ワールドクラス・ジャパン“セカイに誇るニッポンのモノ” 〜〈ポータークラシック〉経年変化と共に受け継がれていく藍と誠【後編】〜

「一針入魂」。高名な創業者から受け取ったその重みある襷を、子と孫がさらなる熱量を持って繋いでいく。〈吉田カバン〉そして〈PORTER ポーター〉の血が通う、誇り高きメイド・イン・ジャパン。〈PORTER CLASSIC ポータークラシック〉の粋は、現在の不安定な世の中で一層力強く、そして頼もしく映るはずだ。

先の【前編】では「KENDO」や「SASHIKO」といった、日本伝統の技術をベースにした超絶ウェアを紹介した。続く【後編】では、ブランドのルーツが色濃く漂う傑作バッグを中心にラインアップ。世界基準に照らし合わせても、圧倒的な完成度は他に類を見ない。

「KENDO TOTE BAG
ケンドートートバッグ」
ブランドを代表する、
鋭くも優しい素材を纏って。

ここからは5つの厳選アイテムを順に取り上げていくが、栄えある先鋒はこの大傑作にこそ委ねたい。【前編】で登場した「KENDO FRENCH JACKET 剣道フレンチジャケット」同様、アイコニックな「KENDO」ファブリックを用いたトートバッグ。威風堂々の「KENDO TOTE BAG ケンドートートバッグ」は、まさに蹲踞の姿勢からして美しい。

詳細を紐解く前に、あらためて生地の説明へと参ろう。ブランドの代表者たる吉田克幸氏がアメリカのフリーマーケットで出会った剣道着から着想を得た刺し子生地は、日本の伝統技術を宿しながらも“逆輸入”的パラドクスを孕んだユニークなもの。細部まで気が張り詰めた「一針入魂」のオリジナルで、ぐし縫いと呼ばれるランニングステッチも見事だ。

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威風堂々の表情を手にした「KENDO TOTE BAG ケンドートートバッグ」。創業者がアメリカで出会った剣道着をモチーフにした刺し子生地を使う。

そんな生地の支えとなる糸には、最上級のスビンゴールド綿を使用する。長く細い繊維構造をとり、強靱さも特筆のこの希少マテリアルは、シルクのような光沢とカシミアのごとき滑らかな肌触りを約束。さらには丁寧な藍染めを施すことで、エイジングの楽しみまで提供してくれるのだ。

使い込むほどに風合いを増し、自らの一部になっていくような感覚。紆余曲折を経てジャパンブランドの手元へと舞い戻った件の剣道着のように、今作にも奇跡的な歩みを期待せずにはいられない。

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ぐし縫いと呼ばれるランニングステッチにも、圧巻の技術が宿る。

重厚な見た目や背景に反して、驚くほど軽いのもこのバッグの特長。そこには、長年にわたりバッグを作り続けてきた“ポーター”としての矜持が潜む。実際に使うことなくして、プロダクトに価値はない。鋭いだけの切っ先では、消費者の正中線までは決して届かないのだ。

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収納力たっぷりのメインコンパートメント内には、サブポケットが豊富に揃う。

抜群の使い勝手は、荷物の出し入れがしやすいメインコンパートメントや多彩なサブポケットからも見て取れる。質実剛健かつ才色兼備。バッグ界の麒麟児は、隙のない構えで明日を見据える。

「SUPER NYLON HELMET CASES S
スーパーナイロンヘルメットケース S」
研究の末に辿り着いた技法で、
ナイロンの常識を超える。

モデル名が示す看板に、一切の偽りなし。一見デニムのような独特の温かみを備えども、素材は正真正銘のナイロンだ。「SUPER NYLON HELMET CASE S スーパーナイロンヘルメットケース S」の土台は、フライトジャケットなどに多用される210デニールの丈夫なナイロン糸。その糸を用いつつ、本来不可能と言われた染色を世界で初めて成功させたのが「SUPER NYRON スーパーナイロン」と呼ばれるオリジナル生地である。

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高度な染色技術でナイロンを風合い豊かに染め上げた「SUPER NYLON HELMET CASE S スーパーナイロンヘルメットケース S」。

その製造には、気の遠くなるような手間と時間がかけられたという。染色を行っていないキバタ(白生地)の状態から製品を作り、インディゴを含む特殊な染料で染色。合成繊維の後染めという難題を、熟練の職人技で乗り越えてみせた。

こだわりが凝縮した深みある黒は、使い込むほどに色ムラとパッカリングが表出し、銀色がかった色味へと変化していく。それはまるで、年齢を重ねて黒髮に白いものが混じる美しき日本人の姿を投影したかのようだ。

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藤巻百貨店の別注モデルには、ワッペンなど多彩な装飾が施される。

なお、ここで紹介するのはインラインではなく「藤巻百貨店」の別注バージョンである。カリスマバイヤーとして名を馳せながら、54歳の若さで逝去した故・藤巻幸大氏が立ち上げた“日本の逸品”のみを取り扱う厳選ショップ。日本が誇る才能同士によるシェイクハンズは、いわずもがな特別な意味を持つ。

別注のポイントは、そこかしこに散らばめられたワッペン、プリント、ステッチの数々。それらはすべて、ポータークラシックが抱えるお針子の手作業によって施された。ジップのエイジング加工も相まり、ノスタルジックな愛嬌を伝える。

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コンパクトサイズながら収納力は高め。内部のサブポケットも充実。

ヘルメットを持ち運ぶというヘルメットバッグの由来に則った定番モデルとは異なり、大きさをややコンパクトに設計。より街使いに適したモダンなサイジングとも言えるだろう。とはいえ収納力はかなりのもの。オン・オフ両面で活躍必至だ。

「NEWTON DAY PACK
ニュートンデイパック」
異色コラボで実現した、
離れ難き重力との理想的共存。

続いての傑作も、名が体を表している。「NEWTON DAY PACK ニュートンデイパック」。偉大なる天才アイザック・ニュートンの名前を拝借した今作は、彼の代表的な発見である万有引力の法則よろしく、重力との共存にテーマが置かれた。

鍵を握るのは、ショルダーストラップに仕込まれた「muatsu ムアツ」ファブリックだ。これはなんと、老舗寝具メーカーである〈昭和西川〉の体重圧を分散する敷きふとんに由来。特殊な凹凸のあるウレタン素材が荷重を放射状にバランスよく分散することで、面ではなく点で重みを支えるため血行をさまたげない構造に。

異色のコラボレーションが無重力さながらの背負い心地を生んだわけだが、このテクノロジーの開発には3年もの歳月が費やされたそうだ。

poter_classic_ポータークラシック_NEWTON-DAY-PACK_ニュートンデイパック

フロント同様、バックビューもいたってシンプル。ただし、驚きの爪を隠し持った能あるバッグなのだ。

そうして出来上がったバッグを眺めると、布団とは到底結びつかないようなスタイリッシュなルックスに目を奪われる。メタルパーツまでオールブラックで統一しながらもトリコロール刺しゅうでアクセントを添え、ミニマリズムに遊び心を注入。シートベルト風のハンドルも、インダストリアルな魅力を放つ。

当然ながら、計算されたデザインは見た目だけでなく実用性にも作用。前述の軽量感に加え、13インチのノートPCを収納できる約23ℓ容量のメインコンパートメント、フロントの大きなファスナーポケットや両脇のサイドポケットなど、さまざまな収納を備えて着用者に寄り添う。

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爪の正体は、ショルダーストラップに用いられた「muatsu ムアツ」ファブリック。老舗寝具メーカー、昭和西川との合作だ。

素材には通常のナイロンの約7倍の強度を誇り、耐摩擦や耐水性にも優れた1000デニールのコーデュラナイロンを使用。滑りの良いコイルファスナーを使うところも、さすがは“ポーター”といった心配りである。

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ピースマークを模したブランドロゴ。切り絵作家MIMOE 氏による名デザインだ。

フロント上部には、ブランド名とピースマークを合体させたMIMOE氏作のロゴ入りタグを配置。どこか懐かしい半面、未来へ向けたメッセージ性も宿すそのロゴが、今なんとも誇らしいではないか。

「SASHIKO BERET 2
刺し子ベレー 2」
創業者がこよなく愛した、
アイコニックな被り物。

ウェアやバッグのみならずトータルでアイテムが揃い、そのどれもが徹底的に作り込まれている。そういった意味では、実はこんな小物こそがポータークラシックの強みを体現しているのかもしれない。

「SASHIKO BERET 2 刺し子ベレー 2」は、ブランド自らが「奇跡の帽子」と謳う自信作。日本の伝統技術を研究し尽くした末に完成したオリジナル生地「PC SASHIKO」を使い、洒脱なベレー帽に仕立てた。

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「SASHIKO BERET 2 刺し子ベレー 2」は、ブランド創業者の愛用品という側面も。

ともすると手に取りにくい上級者向けといったイメージのあるベレー帽だが、使い勝手の良さはブランドの創業者たる吉田克幸氏のお墨付き。氏曰く、どの国に行っても、どんな気候でも被りやすいのがベレー。実際に、ベレーは彼のアイコンとしても広く知られている。

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被り口のレザーパイピングなど、上質な作り込みは細部まで。

肝入りのアイテムはディテールにも抜かりなく、被り口は上質なレザーで品良くパイピング。内側にはアジャスターを備え、かぶる人を選ばない。

「HAND WORK NECKLACE
ハンドワークネックレス」
より良い未来すらも示唆する、
小さな大名作。

いよいよ本稿5番目のアイテム、大将のお出ましだ。その独創性からファッション業界人にもファンの多い名作「HAND WORK NECKLACE ハンドワークネックレス」の紹介で締めくくりたい。

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「HAND WORK NECKLACE ハンドワークネックレス」は、男女を問わず人気の高い隠れた名品。

完全なる手作業によって縒り合わされた温もりに満ちたネックレスは、素材にバンダナやパラカチェックなどさまざまなヴィンテージ生地の端切れを採用。それらを細かく砕き、丁寧に編み込むことで、ふたつとして同じ顔がないユニークアイテムが完成する。

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ヴィンテージの端材をアップサイクルするため、すべてが一点ものだ。

必然的に大量生産はできず、アップサイクルという点でも実にサスティナブル。着用者の性差を問わないボーダーレスなデザインも手伝って、極めてモダンにパッケージされた。

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重ね付けするなど、使い方も自由で多彩。装いをインスタントに格上げしてくれる。

身に着け方も多彩で、色違いを重ね付けしてもよし、ブレスレットとして腕に巻いてもよし。持続可能を目指し多様化する現代社会を反映したかのような逸品には、ポータークラシックが持つ先見の明すら感じさせるのだ。

poter_classic_ポータークラシック

以上、前後編にわたりポータークラシックの真髄に迫った。とはいえその妙味は、実際に羽織り、背負い、身に着けてみてこそ体感できるものだろう。

温故知新を独自の感性で具体化するジャパンブランドの確かな手仕事に触れたとき、予感は確信に変わる。そして、コロナ禍で止まってしまったあなたの時間さえ、きっと力強く突き動かすのだ。

(→【前編】は、こちら

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