石油ファンヒーターは、寒い季節を快適に過ごすために欠かせない家電であり、いざ必要となった際に不具合を起こすと困ります。燃焼効率の低下や不具合につながる原因として、掃除不足が挙げられるでしょう。
そこで今回は、石油ファンヒーターの掃除方法について、分解掃除の料金も含めて詳しく解説します。冬が到来する前に、石油ファンヒーターの調子を整えておきたい人はぜひご一読ください。
石油ファンヒーターの掃除方法
石油ファンヒーターの掃除方法は、シーズン中とシーズンオフで異なります。ここではそれぞれの掃除方法について解説します。
シーズン中の掃除方法
石油ファンヒーターは、バーナーで温めた空気をファンで送り出す仕組みです。そのため、頻繁に使用するシーズン中は、吸気口や本体内部にほこりやゴミが溜まりやすくなります。溜まったまま放置すると、フィルターが目詰まりを起こしてエラーが表示されることがあるので、定期的な掃除が必要です。
シーズン中の掃除は、「1週間に1回」程度の頻度で行い、本体背面にあるファンフィルターのほこりを除去しましょう。フィルターの目に詰まったほこりは、柔らかいブラシで取り除いてから掃除機で吸い取るときれいになります。本体にほこりが付着している場合は、乾いた布で拭き取りましょう。
また、石油ファンヒーターを掃除する際は、消火したうえで電源を落とし、コンセントを抜いておく必要があります。熱を持ったままだと火傷や感電をする可能性があるため、本体が完全に冷えてから作業を行いましょう。
シーズンオフに保管する際の掃除方法
石油ファンヒーターの寿命を保つには、シーズンオフの掃除も欠かせません。
特に、灯油を使い切れなかった場合、次のシーズンに持ち越すと酸化したり不純物が混入したりして、トラブルの原因になります。石油ストーブを片付ける前に全ての灯油を使い切るまで燃焼し続ける「空焚き」も可能ですが、気温が上がってから行うことは困難でしょう。そのため、多量の灯油が残っている場合は、片付ける前に抜き取る必要があります。なお、抜き方は簡単で給油ポンプやスポイトがあれば作業可能です。
灯油の抜き取りや掃除を行う前は、シーズン中と同様に、電源を抜いて本体が冷えたことを確認してから作業を行いましょう。そのうえで、給油タンクを取り出して、残っている灯油をポリタンクやバケツに移します。
続いて、本体内部にある固定タンクからオイルフィルターを取り出しましょう。固定タンク内や油受け皿に残った灯油は、給油ポンプやスポイトを使って取り除きます。作業中に灯油がこぼれる可能性があるため、万が一に備えて新聞紙を敷いておくと安心です。
給油タンク、固定タンク内の灯油を取り除いたら、オイルフィルターを元に戻します。オイルフィルターの汚れが気になるときは、歯ブラシでこすり洗いをして新しい灯油で流しましょう。
タンクに残った灯油を取り除いた後、ファンフィルターや空気の吸い込み口にあるエアフィルターの掃除をします。最後に、温風吹き出し口や本体についたほこりを柔らかい布で拭き取り、段ボールに入れて乾燥した場所に保管しましょう。逆さにしたり傾けたりすると故障の原因になるため、平らな場所に置く必要があります。
ファンヒーターやストーブの分解掃除
次に、ファンヒーターやストーブの分解掃除について解説します。
分解掃除とは?
ファンヒーターやストーブを長期間使っていると、こまめに掃除をしても燃焼効率が悪くなるケースがあります。こうしたトラブルを解消するのに役立つ方法が「分解掃除」です。分解掃除とは、本体内部の部品を分解しながら汚れやススを除去する作業で「オーバーホール」ともいいます。
ただし、専門知識が求められる作業であり、知識や技術がなければ対応できません。素人が作業を行えば、怪我や火傷、感電などにつながる可能性があるため、専門業者に依頼することをおすすめします。
分解掃除をするメリット
分解掃除をする大きなメリットは、普段の掃除では除去し切れない汚れをきれいにできる点です。
本体内部に汚れやススが溜まると、燃焼効率が下がります。また、ほこりなどの汚れを放置したまま使用すれば、火災を引き起こす可能性があるでしょう。
分解掃除により、これまで放置していた汚れが除去されれば、低下していた燃焼効率が改善し、トラブル発生のリスクを避けられます。さらに、故障リスクも軽減でき、必要があれば部品を新しく交換してもらえます。そのため、分解掃除を行えば、ファンヒーターやストーブを長く安全に使い続けることが可能です。
分解掃除の料金相場
分解掃除をプロに依頼した場合、一般的な料金相場は1~2万円程度です。ただし、ファンヒーターやストーブの種類によって作業料金が異なります。たとえば、室内の空気を暖めて送風するファンヒーターと比べて、外気を取り入れて使うFF式ファンヒーターのほうが高めです。
また、業者ごとに設定料金やサービス内容が異なります。そのため、事前に複数社を比較したうえで、希望に添ったサービスを提供している業者に依頼しましょう。
なお、年式や型番が古い機種は、部品が供給されていないケースが多く、分解整備の対象外となる可能性があります。特に、製造から10年以上が経つ製品は部品の交換や掃除で費用がかさむため、買い替えを検討したほうが賢明です。
ファンヒーターを掃除しないとどうなる?
ファンヒーターの掃除をしないまま、片付けてしまう人も多いのではないでしょうか。しかし、掃除をしないまま保管すると、さまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。
ここからは、ファンヒーターの掃除をしなかった場合に起こり得るトラブルについて解説します。
燃焼効率が低下する
ファンヒーターの掃除をしないと、ファンフィルターにほこりが溜まり、燃焼に必要な空気を十分に取り込めなくなります。さらに、ファンに付着したほこりによってスムーズな回転ができなくなると、空気の循環が悪くなる可能性もあるでしょう。こうした状況に陥ると、ファンヒーターから出る温風が弱まるため、きれいな状態と比べると灯油の消費量が多くなります。
また、酸素が不足した状態で稼働し続けた場合、不完全燃焼が発生し、一酸化炭素中毒を引き起こす可能性があります。一酸化炭素は、無色・無臭で毒性の強い気体です。万が一、吸い込んでしまえば、気がつかないうちに中毒を起こし、頭痛や嘔吐、最悪の場合は意識障害や命に関わるケースもあります。赤い炎が見えたら、不完全燃焼を起こしている可能性があるので、すぐに消火してフィルターの掃除をしましょう。
悪臭が発生する
掃除不足が原因で、ファンヒーターから悪臭が発生する場合もあります。ファンヒーターは、灯油を燃焼させて空気を暖めるアイテムであり、十分な酸素が必要です。換気が不足していたり、ファンフィルターが詰まっていたりすると、不完全燃焼により悪臭が発生します。
前述の通り、不完全燃焼は一酸化炭素中毒につながり健康被害を及ぼす原因になりかねないため、いつもとは違う悪臭が発生した場合は速やかに掃除をすることが重要です。
石油ファンヒーターや石油ストーブから発生する臭いについては、以下の記事でも詳しく解説しています。気になる人はぜひ参考にしてください。
故障の原因になる
石油ファンヒーターの寿命は約6年といわれています。ただし、メンテナンスをしていた場合の寿命であり、掃除を怠れば短期間で故障することもあるでしょう。
本体に負荷をかけず長く使用するには、シーズン中や片付け前の掃除が欠かせません。ファンフィルター・本体外部の掃除は、掃除機やブラシ、柔らかい布があればすぐに作業を行えます。1週間に1回程度を目安に掃除をするだけでも、燃焼効率の低下や故障を防げるため、こまめなメンテナンスを心がけましょう。
掃除をしても燃焼効率が悪かったり、異臭がしたりする場合は、故障や部品の経年劣化の可能性があります。メーカーの保証期間内であれば、無償で修理してもらえるケースもありますが、保証期間を過ぎている場合は有償対応となるでしょう。交換部品や修理内容によっては高額になるため、買い替えを検討することをおすすめします。
まとめ
石油ファンヒーターの掃除がおろそかになると、燃焼効率の低下や故障につながる可能性があります。特に、ファンフィルターはほこりが溜まりやすい場所であり、こまめな掃除が欠かせません。詰まったまま稼働し続ければ、燃焼効率が下がるばかりか、不完全燃焼によって一酸化炭素中毒が発生する可能性があります。
また、残った灯油を次のシーズンまで持ち越すと、酸化や不純物が侵入する原因となるため注意が必要です。シーズンオフに入る前は、給油タンクや本体内の固定タンクから灯油を抜き取りましょう。
定期的にメンテナンスや掃除をしていたのにもかかわらず、燃焼効率が悪くなったり悪臭が発生したりする場合は、故障している可能性があります。保証期間内であれば修理を依頼すればよいですが、保証期間外であれば買い替えたほうがよいでしょう。購入コストを抑えたいという人は、リユースショップ・リサイクルショップの利用をおすすめします。
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