,883,200画素(8,294,400×3)と高く、4Kにも対応しています。
「VPL-XW7000」の消費電力は約420Wで、1時間あたりの電気代は13.02円です。「VPL-XW5000」の消費電力は、約295Wで、1時間あたりの電気代は9.145円となっています。
〈Anker アンカー〉
アンカーでは、「Nebula(ネビュラ)」というプロジェクターブランドを展開しています。複数のモデルがあり、どれもコンパクトなサイズで持ち運びしやすい点が魅力です。
なかでも、「Nebula Astro(ネビュラ アストロ)」というモデルは、重さがわずか約380gです。解像度は854×480画素(480p)と低めであるため、画質にこだわりがあまりない人におすすめします。消費電力は3Wと少なく、1時間あたりの電気代は0.093円です。
また、高解像度のプロジェクターをお求めの人は、「Nebula Capsule 3(ネビュラ カプセル スリー)」がおすすめです。世界初となるGoogleTV搭載で、より快適に美しい映像を楽しめます。消費電力は8Wで、1時間あたりの電気代は0.248円です。
〈Aladdin アラジン〉
アラジンは、コンパクトなデザインと高い性能を兼ね備えた「Aladdin Marca(アラジン マルカ)」や「Aladdin X2 Plus(アラジン エックスツー プラス)」など、限られたスペースでも高品質な映像を楽しめるプロジェクターを展開しています。
「Aladdin Marca(アラジン マルカ)」は、「液晶方式(DLP)」を採用した超単焦点モデルで、壁から24cmの距離でも100インチの大画面が楽しめます。フルHDにも対応しており、高画質の映像を快適に鑑賞できます。消費電力は180Wで、1時間あたりの電気代は5.58円です。
「Aladdin X2 Plus(アラジン エックスツー プラス)」は、アラジンのプロジェクターにおけるハイエンドモデルで、より臨場感のある映像を実現しています。天井のシーリングに取り付けられるタイプで、電源ケーブルは不要です。取り付け工事の必要もなく、購入後すぐにフルHDの映像を楽しめます。投影方式は、「Aladdin Marca(アラジン マルカ)」と同じ「液晶方式(DLP)」です。消費電力は160Wで、1時間あたりの電気代は4.96円となります。
プロジェクターとテレビの電気代はどっちが安い?
プロジェクターとテレビでは、どちらの電気代が安いのか気になる人も多いでしょう。
テレビの消費電力は、プロジェクターと同様に種類やサイズ、解像度によって異なります。たとえば、同じフルHDのテレビでも、24型の消費電力は38W程度ですが、40型になると67Wまで増えます。4Kのテレビの場合は、43型で116W、65型で188W程度です。
一方で、プロジェクターの消費電力は、フルHDで135W、4Kで180Wほど消費するため、テレビよりも消費電力量が多い傾向にあります。ただし、テレビ、プロジェクターともに製品によって消費電力が異なり一律ではありません。そのため、消費電力が少ないプロジェクターを選べば、テレビよりも電気代を抑えられる可能性があります。
また、プロジェクターをテレビ代わりに使用する際は、光源にも注意することが大切です。
プロジェクターで使用されている光源には、水銀ランプとLEDランプ、レーザーランプがあります。これらの違いは、交換できるか否かと寿命の長さにあります。
水銀ランプは交換可能ですが、LEDランプ、レーザーランプは途中交換ができません。ランプの故障などのトラブルが発生した場合、交換ができないため、プロジェクター本体ごと修理に出すか買い替えになります。
しかし、水銀ランプは途中交換ができるため、修理や買い替えなどの心配がありません。
寿命の長さにおいては、LEDランプ、レーザーランプは、寿命が長く18年程度使用できるものもあります。一方で、水銀ランプの寿命は約4.5~9年程度と短く、消費電力もLEDランプ、レーザーランプよりも多めです。しかし、交換ができるので本体を長持ちさせるのに役立ちます。
それぞれの光源の特徴をよく理解したうえで、最適なものを選んでみてください。
テレビの電気代については以下の記事でも詳しく解説しています。
プロジェクターの電気代を節約する方法
プロジェクターの購入を検討しているが、電気代がネックになっている人は多いと思います。ここでは、プロジェクターの電気代を節約する4つのコツを解説します。
プロジェクターをつけっぱなしにしない
プロジェクターには一般的に「スタンバイ機能」が備わっています。これにより、電源を切らずに画面を暗くできるため、使用するたびに起動させる手間がかかりません。
しかし、スタンバイ機能は、主電源が入っていることに変わりはありません。映像が流れていなくても電力は待機電力として消費し続けます。節電のためにもプロジェクターを使用した後は、つけっぱなしにせず電源を切ることが大切です。
省エネ機能を活用する
プロジェクターによっては、スタンバイ中に消費電力を抑えるエコモードや自動電源オフなど、省エネ機能が搭載されたモデルもあります。
そのほか、部屋の明るさや映像に合わせて光源が自動的に調整される機能もあり、節約に役立ちます。
省エネ機能が搭載されたプロジェクターは、長期的な電気代の節約に役立つため、お得感を感じられるでしょう。
消費電力が少ないプロジェクターに買い替える
使用中のプロジェクターの電気代が気になっている人は、消費電力が少ないモデルの買い替えを検討することをおすすめします。
たとえば、プロジェクターを使うシーンが限られているという人は、持ち運びできるコンパクトなサイズのプロジェクターに買い替えをおすすめします。据え置き型よりも解像度や輝度が落ちますが、消費電力が少なく節電効果が期待できます。本体価格もリーズナブルな点も魅力です。
また、型式の古いモデルを使用している人は、省エネモードが備わっていないケースが多く、買い替えたほうが電気代を節約できることもあります。本体を購入する費用はかかりますが、長期的に見るとコスト削減につながります。
電力会社や料金プランを見直す
プロジェクターに限らず、電気代は、契約している電力会社や料金プランも影響します。
従来は、各エリアの電力会社が電気の供給をおこなっていましたが、2016年4月に施行された電力の小売全面自由化により、一般家庭でも自由に電気会社を選択できるようになりました。
現在は、多くの企業が電気の小売業に参入しており、提供する電気料金もさまざまです。電力会社によっては、ガス代やインターネットサービスとの組み合わせでセット割が適用される場合もあるため、ライフスタイルに合わせて電力会社を見直せば電気代の節約が可能です。複数社の料金プランを比較してみることをおすすめします。
まとめ
近年、テレビの代わりにプロジェクターを使う家庭が増えています。しかし、日常的に使用するとなれば、電気代がどのくらいかかるのか気になるトピックといえるでしょう。
プロジェクターの電気代は、投影方式や解像度などによって異なるため、購入する際はその点を加味しながら選ぶことをおすすめします。さらに、省エネモードの有無も電気代を左右するため、機能の確認も大切です。
また、古い型式のプロジェクターを使用している人は、節電機能が充実した最新機種に買い替えたほうが電気代を抑えられる可能性があります。
買い替え時のコストを抑えるには、リユースショップ・リサイクルショップの利用がおすすめです。リユース品でも、タイミング次第では新品に近いものに出会えることもあります。
全国に850店舗を超える実店舗とオンラインストアを運営する〈2nd STREET セカンドストリート〉では、人気メーカーのプロジェクターを多く取り揃えています。新品よりもリーズナブルな価格で購入できるので、買い替えを検討中の人にもおすすめです。
また、不要になったプロジェクターの処分でお困りの際は、セカンドストリートにご相談ください。新しいモデルは買取価格が高くなる傾向があるため、早めに買取に出すことをおすすめします。