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マストバイの〈リーバイス〉「ブラックデニム」 手に入れるなら“いま”!? 【人気のデニムジャケット・Gジャン+α編】

ユーズドデニム。オーセンティックなカジュアルウェアとして日々に寄り添い、ヘビーデューティなタフウェアとして永く頼れる優れモノ。そんな古き佳き相棒が、我々の視界から薄れつつある。前編でお伝えした通り、ヴィンテージシーンの過熱化が顕著。ひと昔前にショップのガラス棚に飾られていた“名盤”は、いまやお目にかかる機会も少なくなった。

そんななか、存在感を高めるカテゴリーがある。リーバイスのブラックデニム。黒髪に白いものが混ざりはじめた大人のように魅惑の成熟を遂げるそれは、インディゴとは異なる渋みと気品を持つ。それでいて、競合が比較的少ない“ブルーオーシャン”でもあるのだ。

此度の後編では、王道のパンツではなくジャケットを軸に紹介。ただし当然ながら弾数には限りがあるゆえ、早々のご英断を。

〈Levi’s リーバイス〉
「ブラックデニム」
人気のデニムジャケット①
時代を超えたクラシックスタイル
「70506」先染め

即決を促したばかりで恐縮だが、まずは少々のおさらいから。リーバイスのブラックデニムについて、現状を軽くさらっておきたい。

ブルーデニムに比べてそもそもの生産数が少ないため、今後の価格高騰が確実視される黒きリーバイス。近頃の人気ぶりは明らかで、1990年代以来の熱視線を浴びていると言っていい。スタイリッシュで潔いモノトーンは、Y2K的シンプル嗜好とも合致。一方で日本以外の市場、特にアメリカでの知名度はいまひとつの模様だ。だからこそ、“いま”手にすべきデニムの筆頭候補に名乗りを上げている。

さて、本題のアイテムに触れていこう。初手は定番のデニムジャケット、モデル「70506」のブラックエディションをご覧いただく。

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‘80年代のアメリカ製〈Levi’s〉「70506」の「先染め」。表地と裏地のコントラストが顕著。

1980年代にリリースされた70506だが、血統の源は1962年にまで遡る。その年に生まれた、通称「3rd TYPE サードタイプ」と呼ばれる「557XX」をベースだ。サードタイプの着丈などをリサイジングした「70505」の誕生が1967年。その両サイドにハンドウォーマーポケットを加えたモデルとして生を受けたのが、今作70506である。

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実用性の高いサイドポケットも、現在における再評価の一因に。

かつてのヴィンテージブームにおいてはマニアから敬遠されたハンドウォーマーポケットだが、その利便性は言わずもがな。鍵やスマホを手ぶらで携帯できる気持ち良さは、実用性を重んじるモダンファッショニスタにとって歓迎の対象となるはずだ。

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同程度の色合いで揃え、セットアップとして着るのも楽しい。

写真の1着は’80年代製のメイド・イン・アメリカで、インディゴよりも希少なブラックデニムを纏うモデル。製造から約40年がたった今でも黒色が色濃く残り、その表地をめくると「先染め」であることがわかる。白に近いグレーカラーの裏地が、表地とのはっきりとしたコントラストを描くからだ。

ところで、ご存知の通りリーバイスは“サード以前”にもデニムジャケットを作っている。左胸にだけポケットが付属したボックスシルエットに、背面の武骨なシンチバック。1920年代に生まれた「1st TYPE ファーストタイプ」こと「506XX」がその元祖だ。1952年頃からは、両胸ポケットと背面のボタン式アジャスターを備えた「2nd TYPE セカンドタイプ」、いわゆる「507XX」が登場。ただし、それらのオリジナルは青天井、もはや雲上の存在となった。

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「70506-0259」と記された背タグからは、さまざまな情報が読み取れる。40以上のサイズは希少価値が高い。

閑話休題。今回の70506の背タグには「70506-0259」、サイズ40との記載がある。ブラックではないインディゴ仕様のモデルでは、「70506-0216」と記されるケースが多いようだ。「0216」のうち「02」は、あらかじめ防縮加工がされたプリシュランクデニムであること、「16」はリンスウォッシュを意味するとされる。「0259」の「59」が示すものは、残念ながら不明。各自、妄想を膨らませてほしい。

(→〈リーバイス〉の「70506」ブラックデニムジャケットをオンラインストアで探す)

 

〈Levi’s リーバイス〉
「ブラックデニム」
人気のデニムジャケット②
「70506」とは似て非なる
「70507」先染め・ケミカルウォッシュ

続いても「70506」、ではなくUSAメイドの「70507」をピックアップ。特徴的な両サイドのハンドォーマーポケットをはじめ類似点の極めて多い両者だが、モデルとしては明確に異なる。

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「70506」と瓜二つの、〈Levi’s〉「70507」の「後染め」。背中のパッチで判別されたし。

事実、背中の紙パッチには「70506-0259」と記載され、サイズ表記も数字ではなく「S・M・L」を採用。おおよそ、「40=L サイズ」として判断してほしい。今作は裏地を見るにおそらく後染めで、立体的に経年変化したケミカルウォッシュが堂々の佇まいだ。

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70506と同様に、便利なハンドウォーマーポケットを装備する。

では、70506と70507の間にはどれほどの差があるのか。それは、ふたつを重ね合わせれば見えてくる。70507のLサイズと70506のサイズ40を比べると、一目瞭然。前者のゆったりとしたワイドシルエットが際立つ。身幅だけでなくアームの太さや肩の落ち感なども異なり、着こなしのうえでは微差でなく大差とすべきだろう。

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右が70507、左が70506。並べると、前者のワイドシルエットが際立つ。

リバイブの機運高まるケミカルウォッシュのデニムを羽織るなら、オーバーサイズ気味が正道か。となれば、70506以上に70507の価値が増す未来は、想像に難くない。

(→〈リーバイス〉の「70507」ブラックデニムジャケットをオンラインストアで探す)

 

〈Levi’s リーバイス〉
「ブラックデニム」
人気のデニムジャケット③
蜜月がこだわりを生む
「70505」後染め
×〈N.HOOLYWOOD〉

前編も含め、ここまで純然たるリーバイスのユーズドデニムを並べてきた。が、この辺で少々の味変を。インラインとは毛色の異なるコラボレーションジャケットも、やはりその味わいは格別だ。こちらの「70505」は、人気ブランド〈N.HOOLYWOOD N.ハリウッド〉との共作。必然、根っからの古着好きとして知られるデザイナーの知見が存分に活かされている。

日米の人気ブランドがタッグを組んだ、〈Levi’s〉×〈N.HOOLYWOOD〉の「後染め」「70505」。

2000年にショップ「MISTER HOLLYWOOD ミスターハリウッド」をオープンさせ、翌年にN.ハリウッドをスタートさせた尾花大輔氏は、原宿の古着店「go-getter」出身。バイヤー兼スタッフとして古着に触れた経験が、時代に左右されないグッドセンスの源流となった。

そんなN.ハリウッドとリーバイスのシェイクハンズは2003年頃から行われてきたようだ。とはいえ、オープン当初のミスターハリウッドでリーバイスのリメイクを扱っていたという情報も。そう考えると、約4半世紀に渡る長期的パートナーシップとも言えよう。

いずれせよ蜜月の両者は、これまで多彩なコラボレーションを披露。なかでも70505は銘品との誉れ高く、過去に一世を風靡した実績を持つ。現在まで再販はなく、いま再びワードローブに加えることは困難。ぜひ、リユースマーケットでの捜索を推奨したい。

では、実際のアイテムについて。着丈はやや長め、かたや身幅は少しタイトに設計されている。とはいえ全体的には程よいゆとりが設けられ、生地にはストレッチデニムを使用。締め付けの少ないストレスフリーな着心地を叶えてくれる。

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左袖のタグやボタン部分のタタキ加工など、細部にも心くすぐるポイントが。

ボタンはすべてスナップ式で、それぞれに黒糸でタタキが施された凝った作りに。左袖口にはお馴染みのブランドタグがひっそりと潜み、ファンのマインドを刺激する。

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背タグまで黒く染められた仕様からわかるように、製品染めされたリアルな“後染め”。

表地と変わらないほど黒く染まった裏地は、「後染め」のブラックデニムの証左。ただし、どちらも黒色に染められた糸を使った本家リーバイスの「先染め」と「後染め」は結局のところどちらも先染めだったのに対し、今作はリアルな後染めである。黒く染まった背タグが、製品染めの証として機能するからだ。

同コラボのデニムパンツとして、〈Levi’s〉×〈N.HOOLYWOOD〉「後染め」「517」も存在する。

なお、70505と対をなすデニムパンツ「517」もフリーク垂涎のアイテム。ジャケット同様にストレッチ素材の後染めデニムで、写真のような美しい色落ちを見せる。

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オリジナルの「517」(左)とは一味違う雰囲気。セットアップも一興だが、トーンを揃えるのは至難の技か。

右のバックポケットに付くタグは発売された時期によって赤または白に分かれ、タイトシルエットのモデルも存在。大御所スタイリストの野口 強氏らファッション業界人からも熱く支持されたことでも有名となった。

(→〈リーバイス〉×〈N.ハリウッド〉のブラックデニムをオンラインストアで探す)

 

〈Levi’s リーバイス〉
ブラックデニム
人気アイテム+α
大人も笑う
「silver Tab シルバータブ」

前後編の2回にわたってお届けしたリーバイスのブラックデニム。そのラストに、昨今⼈気のボトムスを+αとして紹介したい。’80年代のユースカルチャーが香る、“銀”の黒。「silver Tab シルバータブ」シリーズの1本だ。

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〈Levi’s 〉「silver Tab 」の後染めブラックデニム「LOOSE」は、いまの気分のワイドシルエット。

1985年に当時の流行を取り入れたリーバイスのコンテンポラリーラインとして生まれたシルバータブは、文字通りバックポケットのタグが赤ではなく銀色に。ウエストの紙パッチにも「silver Tab」のロゴが誇らしくプリントされている。

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ポケット脇に付く銀色のタブとパッチのロゴが、シリーズの特異性を体現。

最大の持ち味は、ユニークなリラックスフィット。アメリカのHIPHOPカルチャー、欧州のレイブカルチャー、はたまた東京のストリートカルチャーといったムーブメントと紐付き、彼らが好んだワイドパンツとして時代の寵児に駆け上った。「Keep It Loose」のスローガンを掲げたオリジナルコマーシャルを記憶に残す読者も多いはずだ。

同シリーズは「LOOSE ルーズ」「BAGGY バギー」「RELAXD リラックス」の3タイプに分類され、今作は501のルーズに該当。股上は深めに設定され、フロントはジップフライだ。

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ジップフライで股上は深め。裏地から、いわゆる後染めのモデルと判明。

前編で取り上げた「RELAXED FIT 」「TAPERED LEG」の「550」と比較してみると、同じくワイドシルエットながら丈の⻑さやパックポケットの位置などに違いが。ともに1985年生まれのシルバータブと550。そこには時代の流れが表現されるとともに、些細な差を見落とさないリーバイスの懐の深さも垣間見言える。

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右の「silver Tab」と左の「550」は、どちらも1985年にデビュー。ある種、双子のような存在!?

ちなみにシルバータブシリーズは2018年に一度その幕を閉じたが、2022年には復活。世界中のファンを喜ばせた。いまや、ルーズシルエットはストリートヘッズだけのものにあらず。「Keep It Loose」は言霊のごとし。いい大人をも夢中にさせている。

(→〈リーバイス〉「シルバータブ」のブラックデニムをオンラインストアで探す)

モノで溢れる世の中で、本物が枯渇化していく。その現状を、指をくわえながら眺めるか。もしくは腕を伸ばし、新たな希望を掴み取るか。どちらも、あなたの自由だ。

ただ、後悔だけは残してほしくない。まだ、手の届くところにあるブラックデニム。繰り返す。動くなら、“いま”。情熱すらシラけてしまう前に。

(→マストバイの〈リーバイス〉の「ブラックデニム」【定番人気ボトムス編】はこちら)

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