FASHION

〈ウィンダンシー〉という名のエンドレスサマー【コラボレーション編】

ひと目でそれとわかるポップなロゴ使いと 、裏側に秘めたカルチャー 的思考。そして、一歩先を行くブランド戦略。2018 年のデビュー以降、〈 WIND AND SEA ウィンダンシー 〉の勢いは止まらない。まるで 、ひとところにとどまらない飄々とした風や波のように。

クリエイティブディレクターの熊谷隆志氏が語る 「純粋に作りたいものを作る」という信念は、決して独りよがりな自己満足ではない 。消費者からこれほどまでに支持され、愛されるのが何よりの証拠だ。単純明快に見えて深謀遠慮 。そのスタンスはさらなる共感を呼び、他ブランドとの融合という形で花開いてもいる。

定番モデルを紹介した前編に続き、今回は異業種を含む精鋭とのコラボレーションアイテムをピックアップ。それこそ、過ぎ去ったはずの名作をいま手に入れる喜びは、リユースショップでこそ味わえるある種のエンドレスサマーなのかもしれない。

×〈WILDSIDE YOHJI YAMAMOTO
ワイルドサイド ヨウジヤマモト〉

トップデザイナーと新たなる冒険へ。

後編のトップバッターは、泣く子も黙る大御所とのシェイクハンズ。世界的なファッションデザイナー山本耀司氏による新プロジェクト、〈WILDSIDE YOHJI YAMAMOTO ワイルドサイド ヨウジヤマモト〉とタッグを組んだ T シャツをご覧いただこう。ワイルドサイドとは、野生的一面のこと。そして今プロジェクトは事実として、黒をコンセプトカラーにしながらアートやライフスタイルなど幅広いジャンルとのコラボレーションで展開される。

死や反抗の象徴とされ、忌み嫌われた「黒」。そのイメージを逆手に取り、川久保玲氏の〈COMME des GARÇONS コム デ ギャルソン〉とともにモード界を激震させた「黒の衝撃」は、1982 年のパリコレでの出来事だった。それから数えること 40 年後の 2022 年、トップデザイナーの新たな冒険にウィンダンシーが参加した事実は、遠くない将来により重要な意味を帯びるはずだ。

ウィンダンシー_windandsea_×〈WILDSIDE YOHJI YAMAMOTO_ワイルドサイド ヨウジヤマモト〉_01

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大小のロゴ使いが特徴的な「Monogram Print T-shirt モノグラムプリント T シャツ」。

ブラックで染められたボディ全面に「yohji yamamoto」ロゴをモノグラムで配したこの T シャツにおいて、やはり際立つのはフロントの「SEA」とバックの「WIND AND」のあしらい。と思いきや、綴りは WIND ではなく WILD。両者の名をさらりと取り入れた、洒脱なギミックが光る。

ウィンダンシー_windandsea_×〈WILDSIDE YOHJI YAMAMOTO_ワイルドサイド ヨウジヤマモト〉_03

背面のタグもダブルネーム仕様に。

コラボレーションのテーマは、“偶発性の美”としての表現。ストリートとモードを行き来する極めてモダンなセンスを、存分に味わえる名作だ。

(→「黒の衝撃」に関する特集記事は、こちら

×〈©SAINT M××××××
セント マイケル〉
リアルを超える芸術的ヴィンテージ。

続いて紹介するのは 2021 年の作品。パリに本拠地を置く新鋭〈©SAINT M×××××× セント マイケル〉と手掛けたロングスリーブ T シャツは、同ブランドが得意とする大胆なグラフィックと、リアルなヴィンテージ加工が最大の見どころとなる。

ウィンダンシー_windandsea_×〈WILDSIDE YOHJI YAMAMOTO_ワイルドサイド ヨウジヤマモト〉_03

色褪せたボディが趣深い「STM x WDS LS TEE」。

リメイクブランド〈RADYMADE レディメイド〉の細川雄太氏と、カニエ・ウェストのツアーアイテムを製作することでも知られるカリ・ソーンヒル・デウィットによるプロジェクトだけに、完成度の高さは特筆。なお彼らのユニットは 2020 年に〈SAINT MICHAEL セント マイケル〉として立ち上がったが、2021 年春夏よりブランド名英語表記を「SAINT MICHAEL」から「©SAINT M××××××」に変更している。

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袖のレタリングはカリ・ソーンヒル・デウィットならではの完成度。

ヴィンテージ好き、ストリート好きを唸らせるのは、なにもエッジィなデザイン性だけではない。色褪せや経年劣化が進行しにくい特殊な加工を施すことで、絶妙なコンディションを長く保つことができるのだ。

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背中のタグにはメイド・イン・ジャパン表記も。

退色した墨色のボディは、フロント&両袖にあしらわれた独特のフォントデザインと儚くも美しく調和。ヴィンテージのバンドT のような趣きが続くさまは青春時代の色褪せない記憶とリンクするかのようで、古着好きとして知られる木村拓哉氏の着用姿も確認されている。

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「STM x WDS HOODIE」も見事なヴィンテージ加工が施される。

セント マイケルとのコラボレーションでは、パーカにも触れておきたい。T シャツ同様にウィンダンシーにとっての大定番と言うべきアイテムが、かくも大胆にイメージチェンジ。フロントには「Saint and Sea」、バックには「if you surf donʼt Defy」のプリントを、たゆたう波のように揺らいだ書体であしらった。

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フード周りにもほつれなどの適度なダメージが散見。

当然、セント マイケル持ち前のヴィンテージテイストは健在。しっかりとした厚みあるボディの随所にダメージ感を加え、唯一無二の表情に仕上がっている。なお、パーカとセットアップで着用できるスウェットパンツも存在。そちらもぜひ、リユースマーケットで探してみてほしい。

×〈GODSELECTION XXX
ゴッドセレクショントリプルエックス〉
古き佳きストリートへの
最上級オマージュ。

このグラフィカルなパンツを合作したお相手は、独自のインフルエンサーマーケティングを特徴とする〈GODSELECTION XXX ゴッドセレクショントリプルエックス〉。大学在学中の 2013 年に起業した宮﨑泰成氏が、卒業後に設立したブランドだ。

「XXX × WDS SWEAT PANTS」。左足フロントのデザインが眩しい。

同ブランドは発足当初から詳細がベールに包まれ、その謎めいた生い立ちゆえに話題をさらっている。この手法は、かつて藤原ヒロシ氏と SK8THING(スケートシング:通称スケシン)が匿名で立ち上げた〈GOOD ENOUGH グッドイナフ〉を彷彿させるもの。過去には藤原氏の〈faragment design フラグメントデザイン〉とのコラボレーションも発表しているだけに、それは単なる模倣ではなく日本最古のストリートブランドへ向けた最上級のオマージュと捉えるべきだろう。

ウィンダンシー_windandsea_×〈GODSELECTION XXX_ゴッドセレクショントリプルエックス〉_02

背中には両ブランドそれぞれのタグを配置。

古き佳きストリートシーンに視線を向けるのは、ウィンダンシーの基本理念とも合致。両者のコラボレーションは、ある意味で必然だ。そして、ストリートスタイルの王道を行くスウェットパンツが題材となるものまた必然。左足フロントの「SEA xxx WIND」ロゴがフレッシュに輝く。

×〈HYSTERIC GLAMOUR
ヒステリックグラマー〉

クラシカルな定番アウターを
爽やかに、賑やかに。

〈HYSTERIC GLAMOUR ヒステリックグラマー〉。その詳細については、あらためて説明するまでもないはずだ。北村信彦氏が作り上げた王道アメカジブランドは、1960~80 年代のロックやサブカルチャーのテイストを取り入れたアイテムを精力的に展開。今なお数多くの熱狂的ファンを抱える。

ウィンダンシー_windandsea_×〈HYSTERIC GLAMOUR_ヒステリックグラマー〉_01

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「HYSTERIC GLAMOUR × WDS STADIUM JUMPER」はバックのデザインも見どころ。

コラボレーションの土台となったのは、両ブランドにとってのキーアイテムでもあるスタジャン。オーセンティックなシルエットを、爽やかなホワイト&ブルーの配色で彩る。

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「WINDAND」ロゴの上には、ヒスガールがセクシーに横たわる。

スタジャンに欠かせない刺繍やワッペンはふんだんに取り入れられ、両胸にはそれぞれのブランドロゴをオン。問答無用に主役級のオーラを誇る、真に贅沢な1着だ。ちなみに、木村拓哉氏が愛用する別モデルのコラボスタジャンもリリースされている。

×〈MINEDENIM マインデニム〉
トップスタイリストの鋭い感性が共演。

お次は、正真正銘の同業種コラボ。日本の人気アパレルブランド同士、そして熊谷氏と野口剛氏という日本人トップスタイリストがそれぞれ舵をとる両雄のクロスオーバーである。

ウィンダンシー_windandsea_×〈MINEDENIM_マインデニム〉_01

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「MINEDENIM × WDS Reversible MA-1」の背面には、意味深な反転プリントがあしらわれる。

野口氏の〈MINEDENIM マインデニム〉は岡山の自社工場にて生地を独自開発するなど、名前のとおりデニムに対して並々ならぬこだわりを持つ。とはいえ、この MA-1 にも作り手の矜持が凝縮。タフな高密度撥水ツイルを表地に採用し、フロント左胸には「SEA」のトライアングルデザインを抜擢した。そしてバックには「WINDANDSEA」をリフレクター素材で反転プリント。「WIND」と「MIND」の反転にも通じる点が、なんともニクい。

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再生繊維デニム製の生地を使う裏地も主役になる、両 A 面のリバーシブル仕様。

根本的なデザインはヴィンテージから着想されたとあって、1963 年以降の MA-1 に見られるオレンジのレスキューカラーを利かせたリバーシブル仕様を再現。この裏地には、マインデニムの独自開発による肌触りの良い再生繊維デニムが使われた。

×〈NANGA ナンガ〉
×〈AMERICAN RAG CIE
アメリカンラグシー〉

アウトドアとシティ、
そしてストリートの融合。

元ネタは、日本が誇るシュラフメーカー〈NANGA ナンガ〉の「AURORA DOWN JACKET オーロラダウンジャケット」。ブランドオリジナル素材のオーロラテックスをシェルに用いたフラッグシップモデルが、ウィンダンシー、そしてアメリカ発のセレクトショップ〈AMERICAN RAG CIE アメリカンラグシー〉とのトリプルコラボレーションに昇華した。

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「NANGA × WDS AURORA DOWN JACKET」は質実剛健のトリプルコラボ。

抜群の保温性をはじめとするスペック面はさることながら、シックとポップが同居したデザイン性も特筆。フィールドや合わせる服を問わず活躍するバイカラーに、印象的なロゴで遊びを加えている。

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フロントのロゴデザインと背中のタグが共演の証に。

フロント下部のポケット両脇には、「SEA」と「NANGA」のあしらいを控えめに配置。フロントジップを開くと、ボックスロゴ風の大きな「SEA」がお目見えする。今作は俳優の浅野忠信氏も着用。そのコーディネイトは、ブランドのインスタグラムにてチェックされたし。

(→〈NANGA ナンガ〉に関する特集記事は、こちら

×〈adidas アディダス〉
×〈atmos アトモス)

カルチャーを色濃く伝える未来の定番。

今年発表されたこちらも、ブランド&ショップとの3者間でトライアングルを結成。世界的スポーツメーカー〈adidas アディダス〉、さらには東京のスニーカーシーンを牽引し続ける〈atomos アトモス〉と協業し、ファッショナブルなシューズを生み出している。

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アトモスのテーマカラーを取り入れた「ADIDAS × atmos × WDS Campus 80s」。

ベースモデルは、ご存知「CAMPUS 80s キャンパス 80s」。1980 年代を代表するバスケットシューズで、ビースティ・ボーイズらが着用したことでカルチャー的な信仰も集める傑作である。その代名詞たるスウェードアッパーとオフホワイトのソールは、今作でも存在感を発揮。スリーストライプスはアトモスのテーマカラーであるジェイドカラーで彩られ、本来であればモデル名が記載されるサイドには「WIND AND SEA」のロゴが代入された。

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インソールやサイドデザインでもトリプルコラボのスペシャル感を伝える。

バックステイにはお馴染みのトレフォイルが刻印されるほか、インソールにもオリジナルのコラボロゴを施すなど、どこから見てもスペシャル感満載の1足。本家よろしくコーディネイトの幅も広く、末長い活躍が期待できる。

(→ビースティ・ボーイズと「CAMPUS 80s キャンパス 80s」に関する特集記事は、こちら

×〈Zoff ゾフ〉
ポップな色使いで
1990 年代的ムードを再現。

服、靴、さらにはこんなアイウェアまで。多彩なアウトプットで我々の日常を刺激するウィンダンシー。その源にあるのは、冒頭でも紹介した「純粋に作りたいものを作る」という本能的欲求か、それとも仕事・趣味で多才ぶりを発揮する熊谷氏の好奇心か。いずれにせよ、明日もウィンダンシーはそばにいる。

クリアフレームと薄色レンズを備えたウェリントンタイプの「Zoff × WDS sunglasses」。

ポップなグリーンカラーを纏ったクリアフレームと、絶妙に黄身がかった薄色レンズ。低価格・高品質のアイウェア専門チェーンの先駆けである〈Zoff ゾフ〉とのコラボレーションで再現したのは、ストリートカルチャーが香る 1990 年代のムードだ。

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両サイドのテンプルにお馴染みのロゴを採用。

大きめのウェリントンシェイプも相まって、装いに痛快なインパクトをもたらすこと必至。テンプル採用されたネオンカラーの「WIND AND SEA」ロゴが、サーファーのマストアイテムでもあることを声高に訴える。

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オリジナルのケース&クロスにもロゴが踊る。

本体だけでなく、ロゴ入りのオリジナルケースとクロスも見逃せないポイントに。細部まで決して手を抜かない。その姿勢にも共感されてか、木村拓哉氏、浅野忠信氏ら有名人も御用達だ。

(→ウェリントンタイプのサングラスに関する特集記事は、こちら

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いつまでも変わらないように見えて、実は常に変化している。行く川の流れと同様に、風と海は地球の旅人だ。我々はエンドレスサマーに憧れる。なぜなら、いつか終わりが来るとわかっているから。そう、変わらないものはない。心に巣食う特別な想いを除いて。

シンプルなロゴを乗せ、オーセンティックなアイテムの魅力を新しい未来に伝える。それはいわば、変わらない価値観への憧憬であり挑戦。ウィンダンシーのクリエイションは、鮮やかなエンドレスサマーだ。

(→【定番モデル編】は、こちら

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