冷蔵庫は、私たちの日常生活に欠かせない家電製品のひとつです。しかし、毎日使っていても、冷蔵庫が冷える仕組みを理解している方は少ないかもしれません。
この記事では、一般的な冷蔵庫が冷える仕組みをわかりやすく解説したうえで、その仕組みに不可欠な機器や、冷蔵庫のタイプごとの仕組みの違いなども紹介します。冷蔵庫の仕組みを知りたい方や、新たに冷蔵庫の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
なお、〈2ndSTREET セカンドストリート〉では、さまざまなメーカー・サイズ・タイプの冷蔵庫を販売しています。新しく冷蔵庫を購入する際は、以下の記事で紹介している冷蔵庫の選び方を参考にしつつ、お近くのセカンドストリートの店舗をぜひご利用ください。
冷蔵庫が冷える基本の仕組み
冷蔵庫が冷える仕組みには、「冷媒」や「気化熱」などが関わっています。冷蔵庫内の冷却の流れは、以下の通りです。
(1)冷媒が冷蔵庫内の熱を気化熱で奪う
(2)気体になった冷媒が圧縮機(コンプレッサー)にかけられる
(3)圧縮された冷媒が液体になる
(4)液体になると冷媒の温度が上がるため、熱が冷蔵庫の外に放出される
(5)(1)~(4)のプロセスを電力によって繰り返すことで、冷蔵庫内が冷える
上記の流れを踏まえつつ、冷媒と気化熱について、詳しく解説していきます。
冷媒とは
冷媒(冷媒ガス)とは、熱エネルギーを運ぶための物質のことです。冷蔵庫の内外には、冷媒が入ったパイプが張り巡らされています。
冷蔵庫が冷える仕組みと照らし合わせると、以下のことが言えます。
- 冷媒が冷蔵庫内のパイプを通っているとき(上記(1)のとき)は気体の状態
- 冷媒が冷蔵庫外のパイプを通っているとき(上記(3)・(4)のとき)は液体の状態
冷媒は、1980~1990年代まで「フロン」と呼ばれる人工的な化学物質が用いられていました。しかし、フロンによるオゾン層の破壊が問題視され、世界的に使用規制が進んだ経緯があります。
そのため、現代の冷媒には、「ノンフロンガス」または「代替フロンガス」が用いられているのが特徴です。フロンを使用していない冷蔵庫を、「ノンフロン冷蔵庫」と呼ぶ場合もあります。
気化熱とは
そもそも「気化」とは、液体が気体に変わることを指します。
液体が蒸発して気体に変わる(気化)際、周囲の熱を吸収する性質があります。このときに奪われる熱が「気化熱」です。
例えば、「打ち水」も気化熱の原理を利用しています。地面に水をまくことで、水が地表の熱を奪いながら蒸発するため、周辺が実際の気温よりも涼しく感じられます。
気化熱とは反対に、気体が液体になるときに発生する熱が「凝縮熱」です。冷蔵庫が冷える仕組みにおいては、(4)のプロセスで凝縮熱の性質が活用されています。
冷蔵庫が冷える仕組みに不可欠な機器
一般的な冷蔵庫では、庫内の温度調節に「ヒートポンプ」が欠かせません。
ここでは、ヒートポンプを構成する主な4つの機器を紹介します。
圧縮機(コンプレッサー)
圧縮機(コンプレッサー)には、冷蔵庫内の熱を奪って気体になった冷媒を、電気エネルギーで圧縮する役割があります。
圧縮機は、基本的に冷蔵庫の背面に取り付けられており、作動のオン・オフは圧縮機が自動で調整しています。冷蔵庫から「ブーン」「ウィーン」という音がしたら、圧縮機が停止状態から稼働状態に入ったサインです。
圧縮機は、冷蔵庫の心臓部分と言われるほど大切な機器です。以下のような冷蔵庫のトラブルは、圧縮機の不具合・故障の可能性が考えられます。
- 冷蔵庫が冷えない
- 冷蔵庫の温度が一定に保たれない
- 冷蔵庫から異音・異臭がする
- 冷蔵庫が大きく振動する
- 冷蔵庫から水漏れする
冷蔵庫のさまざまなトラブルの原因や対処法などを詳しく知りたい方は、以下の各記事をご覧ください。
凝縮器(コンデンサ)
凝縮器(コンデンサ)は放熱器とも呼ばれ、圧縮機により圧縮された冷媒を、液体にする役割があります。
圧縮機と同様に、凝縮器も冷蔵庫の外側に取り付けられています。
膨張弁(エキスパンション・バルブ)
膨張弁(エキスパンション・バルブ)は、冷蔵庫内に設置されている機器です。液体になった冷媒が気化しやいよう、冷媒の温度と圧力を下げる役割があります。
また、パイプを流れる冷媒の量も、膨張弁が調整しています。冷媒の量を適切に調整し、圧縮機に過剰な負荷がかからないようにするのが特徴です。
蒸発器(エバポレーター)
蒸発器(エバポレーター)も、冷蔵庫内に設置されている機器です。
蒸発器の役割は、温度と圧力が下がった冷媒を気体にすることです。気化した冷媒は、圧縮機に送られます。
冷蔵庫が冷える仕組みはタイプによっても異なる
ここまで、冷蔵庫が冷える仕組みや、ヒートポンプを構成する機器について解説してきました。ただし、冷える仕組みは冷蔵庫のタイプによっても違いがあります。
ここでは、冷蔵庫が冷える仕組みをより詳しく理解するため、冷蔵庫のタイプ別に特徴を解説します。
ガス圧縮式
一般的な家庭用冷蔵庫は、ガス圧縮式の冷蔵庫です。ここまで解説してきた仕組みも、ガス圧縮式の冷蔵庫を想定しています。
ガス圧縮式では、冷蔵庫の外側に取り付けられた圧縮機から熱が放出されます。うまく熱を逃せないと冷却効率が下がるほか、故障や発火のおそれもあるため、十分な放熱スペースの確保が必要です。
なお、十分な放熱スペースを確保できていないと、冷蔵庫本体が熱くなることがあります。冷蔵庫本体が熱くなる詳しい原因や対策については、以下の記事を参考にしてください。
ガス吸収式
ホテルや病院などで利用される冷蔵庫に多いのが、ガス吸収式です。
ガス吸収式の冷蔵庫には、圧縮機が搭載されていないため、圧縮機特有の稼働音がしません。よって、静かさが求められる場所にマッチします。
また、ガス吸収式の冷蔵庫の冷媒には、アンモニアが用いられるのが特徴です。
電子式
電子式の冷蔵庫は、ガス圧縮式やガス吸収式の冷蔵庫のように冷媒を使用せず、「ペルチェ効果(ペルチェ式)」で冷却します。
ペルチェ効果は、異なる2つの金属に直流の電気を流すと、片方は熱を吸収しもう片方は発熱するという「ペルチェ素子」の性質による現象です。電子式の冷蔵庫では、異なる金属同士を接触させ、ペルチェ効果を生み出して庫内を冷やします。
したがって、電子式の冷蔵庫に圧縮機などは搭載されておらず、比較的静かでコンパクトです。このような特徴からホテルや病院、自動車用の小型冷蔵庫、ワインセラーなどで活用されています。
ただし、電子式の冷蔵庫は冷却効率が低いことがデメリットです。
水冷式
水冷式の冷蔵庫は、主に業務用冷蔵庫として用いられています。冷却には冷媒ではなく水を用い、熱交換で循環させる仕組みです。
冷却水を使用するための配管工事や付帯設備が必要となりますが、稼働音や排熱がない点や、冷却効率が高い点はメリットと言えるでしょう。
空冷式
空冷式の冷蔵庫は、搭載されたファンにより、外気との熱交換で循環水を冷却する仕組みです。水冷式の冷蔵庫よりも、簡単に設置や保守管理ができます。
一方で、ファンからの排熱によって室内に熱がこもりやすく、水冷式と比べて冷却効率が劣ることに注意が必要です。
霜取りにも関わる冷蔵庫の冷却方式についても知っておこう!
冷蔵庫のタイプは、冷却方式によっても分類されます。
実は、冷却方式は霜取りにも関係します。自分で霜取りをする必要があるにも関わらず、そのままにしてしまうと、冷却効率の低下や電気代の上昇にもつながります。
ここでは、直冷式・ファン式・ペルチェ式の3つの冷却方式について、それぞれ見ていきましょう。
直冷式
直冷式の冷蔵庫は、庫内に設置した冷却器によって冷やす方式です。直接庫内を冷やせるため冷却効率が高く、電気代を抑えられることが魅力です。
ただし、直冷式の冷蔵庫は、自分で霜取りをする必要があります。製品や使用状況によっても異なりますが、最低でも1ヵ月に1回は霜取りをしましょう。
直冷式は、一般的に1ドアや2ドアタイプの冷蔵庫で採用されています。
ファン式
ファン式の冷蔵庫は、庫外に設置された冷却器からの冷気を、ファンで庫内に送って冷やす方式で、「間接冷却方式」とも呼ばれます。ファンを使うことで、冷蔵庫内を均一に冷やせるのが特徴です。
また、直冷式の冷蔵庫と異なり、ファン式には自動霜取り機能が搭載されているため、霜取りは不要です。ただし、冷蔵庫の外に冷却器が設置されている分、冷蔵庫本体のサイズが大きくなり、広い設置スペースが必要となるでしょう。
通常は、2ドアタイプの大型冷蔵庫、または3ドア以上の冷蔵庫でファン式が採用されています。
ペルチェ式
ペルチェ式は「ペルチェ素子」を利用して冷やす方式です。
圧縮機を持たないペルチェ式の冷蔵庫は、起動音や振動音がないため静音性に優れており、霜取りの必要もありません。1ドアタイプの冷蔵庫のうち直冷式でないものは、ペルチェ式の可能性が高いです。
ただし、ペルチェ式の冷蔵庫は庫内をキンキンに冷やすことが難しく、5度から15度程度の冷却をメインとしています。ちなみに、冷蔵庫の一般的な適温は、冷蔵室なら2~5度、野菜室なら3~7度とされています。
冷蔵庫の温度設定に関する基礎知識について詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
一般的な冷蔵庫は、以下の4つの機器からなるヒートポンプにより、冷媒が冷蔵庫内の熱を気化熱で奪うことで冷やされています。
- 圧縮機(コンプレッサー)
- 凝縮器(コンデンサ)
- 膨張弁(エキスパンション・バルブ)
- 蒸発器(エバポレーター)
ただし、冷蔵庫のタイプによっては、圧縮機が搭載されていなかったり、冷媒を使用しなかったりと、冷蔵庫が冷える仕組みには違いがあります。
また、直冷式・ファン式・ペルチェ式といった冷却方式の違いで、霜取りが必要な場合があります。冷蔵庫を購入する際に確認しておきましょう。
新しく冷蔵庫を購入するなら、全国に800店舗以上を展開するセカンドストリートをご利用ください。セカンドストリートでは、各種メーカーの冷蔵庫をリーズナブルな価格で取り揃えています。
また、冷蔵庫の買い替えにあたり、現在使用している冷蔵庫をどうすればよいかお困りの方もいるのではないでしょうか。不要な冷蔵庫は、捨てずに売るという選択肢もあります。セカンドストリートでは、冷蔵庫の買い取りにも対応しています。ぜひお気軽にご相談ください。