“セカイに誇るニッポンのモノ” 〈エンジニアドガーメンツ〉とは。【人気コラボレーション編】
セレクトショップ「NEPENTHES ネペンテス」のオリジナルブランドとして、デザイナー鈴木大器氏が立ち上げた〈OPUS オパス〉を祖とし、1999年に誕生した同ブランド。2008年に始まった「GQ/CFDAメンズ新人デザイナー賞」の記念すべき第1回目を受賞し、今日では一般層にまでワールドワイドかつマジョリティなブランドとして認知され、トラッド、スポーツ、ミリタリー、ワークなどのエレメンツを取り入れた、機能的かつタフなデザインで“モノ”好きたちを魅了して止まない。
前回は、【定番人気アイテム編】と題し、それらの要素を色濃く映し出した名作ジャケットの数々を紹介した。これを受けて続く今回は、様々なブランドとの共創によって生み出されたコラボレーションモデルにスポットを当てるとしよう。では早速、最初のコラボレーションモデル……といきたいところだが、焦ることなかれ。まずは、前回9,000文字を超えてなお紹介しきれなかった定番人気モデルの【シャツとパンツ】から、再び9,000文字超えの復路を、いざスタート。
〈Engineered Garments
エンジニアド ガーメンツ〉
定番人気アイテム⑨
「19C BD SHIRT 19C BD シャツ」
何の変哲もない。
と思わせてハシゴを外す天邪鬼な白シャツ
古き良きアメリカンクラシックを根幹に置く〈Engineered Garments エンジニアド ガーメンツ(以下、EG)〉だけに、アメリカントラッドの定番アイテムにも、深い知見とこだわりを持っている。一見何の変哲もない白のB.D(ボタンダウン)シャツにおいても然り。そのモチーフは、B.D シャツが歴史上に姿を現した19世紀のドレスシャツである。モデル名の「C」とはセンチュリーを指すことは言うまでもない。
読者諸氏にとっては常識だろうが、一般的にB.Dシャツには厚みとハリがありシワになりづらいオックスフォード生地を使うことが多い。そんな調理前の仕込みからひと味違うのがEG流。通常であればドレスシャツに用いられる、柔らかく肌触りの良い100番手双糸の高密度なブロードクロスを採用。あえて洗いざらしで仕上げることで、細かなパッカリングを浮かび上がらせ、上品さを保ちながらもカジュアルな表情に。
どんなに素材は良くとも、縫製に手を抜けば全て台無し。……なんてことも承知のこと。本モデルでは、高級シャツに多く見られるシングルニードルを採用。手間暇かけた縫い目の美しさが、カジュアルなはずのB.Dシャツにえもいわれぬ品格を宿す。現代的かつ平易な言い方をすれば“エモい”というやつ。ふわりと絶妙なバランスでロールした襟は、重ね着した際にも収まりが良い。
全体のシルエットはゆったり身幅に長めの着丈。重なり合うようにラウンドした裾を、イン&アウトで様になるクラシカルな佇まい。深く取られたサイドスリットの裾にチラリとのぞく補強用のガゼット、さらに袖口の細かいプリーツと細部に至るまで流石の仕立て。これぞ流行に左右されず使いまわしの利くオーセンティック。合理主義から生まれたアイテムを“逆に”面倒な仕様で作る。そんな天邪鬼さもEGらしいではないか。
〈Engineered Garments
エンジニアド ガーメンツ〉
定番人気アイテム⑩
「WORK SHIRT ワークシャツ」
小細工不要、看板に偽りなし。
これが現代のアメリカンクラシック
アメリカントラッドの代表選手であるB.Dシャツに続いてフォーカスするのは、働く男たちを支えるユニフォームとして誕生したワークウェア。そこから題を取った本作の名は「WORK SHIRT ワークシャツ」。見ての通りそのままだが、毎シーズン素材を変えつつリリースされ続けてきた定番中の定番ゆえ、下手な小細工なし看板に偽りなし。そこにファンは痺れる憧れる。総じて直球なモデル名の多いEGにおいても、これは稀に見る豪速ストレート。
直球ついでに本稿では、質実剛健なコットンシャンブレー生地のタイプを紹介。いの一番に視界に飛び込んでくるのが、左右非対称のポケットだろう。左胸には通称「山ポケ」と呼ばれる上部が尖った山型ポケット、右胸にはペン差し付きの縦長ポケットを配置。この仕様は恐らく、ヴィンテージワークシャツの世界では名の知れた〈BIGYANK ビッグヤンク〉をオマージュしていると思われる。
加えてボタンも、ヴィンテージの証となっている通称「猫目ボタン」。肘部分には補強布が当てられ、シングル、ダブル、トリプルと部位によってステッチを使い分けている点が、口うるさい通人を唸らせるポイント。ワークシャツらしく耐久性に優れ、汚れも目立ちにくい素材と“いかにも”なディテールの取り合わせも、洗練されたシルエットで仕上げることにより、ファッションへと昇華されている。
なおこちらのモデルは、今は使われていない旧タグを使用。EGの存在を知らぬ者が見たら、アメリカンブランドと勘違いしてしまいそうな、無骨でバタくさいデザインも実に味わい深い。これまたトレンドに左右されることなく、現代のアメリカンクラシックと呼ぶに相応しい1着だ。
〈Engineered Garments
エンジニアド ガーメンツ〉
定番人気アイテム⑪
「FA PANT FAパンツ」
ポケットは多いほど好ましい。
そんな多ポケット至上主義者に贈る1本
思いがけぬ延長となった【定番人気アイテム編】もここらでゴール。EGの定番人気ボトムスといえば、アメリカ陸軍のミリタリーパンツをベースに、独自のアレンジを加えた「Fatigue Pant ファティーグパンツ」を思い浮かべる人も多いことだろう。しかし、ここではヒネリを加えたセレクトで勝負したい。そこで2020 SSシーズンよりラインアップに加わり、以降その個性的なデザインが支持を集め定番化した「FA PANT FAパンツ」の出番だ。
両太モモに配置された大型のカーゴポケットと使い勝手の良いスラッシュポケット、背面のフラップ付きバックポケットに加え、本モデルの個性的に見せているのが、フロントにあしらわれた3つの小型ポケットの存在。マチ付きの立体的な造形が遊び心のあるユニークなシルエットを構築。オーセンティックなファティーグパンツにはないモダンな雰囲気を演出し、着こなしの幅を広げる一助たり得る。
ついでに「FA」のネーミングも気になるところ。FRENCH ARMYの頭文字を意味するそうだが、元ネタは不明。裾の絞りとシルエットから察するに、フランス空軍の「F-2 PANT F-2パンツ」のDNAが流れているようにも思えるが、真相やいかに。またシーズンによって素材も自ずと変わる。こちらのモデルでは、角度によって色合いが変化する玉虫色のギャバジン生地を採用。独特の光沢がたまらないレアピースだ。
〈Engineered Garments
エンジニアド ガーメンツ〉
人気コラボレーション①
×〈Barbour バブアー〉
「Washed Highland Parka
ウォッシュド ハイランドパーカ」
「もしもバブアーが
モッズコートを作ったら?」
という問いへのベストアンサー
長過ぎた助走を終えて、いよいよ本題。コラボレーションモデルに話を移そう。一番手のパートナーは、イギリスの老舗〈Barbour バブアー〉。もはや説明するまでもないが、1894年に創業した同国を代表するアウトドア‧ライフスタイルブランド。これまで数度に渡ってコラボを実現させてきたが、今回は4度目となった2020 SSシーズンのモデルをピックアップする。
過去に人気を誇ったアーカイブモデルや、それらのアップデートモデルなど揃いも揃ったり全5型。同シーズン共通の特徴といえるのが全てに施されていたウォッシュ加工。本稿で取り挙げる「Washed Highland Parka ウォッシュド ハイランドパーカ」もまた、バブアーのアイコンでもある「ワックスドコットン(ワックスドクロス)」に洗いの風合いが加わることによって、経年変化の表情を湛えるヴィンテージの如き佇まい。
全体の意匠は、「モッズコート」の通称でも知られる米軍「M-51ミリタリーパーカ」スタイルを踏襲。ただし、それもあくまでベースの話。そこに鈴木大器氏のディテールへのこだわりが巧みにツイストを加える。その代表例が、いかにもバブアーらしいハンドウォーマーポケットと前後のフラップ付きパッチポケットだろう。十分な収納力を持たせながらも元意匠を破綻させることなく、自然な景色として馴染んでいる。
かくして収納力は十分過ぎるほどなのだが、背面上部にも左右からアクセスするジップ付きポケットでダメ押し。デザイン的アクセントと機能性を兼ねた、まさに機能美。もひとつ、内側に装備されたベルトは脱いだコートを背負う際に役立つ嬉しいギミック。今回用意したのは春夏用のノンラインニングタイプだが、そこも勘定に入れるとするならば、活躍のシーズンはさらに広がるに違いない。
〈Engineered Garments
エンジニアド ガーメンツ〉
人気コラボレーション②
×〈BARACUTA バラクータ〉
「G9 / MA-1」
スポーツ×ミリタリーのマッシュアップは
間違いないという確固たる証明
続いての伴走者は〈BARACUTA バラクータ〉だ。1948年にゴルフ用ジャケットとして開発され、全てのブルゾン、ジャケットの原型とされるアイコン的傑作「G9」は特に著名。昭和生まれのアメカジ世代にとっては、俳優のスティーブ・マックィーンが同モデルをクールに着こなす姿が脳裏に焼き付いている人も多いだろう。ゆえにアメトラ的印象こそ強いが、歴としたイギリス生まれの無骨なジョンブル・アウター。
となれば、コラボレーションのベースモデルに選ばれるのも、当然「G9」。その古き良きムードを崩すことなく、前回取り挙げたMA-1タイプの名作「AVIATOR JACKET アビエータージャケット」のディテールを融合。かくして誕生したマッシュアップモデルの名称は「G9 / MA-1」……これまた直球。いや、むしろ深慮の軌跡を感じさせるネーミングにも思えてくるのがEGの不思議。
ディテールを注視すれば、その変更点は多岐にわたる。まずはG9の最たる特徴、襟部分から。開いた形状が犬の耳に似ていることから「ドッグイヤーカラー」と呼ばれる襟は、着脱に便利なスナップボタンに。かたやもう1つの特徴である、傘のように雨滴をスムーズに流す役割を持つバックヨーク「ウィング‧バック‧アンブレラ」は、あえてのオミット。これが功を奏して、街使いにもよく馴染むミニマムな外貌に仕上がっている。
防風性・保温性といった着心地に直結する機能性への配慮も忘れてはいない。袖先と裾をニットリブに変え、ライニングは、玉ねぎ型のオニオンステッチが施されたキルティング仕様。オーバーサイジングなフィットとの相乗効果で、現代の都市生活者に適したコンフォータブルな着心地を手に入れた。
(→〈BARACUTA バラクータ〉に関する他の特集記事はこちら)
〈Engineered Garments
エンジニアド ガーメンツ〉
人気コラボレーション③
×〈UNIQLO ユニクロ〉
「Fleece Combination Jacket
フリースコンビネーションジャケット」
がっぷり四つに組まれた、
ユニークな発想とイージーな着心地
数々のコラボで成功を収めたEGは、2019年に日本が世界に誇るライフウェアブランドともシェイクハンドを交わす。ご存知、〈UNIQLO ユニクロ〉だ。古き良きアメリカのデザインを再解釈することにより、普遍的でありながらモダンに昇華されたEGのデザインと、革新的で高品質な服づくりを追求するユニクロの美意識が融合した新たなライフウェアを提案し、世界的にも大きな話題に。ここで取り挙げるのは、同年のAWシーズンに展開された第2弾コレクションの象徴的アイテム「Fleece Combination Jacket フリースコンビネーションジャケット」である。
ユニクロのフリース発売25周年を記念して発表されたのは4型のフリースウェア。中でも、毛足の異なる3種類のフリース生地+ナイロン素材の計4種の生地を、クレイジーパターンのパネル状に配置したユニークなルックスの本作は大いに衆目を集めた。これ1つ取り入れるだけで、いつもの着こなしを新鮮なものへと変えてくれるのだから、当然売れないわけがない。
無論、異素材コンビネーションは見た目の面白さのみを求めたものにあらず。負荷の掛かりやすい箇所に耐久性に優れ毛玉にもなりにくいナイロン生地を当てがうことで、長く着続けられるように補強する役目も帯びている。これに肩や胸周りに余裕を持たせたオーバーサイズシルエットを組み合わせることで、万人にフィットする汎用性を獲得。
首裏は毛足の長いフリースで着心地を高め、防寒性も必要にして十分。両者のロゴが表立っていないなど、ちょうど良い塩梅は、ジャパンブランド同士ならではの阿吽の呼吸の賜物か。カラーは3色展開だが、ロックバンド「king gnu」の常田大希氏が公私に渡って着用したこのコヨーテカラーが、リユースマーケットでは圧倒的人気の様子。逆にそれ以外を狙えば、簡単確実に差別化が図れる。
〈Engineered Garments
エンジニアド ガーメンツ〉
人気コラボレーション④
×〈Dr.Martens ドクター・マーチン〉
「Church Lace Low Boot
チャーチ ロー ブーツ」
前後・左右非対称、
見ても・見せても・履いても楽しい素材使い
アパレルブランドとのコラボにも精力的だが、昨今はシューズブランドとの協業がファッションニュースサイトを賑わせているのは既知の通り。そこでまずは〈Dr. MARTENS ドクターマーチン〉とのコラボコレクションから、翌2017 AWシーズンに第2弾として発表されたモデルを紐解く。ベースは、1940年代にチェコ軍で制式採用されていたミリタリーブーツの「CHURCH チャーチ」。
外羽根式で正面から見た姿がサルの顔のように見えることから、「モンキーブーツ」の名でも呼ばれるこのモデルを、履き口を通常よりもやや低く後ろ下がりにカットし、脱ぎ履きしやすいくるぶし丈へとアレンジ。最大の特徴は、巧みかつ遊び心に富んだ素材使い。前足部と後足部をスムースレザーとスエードレザーで切り替えるだけでは飽き足らず、左右をアシンメトリーに。
普通に履くだけでも、いわゆるネガティブ履きになるこのユニークな仕様は、今やEGのコラボシューズにおける伝統芸となっているが、肝心要の履き心地は至極真っ当。トゥ部分まで伸びた外羽根が、シューレースの締め方で着用者の足形に合わせられるように設計されており、エアクッションソールとの相乗効果がスニーカーにも劣らぬ快適さをもたらす。
アッパーサイドに走る曲線的なステッチこそチャーチ特有のものだが、挿し色効果もあるコバ部分のイエローステッチなど、ドクターマーチンたらしめるディテールも健在。見て楽しく、見せても楽しく、履けばなお楽しい。言うならば、三猿ならぬ三楽か。いかにも愉快な一足を、お探しならば一考の価値あり。
〈Engineered Garments
エンジニアド ガーメンツ〉
人気コラボレーション⑤
×〈Paraboot パラブーツ〉
「Michael / Marche ミカエル / マルシェ」
荒々しき山の息吹と
都会の上品さが共存する、
バランス感の妙味
1908年創業、フランスの名門〈PARABOOT パラブーツ〉とも、2022 AWシーズンに初のコラボレーションを果たした。ベースになったのは、発表から80年近く経った今でも多様なスタイルを下支えしているチロルスタイルの定番「MICHAEL ミカエル」。無駄のないミニマルデザインゆえに使い勝手もすこぶる良好。この万能の優等生を相手に、我らがEGの取った選択肢とは?
答えは意外にも、ヘビーデューティーな山靴への先祖帰り。毛足の長いスエードとスムースレザーによるコンビアッパーは押しも押されもせぬEGのお家芸。そこに本格派マウンテンブーツの象徴Dリングと、ストライプ柄の極太ロープレースの無骨なタッグで、見る者に新鮮な驚きを与える。さらに足元をノルウェイジャン製法による堅牢性と、天然ゴム製でグリップ力に定評のある「MARCHE II SOLE マルシェII ソール」が支えるとなれば、タフさは折り紙付き。
一世紀以上もの歴史を経た今もなお、“MADE IN FRANCE”にこだわり生産を続けるパラブーツと、“MADE IN USA”を貫くEG。さらに共通するのは、クリエイティブの根底にあるクラフトマンシップと、そこに裏付けされた普遍性、そして時代に合わせる可変性を持ちわせる懐の深さ。そんな両者の共鳴により生まれた、至上の逸足だ。
(→PARABOOT パラブーツ〉に関する他の特集記事はこちら)
〈Engineered Garments
エンジニアド ガーメンツ〉
人気コラボレーション⑥
×〈HOKA ONE ONE ホカオネオネ〉
「BONDI L ボンダイ L」
上質な素材と
ストリートの感覚を備えたデザインに、
最高の機能性が融合
予想以上に長引いた復路も、残りあと僅か。ラストパートナーとして同郷のパラブーツからタスキを受け取ったのは〈HOKA ONE ONE ホカオネオネ〉(※現在の名称は〈HOKA ホカ〉)。独自のテクノロジーが生む極上の履き心地で、一気にトップ集団に躍り出た同社との初のコラボレーションは2018 SSシーズン。そこから2度の伴走を重ね、2021年の8月に発表された第4弾モデルが「BONDI L ボンダイL」。
2011年にブランド初のロードランニングシューズとして誕生した「BONDI B ボンダイB」に、新デザインのレザーコンフォートアッパーを採用したライフスタイルモデルをベースに選択。色鮮やかなアシンメトリー配色で人々を驚かせた第3弾モデルから一転、落ち着きを感じさせるトーナルカラーが大人の装い。
ハラコ‧スエード‧メッシュと異素材を組み合わせたコンビアッパーに、落ち着きのある配色がマッチ。
「過去に展開したシューズやブーツのエッセンスをスニーカーに盛り込みたいという思いから誕生したモデル」というのは鈴木大器氏の言。ハラコやスウェード、メッシュといった質感の異なる素材を組み合わせたアッパーを、推進力を促すメタロッカーテクノロジー、ワイドなフットベッド搭載のフルEVAミッドソールといった、高いパフォーマンス性能を備えたソールにマッチングさせることで、新たな可能性を開拓した。
また、当時のホカの副社長グレッチェン・ウェイマーも、「2つの最先端の世界が一緒になり、ユニークなものを作り上げた時の素晴らしさを再確認した」と称賛を述べている。これら2人の言葉をもって、本作を“上質な素材とストリートの感覚をミックスしたデザインに、最高の機能性が融合されたEGコラボシューズの1つの到達点”と位置付けても差し支えないだろう。
(→〈HOKA ONE ONE ホカオネオネ〉に関する他の特集記事はこちら)
往復18,000文字以上にも及ぶ、「EGとは何か」を探す道のりも、いよいよ終わりに近づいているようだ。
優れたクラフトマンシップ、大規模なマスプロダクションというアメリカ洋服文化の礎にして相反する二つの要素を継承し、日本人の手で現代のアメリカンクラシックを生み出し続けるEG。
世間一般では、「かつて存在した型や生地を使って、文献的にも正しいやり方で作るブランド」と思われがちだが、それだけではない。時に「なんで?」というモノも混じっていたりする。そして、その柔硬の具合が“遊び”であり我々を惹きつける“味”となる。
常に“人と違うこと”に意味があると信じて走り続けてきた男・鈴木大器。
真面目に不真面目、天邪鬼でへそ曲がり。そんな男が作る服は、だからこそ面白い。