スピーカーは、テレビや音響機器、スマートフォンなどで「音」を聴くために必要な装置です。近年ではBluetoothに対応した製品が増えており、家電量販店で見る機会も多くなっています。
スピーカーは、音楽や動画を楽しむ際にも欠かせない装置ですが、どのような仕組みで音が鳴るのか知らない人も多いでしょう。そこで今回は、スピーカーの仕組みや、スピーカーの種類などを初心者向けにわかりやすく解説します。
スピーカーの構造と音が鳴る仕組み
まずは、スピーカーの構造と音が鳴る仕組みについて解説します。
スピーカーの構造
スピーカーは、「ボイスコイル」「マグネット」「センターキャップ」「コーン紙」「フレーム」の5つのパーツで構成されており、どのようなスピーカーであっても基本的な構造は変わりません。
このうち、音を発生させるうえで重要なパーツが、ボイスコイルとコーン紙です。ボイスコイルはマグネットの内側に備わっており、音の発生源となる振動を起こします。
コーン紙は、「振動板」とも呼ばれ、振動を音に変える役割を担うパーツです。音が出力される部分の中央に備わっており、外部に露出した状態になっています。一般的には振動しやすい紙やアルミ、チタンなどで作られており、薄くて軽量です。コーン紙は音の出口であるため、素材や形状、状態などで音質が変わります。
そのほかには、ボイスコイルやマグネットなどを支えるためのフレーム、ボイスコイルにゴミが入ることを防止するセンターキャップで構成されています。
スピーカーで音が鳴る仕組み
「音」とは、「振動」であり、空気や水、金属などの物質を介して耳に伝わります。そのため、真空状態で音を聞くことはできません。
スピーカーから音が鳴る仕組みをわかりやすく説明すると、「電気信号に変えた音源を、さらに物理的な振動に変えて、人の耳に音として届けている」ことになります。
音声出力回路から出た電気信号を受信するパーツがボイスコイルです。ボイスコイルに電流が流れることで磁場が生成され、両脇に設置されているマグネットの磁場と反応して振動が生じます。この現象を「電磁誘導」といい、スピーカーだけでなくIHクッキングヒーターやICカードなどにも使われている原理です。
電磁誘導によって発生した振動はコーン紙に伝わり、音波となって空気を振動させます。音波は私たちの耳に届き、「音」として聞こえる仕組みです。
スピーカーの仕組みは自作してみるとよくわかる
スピーカーの仕組みは、自作してみるとよくわかります。音の発生源であるボイスコイルやマグネットは、エナメル線と強力な磁石で作成可能です。エナメル線がない場合は、イヤホンケーブルやオーディオケーブルでも代用できます。
音を伝えるための振動体には、紙コップやプラカップ、バケツなどさまざまなものを使用できます。素材や大きさなどを工夫しながら、振動体による音質の違いを比べてみるのもよいでしょう。
このように、スピーカーは日常生活で使用するもので作れるため、小学生や中学生でもチャレンジできます。また、近年はボイスコイルやコーン紙などのスピーカーユニットと格納するボックスが揃った「スピーカーキット」も販売されており、理科の実験や自由研究にもおすすめです。
ただし、ハサミやカッターナイフなどの刃物を使うため、怪我をしないように十分注意して作業を行いましょう。
スピーカーユニットの搭載数によるスピーカーの種類
スピーカーは、スピーカーユニットの搭載数によって種類が異なりますが、1~3つ搭載されたタイプが一般的です。ここでは、搭載数による違いについて解説します。
フルレンジスピーカー
フルレンジスピーカーは、スピーカーユニットが1つだけ搭載されたタイプです。低音から高音まで、すべての音域(フルレンジ)をカバーすることが名称の由来となっています。
シンプルな構造により、音が混ざりにくい点が特徴です。クリアな音を表現できるため、元の音源をそのまま楽しみたいという人に向いているスピーカーといえるでしょう。
ただし、1つのユニットではカバーできる音域に限りがあり、スピーカーユニットが2~3つ搭載されたタイプに比べると、高音や低音が弱くなります。
2ウェイスピーカー
2ウェイスピーカーは、スピーカーユニットを低音域と高音域ごとに2分割したタイプです。低音域を担うスピーカーは「ウーファー」、高音域は「ツイター」と呼ばれています。異なる性質のスピーカーユニットを活用することで、音が重なり合い、広い音域の音を再現できる点が特徴です。
音の重なり具合によっては濁って聞こえるため、一般的なスピーカーでは不要な領域がカットされています。
3ウェイスピーカー
3ウェイスピーカーは、2ウェイスピーカーの低音域・高音域に加えて、中音域のスピーカーユニットを搭載して音を出すタイプです。このように複数のスピーカーユニットを搭載したタイプを、マルチウェイスピーカーといいます。商品によっては、4つ以上のスピーカーを搭載したものもあり、音質にこだわりたい人に人気です。
3ウェイスピーカーの特徴として、高音質を出力できる点が挙げられます。中音域を担当する「ミッドレンジ」を入れることで、ウーファーとツイターでは表現しきれない音域のカバーが可能です。低音から高音まで継ぎ目なくつなげられるため、なめらかな音質を希望する人に向いているスピーカーといえるでしょう。
ただし、フルレンジスピーカーと比べて、音が濁ったりぼやけたりする可能性があります。また、スピーカーユニットが増えれば、それだけコストが上がるでしょう。そのため、コストを抑えてスピーカーを購入したい人は、2ウェイスピーカーやフルレンジスピーカーが適しています。
増幅装置の有無によるスピーカーの種類
CDプレーヤーやレコードプレーヤーから出力される電気信号は小さいため、プレーヤーとスピーカーを直接つなげて大音量を出すには、大きな電力を使わなければなりません。この電力を調整するのに欠かせないアイテムが、増幅装置(アンプ)です。
スピーカーの種類は、増幅装置の有無によっても異なります。以下では、それぞれの特徴について解説します。
パッシブスピーカー
パッシブスピーカーとは、増幅装置が内蔵されていないタイプのスピーカーを指します。「パッシブ」には「受動」という意味があり、スピーカー自体には電源が不要です。しかし、駆動させる際は、外部アンプを用意しなければなりません。
パッシブスピーカーの特徴として、外部アンプによって音を出力するため、アンプ内蔵型のスピーカーよりも高音質である点が挙げられます。また、アンプとスピーカーが分かれていることから、カスタマイズがしやすく、よりよい音質を追求する人に向いています。
ただし、スピーカーとは別に増幅装置を設置する場所を確保しなければなりません。そのため、限られたスペース内で設置する場合は、配置の工夫が必要となります。
アクティブスピーカー
アクティブスピーカーは、増幅装置が内蔵されているタイプのスピーカーです。たとえば、Bluetoothスピーカーやワイヤレススピーカーの多くは、アクティブスピーカーに分類されます。
アクティブスピーカーの特徴として、外部アンプが不要であるため、スピーカーとプレーヤーをつなぐだけで、すぐに音を聞ける利便性が挙げられます。また、設置場所を確保する必要がなく、狭いスペースでも活躍します。
その他の分類によるスピーカーの種類
スピーカーには、左右のチャンネルを1つにまとめて出力する「モノラル再生」と2つのチャンネルを別々に出力する「ステレオ再生」の2つがあります。
モノラル再生が搭載されたタイプが「モノラルスピーカー」、ステレオ再生が搭載されたタイプが「ステレオスピーカー」と呼ばれています。また、3チャンネル以上のスピーカーを使うシステムは、「マルチチャンネルスピーカー」と呼ばれています。なお、このチャンネルの数が増えるほど、立体的な音を楽しめる点が特徴です。
スピーカーユニットの構造も、スピーカーの種類を分けるポイントとなります。一般的なスピーカーに用いられている構造は、円すい状の「コーン型」です。そのほか、半球状の「ドーム型」、板状の「リボン型」などがあり、それぞれに音質が異なります。
また、スピーカーユニットを乗せる筐体(エンクロージャー)の種類による分類として、「密閉型」や「バスレフ型」などがあります。密閉型は、筐体内にスピーカーユニットがすべて納まっているタイプです。一方で、バスレフ型は、スピーカーの前面もしくは後面に空いた穴から音が出力される構造になっており、近年販売されている多くのスピーカーに採用されています。
このように、スピーカーと一口にいっても多様な種類があり、特徴もさまざまです。希望する音を楽しむには、スピーカーの種類や特徴を把握、メリット、デメリットなどを把握する必要があります。
まとめ
スピーカーには多くの種類が存在しますが、基本的な仕組みはどのようなタイプでも同じです。スピーカーの構造を理解しておくと、自身のライフスタイルや好みにあった製品を選びやすくなります。
また、オーディオケーブルや磁石など、身近な素材を使ってスピーカーを自作するのもおすすめです。特に、小学生や中学生がいる家庭では、理科の実験としてスピーカーの仕組みを知るためにチャレンジしてみるのもよいでしょう。
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