冷蔵庫を買ってから数年経つと、以前ほど冷えない、水漏れする、異音がするなどの異常が見られることがあります。故障なのか、寿命が近いのか、気になる方もいるでしょう。
今回は、冷蔵庫の寿命の目安や実際に寿命が近いかどうかを見極める方法、冷蔵庫を長く使うコツなどを解説します。また、寿命以外で買い替えを検討するタイミングや、寿命を迎えた冷蔵庫を処分する方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
冷蔵庫の寿命はどの程度?
そもそも冷蔵庫の寿命はどの程度なのでしょうか。ここでは目安となるデータを3つ紹介します。メーカーや使い方などによっても異なるため、冷蔵庫の寿命を把握する際の参考にしてください。
平均寿命は12~13年程度
内閣府が2021年3月に実施した「消費動向調査」によると、家庭における冷蔵庫の平均使用年数は12.9年という結果が出ています。また、全体の半数以上の方(55.1%)が買い替えの理由を「故障」と答えていることから、冷蔵庫の寿命が来るまで使い続ける方が多いことが分かります。
「消費動向調査」の過去のデータ(2017年3月~2020年3月)を見ても、冷蔵庫の平均使用年数はおおむね12~13年であることから、平均寿命も同程度であると言えるでしょう。
補修用性能部品の保有期間は9年
全国家庭電気製品公正取引協議会が定める「製造業表示規約」では、冷蔵庫の補修用性能部品の保有期間は9年とされています。つまり、冷蔵庫の生産終了から9年間は、メーカーが修理に必要な部品を保管しているということです。その期間を過ぎてしまうと部品が手に入らず、故障した場合でも修理してもらえない可能性があります。
国税庁が定める耐用年数は6年
耐用年数とは、対象の資産を使用できる期間のことです。確定申告などで冷蔵庫を資産として報告する際には、耐用年数という考え方を用います。政令で定められている「法定耐用年数表」によれば、冷蔵庫の耐用年数は6年とされています。実際には、さらに長く使えることも多いですが、冷蔵庫の寿命を考えるうえで一つの参考になるでしょう。
冷蔵庫の寿命を見分ける4つのサイン
ここでは、冷蔵庫の寿命を見分ける4つのサイン(異常)を解説します。壊れる前兆や壊れるのであればどこから壊れるのか、どのような異常が起こるのかについての目安にもなります。知っておくと、いざというときに対処しやすいでしょう。
1.冷蔵庫の冷えが悪い
温度調整装置や本体の冷媒回路が正常に機能していないことが原因で冷蔵庫の冷えが悪くなっている場合、寿命を迎えていることが考えられます。一方で、単に使い方に問題があって冷えが悪くなっている可能性もあるため、注意が必要です。冷蔵庫の寿命による現象なのか、使い方に問題があるのかを見極めるには、以下の対処方法が有効でしょう。
<対処方法1>冷蔵庫の開閉頻度を減らす
たとえ短時間であっても冷蔵庫のドアを開け閉めすると、そのたびに冷気が逃げてしまい、庫内の温度が上がりやすくなります。冷蔵庫の冷えが悪いと感じた際には、ドアの開閉回数をできるだけ少なくしましょう。
<対処方法2>冷蔵庫に保管する食材の量を減らす
冷蔵庫に大量の食材が保管されている場合、庫内の冷気の流れが悪くなり、冷えにくくなることがあります。冷気がしっかりと循環するよう、食材を入れすぎないようにしましょう。
2.氷ができない(アイスが溶けてしまう)
冷蔵庫で氷が作れなかったり、保管しているアイスが溶けてしまったりする場合、モーターの故障や製氷機の不具合などが考えられます。冷やす機能自体に問題はなくても、製氷機や冷凍庫などの凍らせる機能が先に故障してしまうケースは少なくありません。状況によって壊れた部品の修理、または冷蔵庫自体の買い替えなどが必要です。
3.水漏れしている
冷蔵庫内で水漏れしている場合、冷気が出る場所に汚れやカビが詰まっていることが考えられます。汚れやカビが原因であれば掃除することで改善できる可能性がありますが、床に水漏れしている場合は、庫内の水を溜める機能が壊れているかもしれません。水を溜める機能に問題がある際には、修理や買い替えが必要になるでしょう。
4.冷蔵庫から異音がする
冷蔵庫からいつもとは明らかに違う音がする場合、冷蔵庫の寿命が近づいている可能性が高いため、買い替えを検討しましょう。とくに、音が長く続いている場合には注意が必要です。庫内を冷却するためのコンプレッサー(冷却装置)が過剰に作動しており、電気代が高くなる可能性があります。
冷蔵庫が寿命を迎えたわけではない!勘違いしてしまう現象
冷蔵庫の様子がいつもと違うと、故障ではないかと心配にする方も多いでしょう。ここでは、冷蔵庫の寿命と勘違いしやすい現象を3つ紹介します。
1.冷蔵庫の側面が熱い
冷蔵庫の側面が熱いと驚いてしまうかもしれませんが、熱いこと自体は決して異常なことではありません。冷蔵庫は熱を外部に逃がすことで内部を冷やしているため、側面が熱くなりやすいのです。冷蔵庫の熱が気になるときは、壁から離して放熱しやすくしたり、ドアを開閉する回数を減らして庫内の温度が上がらないようにしたりするとよいでしょう。
2.長年の使用によるパッキンの劣化
冷蔵庫を長く使用していると、パッキンに汚れやカビがつきやすくなります。その影響でドアの密閉度が下がり、冷気が漏れやすくなることがありますが、これはパッキンの劣化であり、冷蔵庫が寿命を迎えたわけではありません。汚れやカビを落とすことで不調を改善できるでしょう。劣化がひどいときは、パッキン自体を交換するのもおすすめです。
3.庫内に冷気が行き渡らない
冷蔵庫内には冷気の吹き出し口がありますが、食材の詰め込み過ぎや霜・ほこりの付着によって、知らないうちに吹き出し口を塞いでいることがあります。それが理由で、冷蔵庫の冷えが悪くなっているかもしれませんが、このケースも霜やほこりが原因であり、冷蔵庫が寿命を迎えたわけではありません。食材を整理して吹き出し口の前を空けたり、吹き出し口をこまめに掃除したりすることで改善できるでしょう。
冷蔵庫の寿命を長くさせるコツ
ここからは、冷蔵庫の寿命を長くさせるためのコツを5つ紹介します。冷蔵庫は安い家電ではないため、できるだけ長く使いたいものです。さっそく今日から試してみてください。
1.冷蔵庫に食材を多く入れすぎない
冷蔵庫に多くの食材が入っていると、庫内の温度を下げるためにより大量のエネルギーが必要になります。その影響で温度を下げる役割を持つコンプレッサーに大きな負担が掛かると冷蔵庫の寿命が短くなるため、庫内のスペースにゆとりを持たせることが大切です。
2.熱いものは冷ましてから冷蔵庫に入れる
冷蔵庫に熱いものをそのまま入れると、庫内の温度が一気に上がります。庫内を冷やそうとして多くのエネルギーを消費することで冷蔵庫に負担が掛かってしまい、寿命が短くなってしまうでしょう。冷蔵庫を長く使うためにも、熱いものは冷ましてから入れることを意識してみてください。
3.冷蔵庫のドアの開け閉めの回数を減らす
冷蔵庫のドアを開け閉めするたびに、庫内の冷気が逃げてしまいます。開閉回数が多いほど、冷蔵庫内の温度を下げるためにコンプレッサーが頻繁に稼働するため、その分消耗してしまうことが考えられます。コンプレッサーの不具合発生を避けるためにも、ドアの開閉回数はできるだけ少なくしましょう。
4.冷蔵庫の周りには十分な空きスペースを設ける
庫内を冷やすためには放熱が必要ですが、周りにものが置いてあると放熱がうまくできません。その結果、冷蔵庫に熱が溜まってしまい、故障の原因になることがあります。たとえ故障しなかったとしても、熱が溜まることで寿命が短くなることも考えられるでしょう。放熱を妨げないよう、冷蔵庫の周りに空きスペースを設けることが大切です。
5.冷蔵庫の掃除を定期的に行なう
冷気が出る吹き出し口にほこりや汚れがついていると、冷蔵庫の冷え方にムラが出たり冷えにくくなったりしてしまいます。冷蔵庫を長く使うためにも、吹き出し口を普段から定期的に掃除しておきましょう。
寿命を迎えた冷蔵庫は修理と買い替えのどちらが良い?
冷蔵庫が寿命を迎えた場合、購入から長い年数が経っているのであれば修理よりも買い替えがおすすめです。とくに、冷蔵庫が生産終了から9年以上経っているケースでは、先述の通り、補修用性能部品の保有期間が過ぎているため、修理は困難だと言えるでしょう。
また、修理が大掛かりになれば10万円近い費用が掛かることもあります。修理部分や冷蔵庫の状態にもよりますが、故障部位を修理したとしてもまた別の部分が故障する可能性も高く、結果的に買い替えのほうが費用を抑えられるケースもあるのです。
そのため、寿命を迎えた冷蔵庫は、なるべく早い段階での買い替えの検討をおすすめします。
寿命以外にサインはある?冷蔵庫を買い替えすべきタイミング
寿命以外にも、冷蔵庫の買い替えを検討するべきタイミングがあります。ここでは、3つの買い替えタイミングを紹介します。現在使用中の冷蔵庫に寿命の兆候や不具合がない方も、ぜひ参考にしてください。
長年使っている
もし購入から長い年月が経っている場合、目立った寿命のサインがなくても買い替えをおすすめします。なぜなら、冷蔵庫を長年使用していると、経年劣化によって発煙・発火などの事故を起こすリスクが高まるからです。
実際、製造から20年以上経過した冷蔵庫から火災が発生した事例もあります。15年、30年と同じ冷蔵庫を愛用している方もいますが、安全と安心のためにも、先述の通り、平均寿命である12~13年を超えたら買い替えを検討しましょう。
電気代が気になる
最新の冷蔵庫はAI(人工知能)やセンサーによる温度調節機能などを搭載しており、省エネ性能の高いものが多く、古い冷蔵庫よりも最新機種のほうが電気代を抑えやすいと言えます。
経済産業省の発表では、2009年と2019年の冷蔵庫を比較した場合、2019年の冷蔵庫は約40~47%の省エネが見込めるため、買い替えは電気代の負担を軽減できるチャンスです。古い冷蔵庫の電気代が気になるのであれば、最新機種への買い替えを検討するとよいでしょう。
利用人数とサイズが合っていない
冷蔵庫のサイズに対して利用人数が合っていないと、冷蔵庫内に食材を詰め込めすぎることになり、冷蔵効率の低下につながってしまいます。一人暮らしから結婚で家族が増えたときや、子供が生まれたときなど、家族の人数が変わるタイミングは冷蔵庫の買い替えタイミングと言えるでしょう。
参考までに、家族の人数に適した冷蔵庫の容量は、以下の通りです。
- 1人:240~290L
- 2人:310~360L
- 3人:380~430L
- 4人:450~500L
- 5人:520~570L
寿命を迎えた冷蔵庫の処分方法とは?
どれだけ注意深く冷蔵庫を使っていたとしても、寿命を迎える日はいつかやってきます。では、使えなくなった冷蔵庫はどのように処分すればよいのでしょうか。ここでは、4つの処分方法を紹介します。
1.新しい冷蔵庫を購入する際に家電量販店に引き取ってもらう
冷蔵庫を買い替える予定がある場合は、古い冷蔵庫を購入先の家電量販店に引き取ってもらうのがおすすめです。ただし、処分するためのリサイクル料金や運搬料金などを別途支払う必要があります。
冷蔵庫のリサイクル料金は、全定格内容積の数値が、170L以下は「小」、170L以上は「大」に分けられます。
シャープ、パナソニック、東芝、三菱、日立など主要メーカーのリサイクル料金は、以下の通りです。
- 170L以下(小):3,740円(税込)
- 171L以上(大):4,730円(税込)
ちなみに、全定格内容積とは、工具無しでも外せるケースや棚などを除いた状態で算出した容積のことです。冷蔵庫の収納力を表すサイズ(容量)とは異なるため、注意しましょう。
全定格内容積は、冷蔵庫内に貼ってあるシールなどに記載されています。汚れや破損で読み取れない場合、本体の「高さ」「幅」「奥行」のうち、最も長い寸法が1,300㎜以上なら「大」、1,300㎜未満なら「小」となります。
2.購入先の店舗に回収を依頼する
新しい冷蔵庫を購入する予定がない場合でも、処分予定の冷蔵庫を購入した店舗に依頼すれば引き取ってもらえます。すべての家電販売業者は、家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)によって、過去に販売した冷蔵庫やテレビなどの家電を引き取る義務があります。引き取り時には、冷蔵庫のサイズに応じたリサイクル料金や運搬料金を支払う必要があります。
3.自分が住んでいる市町村に処分方法を確認する
冷蔵庫が古くて購入した店舗が分からない場合や、店舗は分かるが引越しによって回収を依頼できない場合には、住んでいる市町村に処分方法を問い合わせてみましょう。処分方法は市町村によって異なります。自治体が引き取ってくれることもあれば、処分できるお店や業者を紹介してくれることもあります。なお、どちらのケースでもリサイクル料金は必要です。
4.リユースショップ・リサイクルショップで売る
まだ使える比較的新しい冷蔵庫を処分する場合は、リユースショップやリサイクルショップに売るのがおすすめです。ほかの処分方法と違い、冷蔵庫のリサイクル料金や運搬料金を負担する必要がありません。むしろ、臨時収入を得られる可能性があります。ただ、リユースショップやリサイクルショップによっては年式制限や買取基準などを設けている場合があるため、事前に店舗へ確認したり、Webサイトで調べたりすることをおすすめします。
冷蔵庫を自力で運ぶのが難しい場合は、〈2ndSTREET セカンドストリート〉の出張買取サービスをぜひご利用ください。自宅で査定からお支払いまで行ないます。出張・査定・搬入に掛かる手数料はすべて無料です。
冷蔵庫を処分する際によくある質問
最後に、冷蔵庫を処分するに際によくある質問と、それに対する回答を紹介します。
Q.庫内の食品はどうしたらよい?
冷蔵庫を処分することが決まったら、処分の日に向けて少しずつ庫内の食品を減らしていくことが大切です。生鮮食品の買い足しはストップし、空いたスペースから掃除もしておくとよいでしょう。
新しい冷蔵庫は庫内が冷えるまで、約4時間掛かります。とくに暑い季節は、24時間以上必要なケースもあるでしょう。使い切れず庫内に残ってしまった食品は、処分当日に保冷剤や氷を入れたクーラーボックスなどに入れておき、新しい冷蔵庫がしっかり冷えたのを確認してから移動させましょう。
Q.電源はどのタイミングで落とすべき?
冷蔵庫の電源プラグは、運搬してもらう直前に抜いても問題はありません。前日などに抜いた場合は、霜が溶けて水が出るため、冷蔵庫の取扱説明書に従って溜まった水を捨てておきましょう。また、給水タンクの水や製氷室の氷も、事前に捨てておいてください。
まとめ
冷蔵庫は、寿命のサインが見られたり家族の人数が変わったりしたタイミングで、買い替えがおすすめです。冷蔵庫の処分にはリサイクル料金が掛かるのが難点ですが、リユースショップを利用すればリサイクル料金は不要で、臨時収入を得られる可能性があります。
セカンドストリートでは、製造から10年以内の冷蔵庫の買い取りを行なっています。コストを掛けずに処分できる可能性があるため、寿命を迎える前の冷蔵庫の処分を考えている方におすすめです。出張買取にも対応しています。手数料無料で、自宅で冷蔵庫の査定・買取サービスを利用できるのも魅力です。
毎年最新機種が発売される家電製品は、発売から時間が経つほど市場価値が下がってしまいます。使用しなくなった冷蔵庫があれば、ぜひ早めにお問い合わせください。