寒い季節を快適に過ごすために暖房器具は必須アイテムですが、どうしても気になるのが暖房に掛かる費用です。部屋を暖めるにはファンヒーターやエアコンの選択肢がありますが、どれを選べば電気代や燃料代を節約できるか知りたい方は多いでしょう。
そこでこの記事では、ファンヒーターとエアコンの電気代・燃料代を具体的に計算し、どちらがより暖房費を安く抑えられるのか解説します。さらに、各種暖房器具のメリットとデメリット、電気代節約の実用的なコツも紹介するので、できるだけ経済的に快適な冬を過ごすための参考にしてください。
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ファンヒーターの種類と電気代・燃料代
ファンヒーターは、灯油やガスなどを利用して発生させた熱を送風ファンで放出する暖房器具です。ファンヒーターの種類によって燃料やエネルギー源が異なり、使用にともなう電気代や燃料代も変わります。
以下では、主要なファンヒーターの種類と特徴、それぞれの電気代・燃料代について解説します。ただし、実際の費用は使用環境によって異なるため、ここで算出した値はあくまで目安として参考にしてください。
なお、電気代および燃料代は以下の計算式を用いて、暖房使用時間1日8時間、1ヵ月(30日)、暖房年間使用期間120日としてそれぞれ算出します。
- 電気代=消費電力(kW)×使用時間(時間)×料金単価(円/kWh)
※料金単価は電気製品公正取引協議会による目安価格「31円/kWh(税込)」で計算
参考:よくある質問Q&A|公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会 - 燃料代=燃料消費量(L/h)×使用時間(時間)×料金単価(円/L)
※料金単価は経済産業省 資源エネルギー庁の石油製品価格調査の調査結果をもとに算出
参考:石油製品価格調査 1.給油所小売価格調査(ガソリン、軽油、灯油)|経済産業省資源エネルギー庁 - ガス代=燃料消費量×使用時間(時間)×料金単価(円/平方メートル)
※料金単価は東京ガスの一般契約料金をもとに算出
参考:ガス料金表(家庭用/業務用・工業用 共通)|東京ガス
石油ファンヒーター
石油ファンヒーターは、灯油を燃焼させて熱源にするタイプのファンヒーターです。石油ファンヒーターの電気代・燃料代の算出例(年間)は、以下の通りです。
【条件】
コロナ石油ファンヒーター(FH-G3223Y)の仕様をもとに算出
燃料消費量:最大0.310 L/h
消費電力:0.02kW
- 電気代:0.02kW×8時間×120日×31円=595円
- 燃料代:0.310 L/h×8時間×120日×120.8円(10月4日時点の灯油価格)=3万5,950円
- 暖房費(電気代+燃料代):595円+3万5,950円=3万6,545円
ガスファンヒーター
ガスファンヒーターは、都市ガスやプロパンガスを燃焼させるタイプのファンヒーターです。ガスファンヒーターの電気代・燃料代の算出例(年間)は、以下の通りです。
【条件】
リンナイガスファンヒーター(RC-Y2402PE)の仕様をもとに算出
消費電力:0.015kW
暖房能力:2.44kW=0.087平方メートル
※860kcal×2.44 kW÷24,000kcal
※ガス料金は東京ガス一般契約料金A表の価格を参照(145.31円)
※kWから平方メートルへの変換には右記を使用:1kW=860kcal、1平方メートル=24,000kcal
- 電気代: 0.015kW×8時間×120日×31円=446円
- 燃料代:0.087平方メートル×8時間×120日×145.31円=1万2,136円
- 暖房費(電気代+燃料代):446円+1万2,136円=1万2,582円
電気ファンヒーター
電気ファンヒーターは電気ヒーターを熱源にするタイプのファンヒーターで、セラミックファンヒーターとも呼ばれます。電気ファンヒーターの電気代・燃料代の算出例(年間)は、以下の通りです。
【条件】
シャーププラズマクラスター電気暖房機(HX-RK12)の仕様をもとに算出
消費電力:1.2kW(強使用時)
- 電気代:1.2kW×8時間×120日×31円=3万5,712円
- 燃料代:なし
- 暖房費(電気代+燃料代):3万5,712円
ファンヒーター3種類の暖房費
上記3種類のファンヒーターについて、1日あたり・1ヵ月あたりの暖房費(合計値)を表にまとめました。
暖房機器 | 1日あたり暖房費 | 1ヵ月あたり暖房費 |
石油ファンヒーター | 305円 | 9,136円 |
ガスファンヒーター | 105円 | 3,146円 |
電気ファンヒーター | 298円 | 8,928円 |
今回の計算では、3種類の中でガスファンヒーターが最も経済的という結果になりました。石油ファンヒーターと電気ファンヒーターの暖房費はほぼ同じで、それぞれガスファンヒーターの3倍近くとなっています。ただし、計算結果はその時点の燃料費基準価格に大きく左右される点に注意してください。
ファンヒーターとエアコン|電気代・燃料代が安いのはどっち?
寒い季節、室内の温度を保つためにエアコンを活用するケースもあります。ファンヒーターとエアコンのどちらかを選ぶ際のポイントとして、電気代の違いが気になる方も多いでしょう。
そこで以下では、冬にエアコンとファンヒーターのどちらを使用すれば電気代・燃料代を抑えられるか、具体的な費用を比較してみます。
エアコンの電気代
ここでは、エアコンの電気代(暖房使用時・年間)を算出します。
なお、電気代は以下の計算式を用いて、暖房使用時間1日8時間、1ヵ月(30日)、暖房年間使用期間120日としてそれぞれ算出しています。
- 電気代=消費電力(kW)×使用時間(時間)×料金単価(円/kWh)
※料金単価は電気製品公正取引協議会による目安価格「31円/kWh(税込)」で計算
参考:よくある質問Q&A|公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会
ただし、実際の費用は使用環境によって異なるため、ここで算出した値はあくまで目安として参考にしてください。
【条件】
ダイキンエアコン(S253ATES-W)の仕様をもとに算出
消費電力:0.635kW
- 暖房費:0.635kW×8時間×120日×31円=1万8,898円
ファンヒーターとエアコンの暖房費比較
先ほど算出したファンヒーターの電気代と燃料代、エアコンの電気代について比較してみましょう。以下は、4種類の暖房器具の1日あたり・1ヵ月(30日)あたりの暖房費をまとめた表です。
暖房機器 | 1日あたり暖房費 | 1ヵ月あたり暖房費 |
石油ファンヒーター | 305円 | 9,136円 |
ガスファンヒーター | 105円 | 3,146円 |
電気ファンヒーター | 298円 | 8,928円 |
エアコン | 157円 | 4,724円 |
4つの暖房費を比較すると、最も安いのはガスファンヒーター、次いでエアコン、電気ファンヒーター、石油ファンヒーターの順であることが分かりました。エアコンは電気代が高くつくイメージを持っている方も多いかもしれませんが、今回の計算結果からは意外に経済的と言えるのではないでしょうか。
ただし、ファンヒーターとエアコンでは使用するシーンが異なるため、単純なランニングコストの比較だけでは、適切な選択肢を選べるとは限りません。各暖房器具のメリット・デメリットや選び方については次章で説明するので、暖房費とあわせて検討の参考にしてください。
ファンヒーターやエアコンのメリット・デメリットも考慮しよう
暖房器具を選ぶ際は、それぞれの種類のメリットとデメリットを理解し、自分に合ったものを選ぶことが重要です。ここでは、ファンヒーターとエアコンそれぞれの特徴を解説し、各暖房器具がどのようなタイプの方におすすめかを紹介します。
ファンヒーターのメリット・デメリット
まずは、3種類のファンヒーターのメリット・デメリットをそれぞれ見ていきましょう。
石油ファンヒーター
石油ファンヒーターは灯油を燃焼させて熱源とするタイプの暖房器具で、即暖性に優れ、好みの温度に調整できることが特徴です。電源があればどこでも使え、部屋全体を暖めるのにも有効なので、とくにエアコンを取り付けられない部屋などでは便利でしょう。
ただし、電気代に加えて灯油代が掛かるため、ランニングコストがやや高い点はデメリットです。また、灯油を燃焼させるためこまめな換気が必要なので、窓のある部屋での使用が好ましいと言えます。
また、石油ファンヒーター運転中は本体の吹き出し口が高温になり、やけどの危険性があります。小さい子供がいる家庭などでは、使用時に十分な注意が必要です。
ガスファンヒーター
ガスファンヒーターはガスを燃焼させて熱源とするタイプで、即暖性が高く、強力な暖房能力が魅力です。燃焼時に水蒸気が出るため部屋が乾燥しにくく、静音性も高いなどさまざまなメリットがあります。
ただし、部屋にガス栓がない場合は設置自体ができないため、設置場所に制約がある点はデメリットと言えます。とくに賃貸物件では、ガスファンヒーター用のガス栓を新たに設置する場合はオーナーや管理会社との交渉も必要になり、ハードルが高いかもしれません。
また、オール電化の家にガスファンヒーターを導入するときは、新たにガス会社との契約が必要になります。この場合、燃料代のほかにガスの基本料金も掛かり、コストパフォーマンスが悪くなるためおすすめできません。
電気ファンヒーター
電気ファンヒーターは電気ヒーターを熱源とするタイプで、安全性が高く、やけどや火災の心配が少ない暖房器具です。価格は1万円程度など手頃なものもあり、多機能のものになると加湿機能や脱臭機能などの便利な機能が使えることもあります。デメリットとしては、電気代が他の暖房器具と比べて高くなりやすい点が挙げられます。
また、電気ファンヒーターは暖房能力が弱めで、部屋全体を暖めるためのメインの暖房器具には不向きです。その一方で、コンパクトなものが多く電源さえあれば使えるため、脱衣所やトイレなどの一時的な暖房にはおすすめと言えます。
エアコンのメリット・デメリット
エアコンは天井近くの壁に固定するため、室内のスペースを節約できます。子供の手が届かない場所への設置になるため、子育て中の家庭は他の暖房器具より安心して使えるでしょう。火災ややけどの心配が少なく安全性が高い点、1台で冷暖房の両方に活用できる点もメリットです。ランニングコストも低めで、部屋全体を暖めるメインの暖房器具として、優秀な選択肢と言えます。
ただし、温風によって室内の空気が乾燥しやすい点や、本体価格が高く設置に工事費が掛かるなど導入費用がかさむ点はデメリットです。また、必要な場所に持ち運んで利用したい場面には向かないので、エアコンの温風が行き届かない場所では、別の暖房器具を利用することになるでしょう。
ファンヒーターとエアコンをうまく使い分けて
エアコンや各種ファンヒーターはそれぞれメリットが異なるため、場所や場面に応じて使い分けるのがおすすめです。
ファンヒーターは、急いで暖めたい場合や、特定の狭い範囲を暖めたいとき、一時的な暖房に適しています。そのため、帰宅後に一気に部屋を暖めたいシーンや、ソファやテーブル周りなどの狭い範囲を一時的に暖めたいときに便利でしょう。
一方、エアコンは広い範囲を均等に暖房するのに向いています。ただし、家全体をエアコンだけで暖めるのは、設置場所や費用の問題などもあり難しいケースもあるでしょう。
そのため、寒い冬の時期に快適な室内環境を実現するには、ファンヒーターとエアコンを併用するのがおすすめです。例えば、リビングなどの人が常にいる場所はエアコンで暖め、トイレや脱衣所などでは一時的に電気ファンヒーターを利用する、などが考えられます。
お得に過ごしたい!ファンヒーターやエアコンの電気代節約のコツ8選
冬は暖房費で電気代が増えがちですが、ちょっとした心掛けでコストを抑えることも可能です。以下では、暖房に掛かる電気代を節約するためのコツを8つ紹介します。
暖房器具を併用する
ファンヒーターやエアコンで空間を暖めつつ、床暖房やホットカーペット、こたつなどの暖房器具を併用するのはおすすめです。例えば、こたつはエアコンと比べて電気消費量が低いため、エアコンの設定温度を下げてこたつを併用すれば節電につながるでしょう。
また、エアコン使用時は暖かい空気が部屋の上部にたまりがちで、足元が温まりにくくなります。このような場合は、エアコンの設定温度を上げるのではなく、ホットカーペットや床暖房を併用すれば、少ない電気使用量でより快適に過ごせます。
エアコンの使い方を見直す
エアコンを正しく使えているか見直すことで、暖房効率がアップし、節電につながる場合があります。例えば、室外機の吹き出し口をふさぐと暖房効率が下がってしまうため、室外機前に物を置いている場合はどかしましょう。
設定は自動運転にしたほうが、室温が上がった際に自動で省エネ運転に切り替えてくれて節電になります。また、風向きは下向きにすると、冷たい空気がたまりがちな部屋の下部にも温風が行き届いて効果的です。さらに、サーキュレーターを併用して温かい空気を部屋全体に行きわたらせるのもよいでしょう。
エアコンはつけっぱなしにする
エアコンは電源を入れてから設定温度に部屋を暖めるまでが、最も電力を消費するタイミングです。そのため、節電のつもりでこまめにエアコンの電源を切ると、逆に消費電力が大きくなってしまうかもしれません。
具体的には、30分程度の短時間の外出時であれば、つけっぱなしのほうが節電になる可能性が高いでしょう。室内が十分に暖まったという理由でこまめに運転を止めるのも節電としては逆効果で、家にいる間は自動運転でのつけっぱなしがおすすめです。
フィルターをこまめに掃除する
ファンヒーターやエアコンのフィルターが目詰まりしていると、送風機能が低下し、暖房効率が低くなります。フィルターはこまめに清掃しましょう。洗って乾燥させるのが面倒であれば、掃除機で汚れを吸い取るだけでも効果があります。
設定温度を下げる
設定温度を下げるのは、簡単に消費電力や消費燃料を減らせる方法です。設定温度の機能がない暖房器具の場合は、風量を下げて調整しましょう。ただし、寒さを感じるときに無理して温度を下げてしまっては本末転倒なので、室内で少し厚着するなどの対策とあわせて行なうのがおすすめです。
省エネ性能が高い機種に買い替える
省エネ性能が高い機種に買い替えることで、暖房代を削減できます。とくに人感センサーなどの機能がついている機種を選べば、さらに効率的な暖房が可能です。いまある暖房器具の暖房効率に不満がある場合は、買い替えを検討するのもひとつの手でしょう。
窓やドアの断熱対策をする
窓やドアからの冷気は、暖房効率低下の原因になります。とくに窓ガラスは外と接している分、放熱しやすい場所です。厚手のカーテンを選ぶ、二重窓を導入する、窓ガラスに断熱シートを貼るなどして、断熱対策を行ないましょう。レースのカーテンを閉めるだけでも、部屋の暖気を逃がしにくくなります。
ガス・電力の契約を見直す
ガス会社や電力会社の契約内容を見直すと、暖房代を削減できるかもしれません。例えば、電気の基本料金は契約アンペア数が大きいほど高くなります。もし毎月の電気使用量が契約している量より少なく済んでいるのであれば、最適なアンペア数での契約に変更することで電気代を節約できます。
まとめ
各種ファンヒーターとエアコンはそれぞれメリット・デメリットがあるため、状況に合わせて使い分けることが大切です。広い場所はエアコン、狭い場所はファンヒーターと、それぞれを併用することで、寒い季節も快適な室内環境を実現できるでしょう。
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また、電気ストーブとエアコンの電気代比較に関しては、下記でも詳しくご紹介しているのでぜひご覧ください。