数ある暖房器具の中でも、エアコンは部屋全体を暖められるため、寒い季節に欠かせません。しかし、近年はさまざまなメーカーから多様なラインナップのエアコンが登場しており、どれを選べばよいか迷う人も多いでしょう。
そこで今回は、エアコンの最適な温度設定や電気代を節約するコツを踏まえて、冬に活躍するエアコンのおすすめメーカーを紹介します。エアコンの購入を検討中の人は、ぜひ参考にしてみてください。
エアコン暖房の最適な設定温度
冬にエアコンの暖房で部屋を暖める場合、電気代が気になる人も多いでしょう。節電しながら効率的に部屋を暖めるには、適切な温度に設定することが大切です。
まずは、エアコン暖房の設定温度の目安や電気代との関係について解説します。
エアコン暖房の設定温度の目安
環境省で、寒い冬を快適に過ごすアイテムやアイデアを活用した暖房に頼りすぎないライフスタイルとして、2005年から「ウォームビズ」を提唱しています。ウォームビズで環境省が推奨するエアコンの設定温度の目安は、20℃です。
ただし、これは節電を考慮した温度であり、必ずしも適温とは限りません。多くの人は、22℃前後を快適と感じる傾向があるため、環境省が推奨する20℃を参考にしながら、自分に適した温度に設定するとよいでしょう。
暖房の適正温度について、以下の記事で詳しく解説しています。エアコンの使用が増える冬場の節電方法を知りたい人は、参考にしてみてください。
エアコン暖房の設定温度と電気代との関係
エアコンの電気代は、温度差が大きいほど高くなります。例えば、室温が30℃の部屋を冷房で25℃に下げるよりも、5℃の室温を20℃に上げる暖房のほうが電力を消費します。エアコン暖房を使う際に、設定温度を上げすぎると、さらに外気温との差が開き、消費電力も大きくなるため注意が必要です。
一方で、暖房の設定温度が1℃下がれば、消費電力は約5~10%節約できるといわれています。電気代を抑えるのであれば、20℃を目安に設定温度を調整すると節電に効果的です。
エアコン暖房の設定温度を下げても冬を快適に過ごすコツ
節電を考えてエアコン暖房の温度を20℃程度にしているけれど、寒いと感じる人も多いでしょう。設定温度を抑えながら快適に過ごすには、サーキュレーターや加湿器を併用したり、フィルターの掃除をしたりといったコツを押さえることが大切です。
続いては、エアコン暖房の設定温度を下げても冬を快適に過ごすコツを7つ解説します。
サーキュレーターを併用する
暖かい空気は軽く、冷たい空気は重いため、エアコンから出た温風は上昇して天井側にたまります。冷たい空気が床側にたまり続ければ、いくらエアコン暖房を使っても部屋全体が暖まりません。
エアコン暖房を効率的に活用するには、サーキュレーターを併用して天井側にたまった暖気を撹拌(かくはん)することが大切です。サーキュレーターを使用する際は、エアコンの対角線上の隅に配置して、部屋全体に暖気が循環するように留意しましょう。
サーキュレーターや扇風機とエアコンを併用するメリットについて、以下の記事で詳しく解説しています。置き方や風向きなど押さえておきたいポイントを知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
加湿器を併用する
寒い冬に室内で快適に過ごすには、湿度にも留意する必要があります。室温が同じでも、湿度が下がれば体感温度も下がるためです。
特に冬は乾燥しやすい時期であり、室内の湿度も下がっています。そこで活躍するアイテムが加湿器です。エアコンと加湿器を併用することで、設定温度をウォームビズが推奨する20℃に合わせても、体感温度が下がらず快適に過ごせます。
フィルターをこまめに掃除する
エアコンには、空気中に漂うほこりやゴミがエアコン内部に侵入することを防ぐフィルターが備わっています。フィルターの掃除を怠ると、ほこりやゴミが網目に詰まって熱交換効率が下がるため、注意が必要です。熱交換効率が下がれば、部屋を暖めるのに時間がかかってしまい、快適に過ごせません。
熱交換効率を上げて快適な温度を保つには、フィルターのこまめな掃除が不可欠です。掃除の頻度は、エアコンの使用頻度によって異なりますが、毎日使う場合は2週間に1回程度行うとよいでしょう。
また、フィルターだけでなくエアコン内部のカビ取りも重要です。カビを放置したままエアコンを使用すると、温風とともにカビの胞子が広がります。健康面にも悪影響があるため、定期的に掃除をしてから使用しましょう。
室外機の周辺をスッキリさせる
エアコン暖房は、室外機から外気の熱を取り込んで部屋を暖める仕組みです。室外機と室内機の間に冷媒(ガス)が流れており、外気の熱を運んでいます。
そのため、室外機の周辺に障害物があると、空気の通り道がふさがってしまい熱効率の低下につながります。熱効率が下がって暖房が効かないと感じる場合は、室外機の周りをチェックしましょう。障害物がある場合は、撤去してスッキリさせると熱効率が向上し節電効果も高まります。
なお、室外機の配管から水が漏れていても霜取り機能によるものなので問題ありません。霜が付着した状態だと暖房の効きが悪くなりますが、霜取り機能によって熱効率が保たれています。
服装で調整する
エアコン暖房だけに頼らず、服装で温度調節する方法も効果的です。例えば、カーディガンを一枚羽織ったり、厚手の服を着たりするだけで体感温度が上がります。
また、皮膚のすぐ下に血管が走っている首元や足首、手首を温めるのも冬を快適に過ごすポイントです。いわゆる「3つの首」といわれる場所で、ここが冷えると体全体が冷えてしまいます。タートルネックや手首が隠れる長めのシャツ、レッグウォーマーなどを活用して、しっかりと温めましょう。
着膨れが気になる人は、軽くて暖かい素材の衣服を選ぶことをおすすめします。
窓の断熱性を上げる
室内の熱は、窓や出入口などの開口部から出入りしています。せっかくエアコン暖房で部屋が暖まっても、窓から熱が逃げてしまうと意味がありません。寒い冬を快適に過ごすには、窓の断熱性を上げることも重要です。
例えば、窓ガラスの内側に断熱シートを貼ったり、厚手のカーテンを使用したりすると、熱を逃しにくくなります。
断熱性が十分にあるかどうかを確認する目安の1つが結露です。窓が結露している場合は、室外の冷たい空気が窓の内側に伝わっている証拠であるため、断熱対策を検討しましょう。
足元を温める
足元が冷えている状態だと、体感温度が下がりやすくなります。寒い冬を快適に過ごすには、スリッパや足温器などを活用して足元を温めることが大切です。
足温器はフットウォーマーとも呼ばれ、さまざまなバリエーションがあります。例えば、クッションタイプの足温器であれば、足だけでなく腰や首などを温める際にも使えて便利です。また、ブーツタイプの足温器は、足を覆うことができるため、しっかりと温めやすいでしょう。
エアコン暖房のおすすめメーカー
エアコン暖房器はさまざまなメーカーが提供しています。ここでは、エアコン暖房のおすすめメーカーを5つ紹介します。
〈DAIKIN ダイキン〉
ダイキンは、業務用の空調をメインに取り扱うメーカーです。家庭用エアコンも展開しており、「うるさらシリーズ」で知っている人も多いでしょう。業務用空調で培った技術力が高く評価されており、家庭用エアコンも人気があります。
ダイキンのエアコンの魅力は、独自の空気清浄技術を生かした「ストリーマ」を搭載している点です。この機能により、花粉やウイルスなどを抑制してくれるため、アレルギーが心配な人にも向いています。
また、上位機種にはAIが使う人の好みを学習する「AI快適自動運転機能」が備わっています。
〈Panasonic パナソニック〉
パナソニックは、洗濯機や冷蔵庫など多様な家電を展開するメーカーです。エアコンもその1つで、省エネ性能が備わった「Eolia(エオリア)」シリーズが注目されています。パナソニック独自の省エネテクノロジーにより、快適な温度を損なうことなく節電が可能です。
また、清潔機能の「ナノイーX」が備わったタイプのエアコンもあります。ナノイーXとは、水から生まれて水に戻る清潔イオンで、空気中に漂うウイルスや花粉、カビなどを除去します。エアコンの臭いが気になる人にもおすすめです。
〈Mitsubishi Electric 三菱電機〉
三菱電機のエアコンといえば、50年以上の歴史がある「霧ヶ峰」が有名です。1958年に、家庭用エアコン初の「ラインフローファン」を取り入れ、壁掛け式家庭用エアコンをリリースしました。
2014年からは人や床の温度を感知して、温度ムラを防ぐ「ムーブアイ」を取り入れています。その中でも最新機能の「ムーブアイmirA.I.+」は、ボタン1つで体感温度を先読みして運転モードを変えることが可能です。細かいコントロールにより、効率的に節電できるため、消費電力が気になる人に向いています。
〈SHARP シャープ〉
「プラズマクラスターエアコン」で知られるシャープも、人気のあるメーカーです。プラズマクラスターとは、シャープが独自に開発した機能で、空気中のウイルスやカビを抑制します。
シャープのエアコンの中でも上位モデルに位置する「N-Xシリーズ」は、50,000個/立方センチメートルのイオン濃度があり、エアコンの停止中でもイオンを放出する点が大きな特徴です。室内やエアコン内のカビだけでなく、ソファやカーペットなどのファブリック家具にもイオンが届き、消臭効果も期待できます。
〈TOSHIBA 東芝〉
東芝のエアコンの大きな特徴は、きれいな空気に注力した「大清快」シリーズを展開している点です。エアコン内部を徹底的に掃除する「UVプレミアムクリーン除菌」が搭載されているほか、運転を停止したときは、自動的に清掃する「セルフクリーン機能」も備わっています。
また、PM2.5を静電気でキャッチする「プラズマ空清浄」により、微細なハウスダストを屋外に排出してくれるため、アレルギーが気になる人にもおすすめです。
加えて、2027年度省エネ基準も達成しており、電気代の節約も期待できます。
エアコン以外の暖房器具の特徴
冬を快適に過ごすのに役立つ暖房器具は、エアコンだけではありません。続いては、エアコン以外の暖房器具として、石油ファンヒーター・石油ストーブ・電気ストーブの3つを紹介します。
石油ファンヒーター
石油ファンヒーターとは、灯油を燃やして発生する熱をファンで送り出す暖房器具です。速暖性が高いため、寒い日に部屋を暖めるのに適しています。
ただし、ファンを回転させるのに電気が必要であり、コンセントがない部屋では使えません。また、エアコンと比較すると空気が汚れやすく、燃焼をする際に酸素を使うため、定期的な換気が不可欠です。
石油ファンヒーターとエアコンの電気代を比較したい人は、以下の記事をぜひご覧ください。節電方法についても詳しく解説しています。
石油ストーブ
石油ストーブは、石油ファンヒーターと同様に、灯油を燃やした熱で暖を取るアイテムです。電源不要で電池があれば使えるタイプも多いので、場所を選ばずに設置できます。
また、石油ストーブの上部にやかんや鍋を置いて調理することも可能であり、光熱費の削減を図りたい人にもおすすめです。
ただし、石油ファンヒーターと同じく、定期的な換気が欠かせません。給油する手間がかかる点もデメリットといえるでしょう。
停電時でも使える石油ストーブも注目されています。おすすめの石油ストーブを知りたい人は以下の記事を参考にしてみてください。
電気ストーブ
電気ストーブは、石油燃料を使わずに電気の力で部屋を暖められるアイテムです。熱源は、カーボンやハロゲンなど多岐にわたり、いずれも速暖性に優れています。
ただし、ピンポイントで暖めるのに適しており、部屋全体を暖めたい場合には向いていません。脱衣所やトイレなど、狭い空間での冷えが気になる人におすすめです。
暖房器具の電気代については、以下の記事を参考にしてみてください。電気代の暖房器具ランキングを紹介しています。
まとめ
エアコン暖房は、すぐに部屋全体を暖めたいときに役立つ暖房器具です。しかし、エアコンフィルターが汚れていたり、室外機の周りに障害物があったりすると熱効率が下がるため注意しましょう。
また、適正温度を保ちながら寒い冬を快適に過ごすには、衣類を工夫したり、窓の断熱性を高めたりすることも大切です。
なお、エアコンだけでは暖まらないと感じる人は、エアコン以外の暖房器具を検討してみるのもよいでしょう。全国に850店舗を超える実店舗とオンラインストアを運営する〈2nd STREET セカンドストリート〉では、各メーカーの暖房器具を多数取り扱っています。新品よりもリーズナブルな価格で購入できるので、買い替えを検討中の人は、ぜひご利用ください。
また、不要になった暖房器具の買取も行っています。新しいモデルであれば、買取価格が高くなりやすいため、ぜひお早めに買取に出してみてはいかがでしょうか。