“時代遅れ”と思うなかれ。〈Manhattan Portage マンハッタンポーテージ〉の愛すべきヘビーデューティーな人気・名作バッグ7選。
となれば旅に遊びに仕事にと、人々の気持ちが外に向かうのも当然のこと。いきおい自由に出歩くという小さな幸福を共に享受するパートナーも必要となる。もし、それが貴方にとってバッグであるならば、『knowbrand magazine』は、シンプルなデザインかつ長く使えるヘビーデューティーな定番を推す。というわけで今回のテーマは、1990年代にメッセンジャーバッグという存在を世に知らしめたパイオニア、〈Manhattan Portage マンハッタンポーテージ〉。
だが、定番中の定番として長年愛されてきたがゆえ、同ブランドに対して「時代遅れなのでは?」と侮る声もチラホラ。しかし、それは杞憂というもの。本物の“愛すべきヘビーデューティー”とは、常に変わらず貫くタイムレス。今ここに記す、真っ赤なラベルに込められた“New York Tough”の意味を。
大都会マンハッタンで生まれた
“本物の”メッセンジャーバッグ。
“A Bag For Everyone(全ての人のためのバッグ)”を作る。このシンプルな哲学を掲げ、〈Manhattan Portage マンハッタンポーテージ〉は1983年にスタート。最初のファンは、ニューヨークで宅配業に従事するバイクメッセンジャーたちだった。一方通行が多く、車では機動力が十二分に発揮できないマンハッタンのストリートを、小回りの利く自転車で縦横無尽に駆け回る。そんな彼らにとって必須だったのが、配達する荷物を収納して肩掛けするメッセンジャーバッグ。ゆえに軽く大容量でタフであることを皆が理想としながらも、1970年代に存在した多くのバッグは、厚いコットンキャンバス生地と重いメタルバックルで作られた、決して便利とは言い難い代物ばかり。
そんな現場の声を知ったマンハッタンポーテージは、アウトドア用バックパックに使用されているパーツに着目し、本体素材に「CORDURA®︎ Classic 1000D コーデュラ クラシック 1000D」を採用することで、既存のバッグの弱点を克服したプロダクト開発に着手。こうして完成した新たなメッセンジャーバッグは、軽さとタフネスを兼備し、機能性の高さから彼の地のメッセンジャーたちを大いに驚かせたという。

シンボリックなブランドラベルに描かれているのは、ブランドのホームシティであるニューヨークはマンハッタンのスカイライン(超高層ビル群)。
以降、DJをはじめとした、ニューヨークに住む様々な人々のニーズに応えるプロダクトを次々と世に送り出し、スカイラインが描かれた真っ赤なブランドラベルと共に、その名はストリートへと急速に拡大。現在は、先述のブランド哲学に“New York Tough”という新たな価値を加え、革新的で優れたデザイン、最高の素材と縫製、卓越した職人の技をもってして、“ニューヨークの街と同じように洗練された、全ての人のための、全ての人に向けたスタイルのバッグ”を作り続けている。ではここからは、より深くマンハッタンポーテージを知るための呼び水として、7つの人気・名作モデルを順番にご覧いただくとしよう。
Manhattan Portage
マンハッタンポーテージの
人気・名作バッグ7選
①「Vintage Messenger Bag
ヴィンテージメッセンジャーバッグ」MP1607V
–
オリジンのDNAを受け継ぐ、
ヘビーデューティーなブランドアイコン。
ブランドの成り立ちに通ずる者ならば、同ブランドの真髄に触れるためには、その象徴たるメッセンジャーバッグを紐解いていく必要があることは自明の理。ただし、長い歴史の中で拡充したラインナップは膨大で、“メッセンジャーバッグ”の名を冠するモデルも多種多様。その中にあって存在感を際立たせるのが、定番中の定番としてお馴染みのコチラ。


オリジンモデルのDNAを色濃く受け継ぐ「Vintage Messenger Bag ヴィンテージメッセンジャーバッグ」MP1607V。
オリジンのDNAを受け継ぐ本作はシンプルのひと言に尽きる。余計な装飾のないデザインが、創設当初からの売りであるコーデュラ クラシック 1000Dのタフさを見事に際立たす。インビスタ社が製造するコーデュラファブリックで最も歴史が古く、かつ軍用など過酷な環境下にも耐えうる堅牢さ。ヘビーデューティーとは、まさにかくの如し。

フラップの裏には「CORDURA® fabric コーデュラファブリック」のタグが。
またH31 × W55 × D20cmというサイズも、本作をマンハッタンポーテージの象徴とする理由の1つだ。メッセンジャーが運ぶ荷物は厚薄大小様々。そのためどんな荷物にも対応できる“大容量”とはプロライクの同義語とされる。この普段使いには過剰なサイズこそ、メッセンジャーのために誕生したというヒストリーの揺るがざる証左なのである。


間口が広く、13インチのノートPCも余裕で収まるほどの大容量。ジップ付きの内ポケットがあれば、小物の収納も十分。
メイン室は間口が広く、フラップも開閉しやすい面ファスナーで荷物の出し入れも容易。加えて内部にはジップポケットが1つ。昨今はデジタル機器のケーブル類など、細々とした荷物に増えているため心許なく感じるかもしれない。だがこれで十分。収納力と最低限の機能性。メッセンジャーバッグに本当に必要なのは、それダケなのだから。


ショルダーベルト調整のバックルは堅牢性に優れたメタル製。別売りの「Shoulder Pad ショルダーパッド」を取り付けることで、背負い心地も良くなる。
機能性を語るならば、ショルダーベルトも重要視すべきポイントだ。荷重を肩で受け止めるという構造上、当然である。マンハッタンポーテージのそれはタフで極太。堅牢なメタルバックルでフィッティングが調整可能で、別売りの「Shoulder Pad ショルダーパッド」を装着すれば、肩への負担もさらに軽減される。文字通りその肩に生活が重くのしかかってくるメッセンジャーならずとも、一度は試してみる価値ありかと。
②「Casual Messenger Bag
カジュアルメッセンジャーバッグ」MP1605
–
タウンでの日常使いを想定して、
軽く小さくダウンサイジング。
「ヴィンテージメッセンジャーバッグ」にて完成されたデザインは、用途によってサイズや細部に変化を加えながら、+αの魅力を備えたアレンジモデルを次々と世に生み出していった。こちらは、名前からも分かるよう日常使いを想定。シンプルなデザインとタフさはそのまま、タウンでの使いやすさを考慮してダウンサイジングを実行した。


「Casual Messenger Bag カジュアルメッセンジャーバッグ」MP1605
だが、変わったのはサイズだけではない。小型化を目指したボディとともにやや細くなったショルダーベルトは、不釣り合いなほどの頑強さをたたえるメタルバックルではなく、軽量なプラスチック製バックルに変更。これより軽快さとカジュアルなムードが増すも、ボディ素材は安心安定のコーデュラ クラシック1000Dでタフな表情をキープ。



1607に比べるとかなり小ぶりではあるが、内側にはジップポケットも完備。メイン収納には13インチのノートPCだって収まる。
またサイズダウンしたことで逆台形シルエットを強調。その一方でマチ部分を広く取り、A4サイズの書類や13インチノートPCまで入る収納力は変わらず。内部には利便性の高いジップポケットを配備し、使い勝手の良い定番作としての矜持を感じさせる。変化を柔軟に受け入れることで、新たな魅力を手に入れたグッドサンプルだ。
③「Suede Fabric
Vintage Messenger Bag
スエードファブリック ヴ
ィンテージメッセンジャーバッグ」
MP1606VJRSD
–
スエードとコーデュラナイロンの
素材の対比がアクセントを添える。
続いてもメッセンジャーだが、こちらは「ヴィンテージメッセンジャーバッグ」のシルエットを保ちつつ、ディテールそのままサイズダウン。その上で、底面にキメの細かい上質なピッグスエードを配したアップグレード版となる。スエードの色味や風合いがアクセントを添え、先述した誕生ヒストリーを想起させるような古き良きアウトドアスタイルに。


「Suede Fabric Vintage Messenger Bag スエードファブリック ヴィンテージメッセンジャーバッグ」MP1606VJRSD。スエード素材が良きアクセントに。
素材はもちろんコーデュラ クラシック1000。ナイロンとレザー、無機質な化学繊維と野趣溢れる天然皮革が織りなす素材の対比が耐久性とファッション性を高める。ダウンサイズと記したが、前出の「カジュアルメッセンジャーバッグ」に比べて、容量はひと回り大きめ。背負った際の印象はというと、こちらの方がよりオリジンに近く感じられる。


本体底面には上質なピッグスエードが施され、耐久性アップ。「カジュアルメッセンジャーバッグ」(左)と並べると、若干大きめサイズであることが見て取れる。
“ディテールそのまま”と記したことから皆様お気付きのように、面ファスナーで開閉するフラップとシンプルな内部構造は前出の2モデルと特に変化なし。メイン収納部にはA4サイズや13インチノートPCはもちろん、水筒や折り畳み傘といった日用必需品も収納可能。内部のジップポケットともども、普段使いには十分な機能性を誇る。


13インチのノートPCや、A4サイズの書類も楽々収まるメインコンパートメント。小物の収納にも適したジップポケットも完備。「カジュアルメッセンジャーバッグ」との違いであるメタルのバックルが、さりげなく存在感を放つ。
ボトムス部分以外の「カジュアルメッセンジャーバッグ」との差異点が、ショルダーベルトのフィッティング調整に使われるバックル部分だ。本モデルでは、「ヴィンテージメッセンジャーバッグ」と同じく屈強なメタルバックルを採用。一般的には些細なものと判じられるコダワリも、微に入り細を穿つ“モノ好き”な読者諸氏には大きなポイントかと。
④「Bike Messenger Bag
バイクメッセンジャーバッグ」MP1615
–
イエローラベルが輝く、
完全防水仕様のプロフェッショナルモデル。
メッセンジャー4連チャンの締めは、同社ラインアップにおいても最大容量。ヘビーデューティーを好む通人にファンの多い「Bike Messenger Bag バイクメッセンジャーバッグ」MP1615である。フラップは面ファスナ―とバックル付きストラップ留めの両面待ち。何より目を引くのが、真っ赤なスカイラインが描かれたイエローのブランドラベル。


「Bike Messenger Bag バイクメッセンジャーバッグ」MP1615。プロフェッショナルラインならではの機能性が随所に光る。
先ほどまで紹介したモデルに付けられていた赤いラベルが、デイリーユースを想定したラインであるのに対し、こちらはバイクライディング時の機能性を追求したプロフェッショナルラインに用いられる。車のヘッドライトの光を反射するリフレクター仕様のイエローラベルは、内側に「Waterproof Tarpaulin Vinyl ウォータープルーフ ターポリン ビニール」が使われた完全防水仕様の証でもあるのだ。


リフレクター仕様のラベルはライディング時の安全性を確保すると同時に、完全防水仕様の証明でもある。ここまでに登場したモデルに比べるとポケットも豊富だ。
フラップを開いたフロント部とメイン室内には、小物類の整理に便利なジップポケットを複数配備。しかも外側上部には手持ち用ストラップとジップポケットまで備えられ、プロフェッショナルラインならではの高機能設計が光る。大小の荷物がたっぷり入る大容量っぷりも、メッセンジャーバッグの代名詞的ブランドの面目躍如といったところか。


本体の外側上部には手持ち用のストラップとジップポケットも。「ヴィンテージメッセンジャーバッグ」と並べると、ひと回り大きいことが分かる。
最大容量と述べたように、定番モデルの「ヴィンテージメッセンジャーバッグ」と比べてもひと回り大きなサイズ感。しかも今回紹介したタイプは、現行品よりもボディ幅が広く設計されているため、ことさら大きく感じられる。先にも述べたように、メッセンジャーバッグに通ずる者ならば、このサイズと容量をもってプロユースを想定したプロダクトであることが一目瞭然かと。
⑤「Big Apple Backpack
ビッグアップル バックパック」 MP1210
–
創業地のニックネームを冠する、
バックパックのマスターピース。
メッセンジャーバッグから歴史が始まったマンハッタンポーテージではあるが、そこで深められた知見と鍛え上げられた技術が活かされたバックパックタイプを強く推す声も多い。その中でも特に人気が高いのが、ブランドを代表するマスターピースの1つにも数えられる名作、「Big Apple Backpack ビッグアップル バックパック」 MP1210。


「Big Apple Backpack ビッグアップル バックパック」MP1210。バックパックにおける定番中の定番がこれ。
モデル名は、ブランド生誕の地・ニューヨーク市を指す「ビッグアップル」に由来すると思われる。諸説あるが、この愛称は1920年代から新聞などで使われるようになり、やがて同市の古い呼び名として認知されるように。1970年代初頭には同市の観光政策組織により行われた促進活動によって一般的にも広まっていき、今へと至る。



ジップ付きフロントポケットと収納力十分なメイン収納。シンプルで完成されたデイパック型のデザインは、まさにマスターピース。
素材は言わずもがなの、コーデュラ クラシック1000。外装フロント部分にジップポケットをしつらえ、メイン収納はダブルジップで広く開口し、荷物の出仕入れもすこぶるイージー。いわゆるデイパック型のオーソドックスなデザインは完成度も高く、真っ赤なラベルはリンゴの玉体にもさも似たり。幅広いスタイルに対応する汎用性の高さから「ヴィンテージメッセンジャーバッグ」と並んで、ブランドを代表するマスターピースに数えられている。
⑥「Washington SQ Backpack
ワシントンSQ バックパック」MP1220
–
スクエア型フォルムに
使い勝手の良い収納力。もはや死角なし。
続いてもバックパックなのだが、無駄を削ぎ落としたシンプルな機能性で勝負する「ビッグアップルバックパック」とは、やや趣を異とする。モデル名に冠されたアルファベット“SQ”はスクエアの略語。マンハッタン南部のグリニジ・ビレッジの中心にある広場・ワシントンスクエアと、四角く設計された本モデルの特徴を掛けつつ端的に表している。


「Washington SQ Backpack ワシントンSQ バックパック」MP1220。四角い形状とワシントンスクエアの名を掛けたネーミングセンスも秀逸だ。
背負い心地を左右するショルダーハーネスにはDカンがあしらわれ、「ビッグアップル」以上の堅牢さを謳う。裏側と背面パネルに通気性の高いメッシュ地を配し、この2つで快適なバックパックライフを文字通り支える。肝心のメイン収納へは、バックルと面ファスナーで留めたフラップの開閉でアクセスする構造を採用。雨の侵入を防ぎ、セキュリティーの引き上げにも寄与している。



メイン収納はバックルと面ファスナーで開閉。内部には仕切りを設けていて、収納力も十分。使い勝手の良いサイドポケットとフロントポケットが、街使いした際のユーザビリティーを担保する。
また本モデルでは、メイン収納内に仕切りを設けることで、ノートPCやタブレットを安全に携行することが可能に。タウンユースに必要な収納力を備えながらも、メッセンジャーバッグ感覚でラフ&イージーに使える点も嬉しい。おまけのサイドポケットには500mlペットボトルが収まり、縦ジップ付きのフロントポケットも便利なことこの上なし。
⑦「Intrepid Backpack
イントレピッドバックパック」MP1270
–
スタイリッシュで大容量。
“大胆不敵”なニュースタンダード。
本稿の最後を飾るのも、やはりバックパック。デコラティブなデザイン要素が排除された美しく機能的なスタイルは、ここまでに登場した6つのモデルとの共通項でもある。大容量を武器に“しっかりと荷物を詰めた状態で快適に移動する”というバッグの本懐を叶えた本作の名は、「Intrepid Backpack イントレピッドバックパック」MP1270。


モデル名に“大胆不敵”を意味する言葉を冠した、「Intrepid Backpack イントレピッドバックパック」MP1270。
イントレピッドには“大胆不敵”という意味があり、英語圏の国では軍艦の名称に用いられることも多い。特長を挙げるならば、ブランドの象徴的ファブリックであるコーデュラ クラシック1000製のボディと、裏地にメッシュ地をあしらい通気性も備えたDカン付きのショルダーハーネスが、その筆頭。タフさと使い勝手の良さが共存した本モデルに、これ以上なく相応しき名ではなかろうか。



B4サイズの書類も縦入れで収納できるメイン収納部。使用頻度の高いアイテムは、フロントとサイドのポケットへ。ここで紹介するバックパック3種。どれも甲乙つけ難い名作だ。
ミニマルな外貌だけでなく、バッグの主題である収納力面でも非の打ちどころなし。ダブルジップで大きく開口するメインコンパートメント内には仕切りを完備し、W28cmにH50cmとまるで聳え立つ摩天楼のような縦長フォルムでB4サイズの書類もゆうに収める。さらに両サイドには、使用頻度の高いアイテムの収納に適したポケットまで。前出2型と並べると三者三様。どれを選んでも間違いなくマンハッタンポーテージの魅力が味わえるに違いない。

さて、マンハッタンポーテージを代表する人気・名作バッグを見てもらったが、いかがだっただろうか?“時代遅れ”なんてとんでもない。むしろ、時代に左右されない本物のブランドと感じでもらえたのでは。
日々著しく変化を遂げるニューヨークの街と呼応するように、試行錯誤と創意工夫を重ねながら時代を生き抜いてきたマンハッタンポーテージ。彼らが作るバッグは、プロの仕事人たちのハードな使い方にも耐えうる、愛すべきヘビーデューティーなギアであることが、ここに証明されたのである。
コロナ禍にあって、4年間に渡って続いた世界的大渋滞もいよいよ解消間近。
希望を詰め込んだコーデュラファブリック製のタフなバッグを背負い、全速力でペダルを漕ぎ出そう。
真っ赤なラベルに、信号は青。自由な明日へ、ブレることなく真っ直ぐどこまでもーー。

