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理想の部屋をつくる “おしゃれ” な名作インテリア図鑑 〈カリモク〉〈ハーマンミラー〉〈ペンドルトン〉‧‧‧

“好き”を、“気持ちいい”を、身近に置く。人も、服も、そして家具も。そんな理想郷で羽を休めるべく、今回はやや趣向を変えて一生モノのインテリアを紐解いていこう。

コロナ禍を経て家時間が増えた現在、さらに高まる家具の重要性も言わずもがな。豊かな時間をともにするパートナーを、傑作ばかりを取り揃えた8つのリストから探し出してほしい。

おしゃれインテリア①
〈カリモク60 カリモクロクマル〉
「Kチェア」

なにはなくとも、まずは椅子から。最初にお目にかかるは、日本が誇る家具メーカー「カリモク」の派生ラインが手掛けた逸品だ。〈カリモク60 カリモクロクマル〉という名前は、1960年代の名作をアップデートするブランドコンセプトに由来。本作の元ネタ「K チェア」は1962年に誕生し、1940年創業のカリモク(ブランド名は創業地の愛知県刈谷市の「カリ」と木材の「モク」から付けた造語)がつくった自社製チェア第一号としても知られる。

クラシカルなルックスであらゆる部屋に馴染む〈カリモク60〉の「Kチェア ケイチェア」。木の骨組みの側面にはブランド名を示す黒のアクリルプレートが。

程良くツヤを湛えたビニールレザーと、角が丸みを帯びた天然の木材。ふたつの異素材が繊細に調和し、クラシカルで落ち着いた雰囲気を生む。シートのボタン留めは立体的な見え方に作用すると同時に、内部のクッション材と表面生地のズレを防止する役割も担う。ボタン自体は金具部分で回転し、ナイロン紐が切れにくい安心設計。ウッド部分にはサンドペーパーによる滑らかな仕上げが施されるなど、細部も当然抜かりない。

サイジングにもブランドの配慮が潜んでいる。一般的なソファの奥行きが85〜100㎝とされるなか、Kチェアは70㎝と浅め。高齢者や小柄な女性、子供も腰掛けやすく、一方で成人男性にもフィットする絶妙な塩梅を実現した。

ボタン留めのビニールレザーシートは、背もたれの両端が緩やかにカーブ。滑らかな質感の天然木は、色合いや木目が細かく吟味されている。

ちなみに、カリモク60というブランドの誕生は「60VISION ロクマルビジョン」と呼ばれるプロジェクトが呼び水となった。日本がこれまで生み出した数々のアイテムに対して普遍的な価値を再認識し、⻑く使い続けられるデザインとして育成していく取り組み。京都造形芸術大学教授ナガオカケンメイ氏のそんな提唱に賛同したカリモクが、2002年からアイテム製造をスタートさせた。

ただそこにあるだけで、思わずニンマリしてしまうほどの安心感、存在感。日本が誇る傑作中の傑作だ。

普遍的価値を宿すそのプロダクトはレトロモダンの先駆けであり、これから先も頼れるロングライフデザインの教科書的存在とも言えよう。

(→〈カリモク〉・〈カリモク60〉の「チェア」をオンラインストアで探す)

 

おしゃれインテリア
HermanMiller ハーマンミラー〉
チャールズ
&レイ・イームズの
「シェルチェア」

お次も椅子だが、東から西へと洋を渡る。アメリカきっての世界的オフィス家具メーカー〈HermanMiller ハーマンミラー〉による代表作「シェルチェア」に腰を下ろしてみよう。

〈HermanMiller ハーマンミラー〉による、 チャールズ&レイ・イームズの「シェルチェア」。表面にはグラスファイバーとともに、うっすらとハーマンミラー社の文字とロゴが確認できる。

1940年代からジョージ・ネルソン、イサム‧ノグチら伝説的賢人とともに数々の傑作を生み出し、インテリアの歴史を大きく塗り替えた名門。彼らのつくるミッドセンチュリー家具のなかでも、チャールズ&レイ・イームズとの合作「シェルチェア」の完成度は図抜けている。

跳ね上げ式のサイドテーブルは、座った際に窮屈にならないよう設計。シェルの縁の部分は丁寧に処理され、快適な座り心地を実現する。

一体化した背もたれと座面がアイコニックな名デザインは、1950年にデビュー。当時、ヘルメットをはじめとする工業製品の素材として使用されることが多かった強化プラスチックに着目した、イームズ夫妻の慧眼が際立つ。軽量で丈夫、そのうえ安価のため大量生産が可能となったのだ。

サイドフレームに設けられたフックにより、連結もすんなり。細かなディテールにまで機能美が貫かれる。

そんなシェルチェアの仲間のうち、写真のモデルは通称「スクールベース」とされるもの。もともと学校などに置かれた、サイドテーブル付きの一人用チェアだ。サイドテーブルは固定式ではなく跳ね上げ式のため、収納時は気軽にスタックできる。

スタックしても、連結しても、見た目の美しさはピカイチ。実に、絵になる椅子だ。

また、フレームサイドにはフックが備えられ、しっかりと連結することで横並びの配置が美しくまとまる仕様に。しまってよし、並べてよし、ひとりで腰掛けてよし、眺めてよし。使用時以外の機能美までデザインされた、名作と呼ぶにふさわしいアイテムだ。

(→〈ハーマンミラー〉「チャールズ&レイ・イームズ」の「シェルチェア」をオンラインストアで探す)

 

おしゃれインテリア③
〈Herinox ヘリノックス〉
「HOME DECO & BEACH
ホーム・デコ&ビーチ」の
「Chair One チェアワン」

またも椅子。しかし、先の二脚とは趣が少々異なる。それも当然、韓国発のアウトドアファニチャーブランド〈Herinox ヘリノックス〉のプロダクトなのだから。藤原ヒロシ氏の〈fragment design フラグメントデザイン〉などアパレルとのコラボレーションでも話題を振りまく新鋭は、家の中での使用も意図した新ライン「HOME DECO & BEACH ホーム・デコ&ビーチ」を立ち上げた。つまりはこちら、シーンレスな意欲作である。

〈Herinox ヘリノックス〉のインドアライン「HOME DECO & BEACH ホーム・デコ&ビーチ」からリリースされた、変わり種の「Chair One チェアワン」。ポリエステルファブリックとレザーパッチで落ち着いた印象ゆえ、室内でも違和感なし。

モチーフとなったのは、ロングセラーの折り畳み椅子「Chair One チェアワン」。取り外しできる軽量な4本脚の安定感は格別で、身体を包み込むような座り心地もヤミツキ必至。キャンプ場で見かけない日はナシ寄りのナシ、アウトドアマン必携の傑作だ。

軽量で強度の高いアルミフレームを使い、コンパクトに折り畳んで持ち運べる点もストロングポイントとなる。

屋内用アレンジのポイントとしては、コットンライクなポリエステル生地を使った落ち着いた印象で、シンプルな部屋のなかに溶け込みやすくなったビジュアル面が挙げられる。風格十分のロゴ入り革パッチも頼もしい。

なお、「ホーム・デコ&ビーチ」の発足は、ジャパンアウトドアの重鎮「株式会社A&F エイアンドエフ」によるアドバイスが鍵になったとか。日韓友好がもたらす快適な時間を、ウチソト問わず楽しんでもらいたい。

(→〈ヘリノックス〉の「チェアワン」をオンラインストアで探す)

 

おしゃれインテリア
PENDOLTON ペンドルトン〉
ジャガード織りの「ブランケット」

寒さが目立ち始めた時季。クローゼットの冬支度を整えたら、自室にも目を移してみたい。気分を変える模様替え、その優先候補としてブランケットが挙がるはずだ。そしてファッション好きであるならば、〈PENDOLTON ペンドルトン〉がトップターゲットになるだろう。

らしさ全開のジャガード織りが誇らしい、〈PENDOLTON ペンドルトン〉の「ブランケット」。誕生から100年以上が経過した「ハーディング」をはじめ、その柄は100種類以上存在する。

ウールシャツやマフラーなどのファッションアイテムでお馴染みのアメリカブランドは、1909年にオレゴンにて創業。そのルーツはずばり、織物職人だった創業者トーマス・ケイの孫たちが中心となってネイティブアメリカン向けに製作した、色鮮やかなパターンを施したブランケットだった。

ブランケットラインには、「BEAVER STATE ビーバーステイト」のタグが。ビーバーとは、ブランド発祥の地であるオレゴン州のニックネームだ。ほか、メイド・イン・USAを保証するタグも。

さて本作、創業以来不変のジャカード織りを駆使したウールブランケットは、なるほど格別の安心感と独自の色彩センスを漂わせる。生地を織る段階で模様を作り上げるため、仕上がりが立体的に。あらかじめ染色した先染め糸で織り込むため、色褪せや色落ちがしにくいのも特徴だ。

シンプルな部屋にも映えるペンドルトンのブランケット。異なるモチーフを組み合わせるなど、楽しみ方は自在だ。

現在もUSメイドにこだわり、紡績・織り・縫製・品質管理までを自社で一貫。「アメリカの良心」とまで湛えられるその品質は、様々な用途で実感できる。身体を包ませる、床に置く、ソファやベッドにかける。大判タペストリーとして壁に飾るのもいいだろう。楽しみ方はあなた次第、気分次第だ。

(→〈ペンドルトン〉の「ブランケット」をオンラインストアで探す)

 

おしゃれインテリア
TWEMCO トゥエンコ〉
「パタパタ時計」の「RC-12A

デジタルとアナログ、双方の表記が懐かしくも新鮮な時計。1969年に香港で生まれたクロックメーカー〈TWEMCO トゥエンコ〉の「パタパタ時計」は、時を超えるエターナルデザインの体現者だ。

1969年に香港で創業した、世界的にも希少なフルオートマチックなデジタル時計メーカー〈TWEMCO トゥエンコ〉。その代表作が、キュートな動きが特徴の「パタパタ時計」。本作はアナデジ表示を備えた「RC-12A」。

パタパタ時計という名称は、デジタル表示のカレンダー部分がパタパタと音を立てて切り替わるフリップ式の動作に由来。右から月、日付、曜日と並ぶ構造は一見シンプルに思えるが、実はパーペチュアルカレンダーという閏年でも修正のいらない複雑機構を搭載している。

下部の時刻表示に目を移すと、ホワイト&ブラックの均整がとれたデザインのなかで真っ赤な秒針が主張。アクリルガラス製の丈夫な風防に覆われたルックスも視認性を高次元で両立したグッドデザインだ。ブランドが自ら語るところによると、12m離れた場所からも時間が正確にわかるほど、可読性が高いらしい。

瞬時に変わるカレンダー表示は、閏年でも調整いらず。程良いサイズ感で、憩いの空間を圧迫しないのも高ポイント。

ムーブメントには、ドイツ製の高精度クォーツを採用。その信頼性は世界中で高く評価され、トゥエンコの時計が各地の商業施設、政府機関、銀行などに置かれることもその証左となっている。イギリスの三大銀行のひとつとされるバークレイ銀行からは、なんと別注モデルまで登場。場所特有の重々しさを刷新するかのようなポップデザインは、気持ちまで豊かにしてくれる。

(→〈トゥエンコ〉の「パタパタ時計」をオンラインストアで探す)

 

おしゃれインテリア
Fire-King ファイヤーキング〉
jadeite ジェダイ」の
Dハンドルマグ」

自室で飲むコーヒーが最幸の嗜み。そんな読者諸兄姉に強く推奨したいのが、このマグカップ。アメリカ・オハイオ州ランカスターのメーカー〈 Anchor Hocking Corporation アンカーホッキング社〉が手がける名ブランド〈Fire-King ファイヤーキング〉の代表作である。

〈Fire-King ファイヤーキング〉の名品、「jadeite ジェダイ」の 「Dハンドルマグ」。本体はもちろん、レトロな紙パッケージまで愛おしい。

最大の特徴は、乳白色の絵の具を優しく混ぜ合わせたような独特の表情。ミルクガラスと呼ばれるその素材からは、うっすらと中身の色が透けて見える。つるっとした質感、ぽってりとしたボリューム。古き佳きアメリカが香る“隙のある”デザインが、嗜好品としての価値をいっそう高くする。

大定番たるシリーズにおいて特に人気を集めるのが、翡翠色を意味する「jadeite ジェダイ」カラー。本作はそのうちのDハンドルにあたり、その名称は横から見たハンドルがアルファベットの「D」に似ることから付けられたという。

マグの底面にはバックスタンプと呼ばれる刻印が。製造年代により刻印が違い、これは1956年頃~1960年代初頭のヴィンテージ。またミルクガラスの個体差によっても味わいが変化するため、実際に自らの目でお気に入りを選んでほしい。

家庭のリビングやダイニングだけでなく、レストランでも日常的に使われていた地に足のついたアメリカメイド。ただし、残念ながら1976年にファイヤーキングというブランドは一度幕を下ろしてしまった。現在は日本で復刻を果たしているが、やはりヴィンテージとは似て非なるもの。こだわりの強い皆様方においては、リユースマーケットでのホンモノ探しを合わせて推奨したい。

(→〈ファイヤーキング〉のアイテムをオンラインストアで探す)

 

おしゃれインテリア
Snow Peak スノーピーク〉
LEDランタンの「ほおずき」

たとえコーヒーの効能で眠気が飛んでも、夜は必ずやってくる。暗所で力を発揮し、明るいところでも視覚を心地よく満たしてくれるアイテムもまた、理想の部屋づくりには不可欠だ。

〈Snow Peak スノーピーク〉のLEDランタン「ほおずき」。オレンジ色の優しい光と手のひらサイズの形状が、植物のほおずきを連想させる。

こちらは、ご存知ジャパンアウトドアブランド〈Snow Peak スノーピーク〉が放つ定番のLEDランタン。名は体を表すかの如く、「ほおずき」型のユニークなルックスとあいなった。

直火禁止のキャンプ場のために開発された焚き火台や、リビングと寝室が一体化したテントのランドロック、驚くほど強固なペグのソリッドステークなど、機能美に富んだアイテムを数多く生み出してきたスノーピーク。当然、このランタンにも、見掛け倒しではない実用性が隠されている。

調整が容易なコード紐にも、スノーピークならではの知見が。大型のフックは台座にもなり、本体を逆さにして卓上ライトとしても利用できる。

暖色系の優しい灯りとマッチするよう、シェードにはシリコン素材を抜擢。さらには点灯部には“ゆらぎモード”が存在し、風に揺れる植物のような情緒を醸し出す。自然とテクノロジーの両面に敬意を払う、まさにスノーピーク的な機能と言えよう。

⻑さ調整がしやすいコード紐と大きなフックも、極めて実用的。キャンプ場ではもちろん、部屋の間接照明としても、“頬ずり”したくなるほどの出来栄えだ。

(→〈スノーピーク〉の「ほおずき」をオンラインストアで探す)

 

おしゃれインテリア
SONY ソニー〉
ワイヤレススピーカーの
LSPX-S3

ラストはいささか変わり種。視覚と触覚だけでなく聴覚にも訴えるインテリア、〈SONY ソニー〉の「ワイヤレススピーカー」を紹介しよう。

〈SONY ソニー〉の「ワイヤレススピーカー」「LSPX-S3」は、光の明るさを32段階で調整可能。高域・中域・低域はそれぞれ上部の有機ガラス管の全面から放射され、音が水平方向に広がっていく。

まるで理科室に置かれた実験道具のような見た目だが、正真正銘のスピーカー。内蔵された加振器によって作られた振動が上部の有機ガラス管の端面を叩き、振動が全面に伝わることで音を放射する。何やらよくわからないが、要は弦楽器や打楽器と同じ原理。直接的に伝わった振動が音に変換され、よりリアルかつクリアな音色を奏でられるそうだ。

本体下部には、豊かな低域を実現するパッシブラジエーターを搭載。総じて視覚・触覚・聴覚を刺激する、洗練のグッドデザインだ。

もちろんBluetooth対応モデルのため、接続は簡単。対応するアプリをダウンロードすることでスマホやタブレットからの操作が可能で、好みのジャンルに合わせて低域を強調するべースブースターも設定できる。

しかも、本体はスピーカーとしてだけでなくライトとしても機能。側面に付属するタッチコントローラーでライトのON/OFFができ、横にスライドすれば光量の調整も叶ってしまう。コントローラーを長押しすれば、ライトの光がキャンドルモードへと変化。極上の音楽を聴きながら、ついうたた寝。至福のひと時は、すぐそばにある。

(→〈ソニー〉の「ワイヤレススピーカー」をオンラインストアで探す)

自然と都会。外と中。あらゆる境目が曖昧になり、そのすべてがライフスタイルを形成する。人となりに直結する。だから今、あらためて暮らしのあり方を考えさせられる。

いいインテリアと過ごす、かけがえのない日常。明日がまた、待ち遠しくなってくる。

 

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