圧力鍋は、時短調理や旨味を凝縮させた料理に役立つ調理器具です。メリットが多いものの通常の鍋とは異なるため、使い方が分からないという人も少なくありません。また、安全面が気になるという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は圧力鍋の使い方について、メリットや注意点を踏まえて解説します。これから圧力鍋の購入を検討している人や使い方が知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
圧力鍋とは?電気圧力鍋との違いを解説
一見すると使い方が難しそうな圧力鍋ですが、実は初心者でも簡単に時短調理ができる調理器具です。まずは、圧力鍋の概要や電気圧力鍋との違いを解説します。
圧力鍋とは?何ができるの?
圧力鍋は、名称の通り圧力を活用した調理器具です。1気圧の状況において水は100度で沸騰しますが、圧力鍋の内部は1気圧以上になっているため、水の沸点が上がります。
圧力が高い状態では水の温度が110~120度になるため、通常の鍋より高い温度で調理をすることが可能です。さらに、冷めにくい素材で製造されており、100度を超える高温を維持できます。
圧力鍋を活用すると、完成までに時間がかかりがちな煮込み料理も短時間で調理できるほか、食物の組織が脆くなり普段よりも柔らかい仕上がりになります。そのため、料理初心者でも簡単に美味しい料理を作ることが可能です。
電気圧力鍋との違い
近年、人気が高まっている調理器の一つが電気圧力鍋です。一般的な圧力鍋はガスコンロを使って圧力を調整しますが、電気圧力鍋は電気によって圧力調整を行います。
ガスコンロで調整する圧力鍋は外から鍋の中身が見えないため、自分で確認しなければなりません。都度、火の調整が必要ですが、扱いに慣れてくれば電気圧力鍋より使いやすいと感じる人も多いようです。
一方、電気圧力鍋は自分で調整する必要がないため、説明書通りの使い方をしていればトラブルが起こりにくいといえます。設定方法に合わせたレシピ集なども製品に付属されており、初心者でも使いやすい点が魅力です。
その他、圧力鍋と電気圧力鍋の大きな違いは価格です。圧力鍋が調理器具に分類される一方で、電気圧力鍋は家電製品であり、その分価格も高い傾向にあります。
圧力鍋を使う3つのメリット
圧力鍋を使う主なメリットは以下に挙げる3点です。それぞれのメリットについて解説します。
時間を短縮して調理できる
圧力鍋の大きなメリットは、調理時間が短縮できる点です。圧力を上げて調理するため水の温度が上がりやすく、密閉状態になるため蒸気が外に逃げません。その結果、鍋の内部の温度を高温のまま保つことができ、短い時間でもしっかりと食材に火を通せます。
例えば煮込み料理の場合、通常の作り方だと1時間以上かかるものでも、圧力鍋を活用すると、1/2~1/3程度の時間に短縮することが可能です。厚みのある肉や魚の骨も簡単に柔らかくなり、料理の幅も広がるでしょう。
食材の水分や栄養素を活用できる
密閉された圧力鍋の内部はほとんど酸素がない状態になるため、食べ物が酸化しづらいです。
さらに、食材の水分も逃さずに活用できることから、食材によっては水を足さなくても調理可能です。栄養素の損失を抑えるだけでなく、食材そのものの味を存分に楽しめるのも圧力鍋のメリットといえます。
ガスや電気の使用量が少なくなり節約できる
一般的に煮込み料理は、長時間火にかけた状態で調理するため、ガス代や電気代が気になるところです。特に寒い時期は光熱費が上がりやすく、煮込み料理を食べたくても躊躇するという人も多いでしょう。
圧力鍋を活用すると、数分加圧した後に火を止めて余熱で調理することが可能です。調理時間が短縮されればそれだけ光熱費の削減も期待できるため、節約したい人におすすめの調理器具といえます。
本体自体の価格は、通常の鍋よりも高めに設定されているケースがほとんどですが、光熱費を踏まえると経済的です。
圧力鍋を使う前に把握すべき注意点
時短や節約にもつながる圧力鍋ですが、一般的な鍋とは使い方が異なるため、注意点を把握しておくことが大切です。続いては、安全に使う上で大切な4つの注意点をご紹介します。
圧力が下がるまで蓋を開けない
圧力鍋の使い方で特に注意するべきポイントは、蓋の開け方です。圧力が上がった状態で蓋を開けてしまうと、中身が飛び出して火傷する恐れがあります。基本的に圧力が高いと蓋が開かない仕組みになっていますが、万が一の事態を想定して、必ず圧力が下がっているかどうかを確認してから開けましょう。
確認方法は非常に簡単で、圧力鍋の蓋に備わっているピンの位置で判断できます。製品によって多少の違いはありますが、一般的にピンが下がっていれば減圧している証拠になります。
餅や麺類など入れてはいけない食材・調味料を使わない
圧力鍋は、すべての食材に適しているわけではありません。例えば、膨らむ性質のある餅類や茹でると泡立つ麺類などは、内部で蒸気口を塞いでしまうため注意が必要です。蒸気が抜けなくなると、内部の食材が吹き飛ぶ恐れがあります。
また、蒸気口に汚れが溜まっている場合も同様です。使用後はキレイに洗って、ぬめりが残らないようにしましょう。
圧力鍋によっては、ほかの食材も注意するように明記されている可能性があります。避けた方がよい食材を間違えて入れてしまわないように、事前に取扱書を熟読してから使いましょう。
指定の分量・水量以上を入れない
食材だけでなく、分量や水量も注意しなければならないポイントです。定められた容量を超えてしまうと、蒸気口が塞がって中身が溢れてしまいます。また、メインバブルに異常が出て、圧力がかからなくなる要因にもなるので注意しましょう。
適量は製品によって異なりますが、基本的には水と食材を合わせて鍋の2/3の深さまで、豆類や麺類は1/3までが目安とされています。説明書を確認した上で、適量を入れるように留意しましょう。
劣化していないかを確認する
蒸気口の汚れに加えて、劣化も確認するべきポイントです。例えばパッキンが劣化していると、蓋と本体がきちんと閉まらなくなり、中の食材が吹き出す恐れがあります。また、圧力がかかりにくくなり、料理の仕上がりが悪くなることも考えられるでしょう。
基本的にパッキンはゴム製であり、1年程度で寿命を迎えます。圧力鍋を頻繁に使っていない場合でも定期的に確認し、劣化していた場合は交換するようにしましょう。
調理器具の劣化は、圧力鍋に限ったことではありません。フライパンや鍋もサビたり穴が開いたりします。安心して美味しい料理を作るためにも、適切に管理するよう心がけましょう。
なお、フライパンの替え時やサビの取り方が知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
鍋の寿命については以下の記事でご紹介しています。
また、調理器具だけでなく調理家電にも寿命があります。以下の記事では、電子レンジの寿命や長持ちさせるコツを解説しています。
圧力鍋の基本的な使い方
圧力鍋の基本的な使い方は以下の5ステップです。それぞれのステップについて解説します。
1.蓋を正しくセットする
圧力鍋は、食材や水など規定の量を入れて、火にかける前に蓋を正しくセットすることが大切です。蓋がきちんと閉まっていないと圧力がかかりにくくなるため、思うように調理できません。一般的な圧力鍋には蓋にロックがついていますが製品によって締め方が異なるため、取扱説明書をよく読み、理解してから使用しましょう。
2.火にかける
蓋を正しくセットしたら、圧力鍋を強火にかけます。この際、鍋底から火がはみ出さない程度に調節することがポイントです。なお、水が多いと鍋の蓋が開く可能性があるため注意が必要です。空焚きも鍋を傷める要因になるため避けましょう。
3.加圧後に弱火にする
鍋の内部に圧力がかかったら弱火にします。タイミングは圧力鍋の種類によって異なるため、説明書などで確認しておきましょう。
蒸気口から蒸気が出たら、圧力がかかったサインです。スプリング式圧力鍋を使う場合、蒸気が止まったら火力を下げましょう。おもり式圧力鍋は、蒸気が出た後におもりが揺れ始めます。揺れ始めたら火を弱めるタイミングです。
4.放置して蒸らす
加圧が完了したら火を止めます。徐々に圧力が下がるため、その間は放置しておきましょう。この時間を「自然放置」と呼び、放置している間も余熱調理が進んでいます。蒸らし時間が決まっている場合は、タイマーを活用するとよいでしょう。
5.蓋を開ける
圧力が完全に抜けたら蓋を開けます。圧力が残っている段階で蓋を開けると、中身が飛び出す恐れがあり非常に危険です。基本的に自然放置をすると徐々に圧力が抜けます。蓋についているピンが下まで下がったのを確認してから蓋を開けることが大切です。
圧力の抜き方は、自然放置に加えて急冷という方法があります。余熱で調理すると煮崩れする心配がある料理は、ステンレスに流水をかけて一気に冷やし圧力を抜きましょう。開け方は、自然放置で圧力を下げる場合と同様です。冷えたからといって急に開けるのではなく、完全に圧力が抜けたことを確認する必要があります。
圧力鍋を使った後のお手入れ方法
圧力鍋を安全に使うには、調理後のお手入れも欠かせません。基本的な洗い方は通常の鍋と同様です。中性洗剤を使って丁寧に汚れを落としましょう。
ただし、通常の鍋とは異なり、蓋に備わっているおもりを外してノズルやピンが破損していないか、フィルターの穴が詰まっていないかを確認する必要があります。詰まっていた場合は、しっかりと洗って汚れを取りましょう。詰まった状態のまま放置してしまうと、正常に調理できなくなります。
また、パッキンは食材の匂いが付着しやすいため、調理する度にぬめりが残らないように洗うことが大切です。乾かす際や保管する際は、蓋を逆さまにしておくと匂いがこもりません。
圧力鍋の選び方
圧力鍋は、各メーカーからさまざまなタイプが発売されており、どれを選べばよいか迷う人も多いでしょう。ここでは、圧力鍋の選び方を4つご紹介します。
「おもり式」か「スプリング式」で選ぶ
圧力鍋には「おもり式」と「スプリング式」の2種類があります。大きな違いは、蒸気が吹き出す蒸気口の仕組みです。
おもり式は、蓋に備えつけられたおもりで蒸気の出方を調整します。圧力がかかると「シュッシュッ」と音が鳴る点もおもり式の特徴です。一方のスプリング式は、蓋に備わっているスプリングで圧力を調整します。おもり式とは異なり圧力がかかっても音は鳴らず、蒸気もほとんど出ません。
圧力がかかったタイミングが分かりにくいと感じる人は、おもり式を選ぶとよいでしょう。音が気になる場合は、スプリング式をおすすめします。
「ステンレス製」か「アルミ製」で選ぶ
メーカーによって、圧力鍋の素材も異なります。主に「ステンレス製」か「アルミ製」の2種類に分けられるため、それぞれの特性を踏まえて選ぶことが大切です。
ステンレス製は長時間高い温度を維持できるため、余熱で煮込む料理に適しています。ただし、重量がある点に注意が必要です。一方、アルミ製は軽量で使いやすく、熱伝導に優れています。そのため時短調理に向いていますが、冷めるのも早いため保温には適していません。また、焦げやすく腐食しやすいほか、酸やアルカリに弱い点がデメリットです。
性能や作りたい料理で選ぶ
圧力鍋は製品によって性能が異なります。加圧によって到達する最高温度が高いものや低温を得意とする製品などさまざまあるため、作りたい料理を踏まえて選ぶとよいでしょう。
例えば、ほくほくした煮物に仕上げたい場合は、低温調理ができるタイプが適しています。一方、肉を柔らかくするには高い圧力が必要です。このように、料理によって最適な温度や圧力は違います。圧力鍋を選ぶ際に、どのような料理を得意としているかを確認するとよいでしょう。
家族構成に合うサイズで選ぶ
圧力鍋のサイズも選び方における重要なポイントです。一般的に「人数分+1L」が最適なサイズとされています。このように、家族構成をもとにサイズで選んでもよいでしょう。
ただし、サイズ感はあくまでも目安であり、使い方によってどの圧力鍋が適しているかは異なります。家族の人数が多いからといって単に大きなサイズを選ぶと、使いづらかったり活用しきれなかったりすることもあるでしょう。ある程度人数を考慮した上で、使いやすいサイズを購入してみるのも賢い方法です。
まとめ
圧力鍋は、時短調理や光熱費の節約に役立つ調理器具です。しかし、使い方を誤ると思わぬ事故につながる可能性があるため、説明書を読んで正しく使用しましょう。
また、圧力鍋にはさまざまな種類があります。ライフスタイルを踏まえた上で、自分に合った製品を選ぶことが大切です。今回ご紹介したポイントを押さえて、使い勝手のよい圧力鍋を見つけてみてください。
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