A BATHING APE
裏原宿を切り開いたブランド。
1993 | TOKYO, JAPAN | NIGO®
POPEYEや宝島などの有名雑誌でスタイリスト、ライターとして活動してきたNIGO®が、同じ文化服装学院出身の高橋盾氏(JONIO)とともに1990年、セレクトショップ「NOWHERE」をオープンしたのが、裏原宿の始まりだった。
そして1993年、NIGO®は自身のブランドとしてA BATHING APE®を立ち上げ、NOWHEREにて展開し始める。NOWHEREには、A BATHING APE®の他にも、高橋盾のUNDERCOVERや、藤原ヒロシのブランドであるGOODENOUGHなどのオリジナルアイテムが置かれていた。A BATHING APE®の正式名称は「A BATHING APE IN LUKEWARM WATER」=「ぬるま湯に浸かった猿」。NIGO®のフェイバリットである映画『PLANET OF THE APES(猿の惑星)』に触発され、立ち上げ当初から関わりを持つSKATE THING(現C.Eデザイナー)が決めたと言われている。
ちなみに当時、裏原宿にはアパレルショップなどはほとんどなく、その中でもNOWHEREはわかりづらい場所にあった。まだSNSなどはない時代であり、初期は雑誌などにも住所を掲載していなかったため、オープン当初は口コミでしか場所のわからない、知る人ぞ知るお店という雰囲気だった。それに加えて生産数も小ロットだっただったため、ストリートファッション好きの間では幻のブランドとして話題となる。その後、コーネリアスやスチャダラパーといった人気のアーティストのツアーTシャツを手掛けるとともに、様々な有名人が同ブランドのTシャツを着用したことで多くの若者の支持を集め、裏原を代表するブランドへと上り詰めた。
その後、NIGO®はインディーレーベル「APE SOUNDS®」を立ち上げたり、ミュージシャン、ファレル・ウィリアムスとともにブランド「BILLIONAIRE BOYS CLUB」と「ICECREAM」を運営、さらにカレーショップ「CURRY UP」をオープンさせるなど、様々な分野でその商才を発揮。
APEの名作といえば、写真の1st Camo スノボジャケット。1998年のオロナミンCのCMで木村拓哉氏が着用した事で注目を浴び、当時約60万円まで高騰した希少なモデルだ。同柄のダウンジャケットやショート丈verも存在する。その後何度も復刻されたものの、近年同様の柄はほとんどリリースされていない。
A BATHING APE®の運営元であった株式会社ノーウェアは2011年に香港のアパレル会社、I.Tによって事業買収され、その子会社に。商標権もI.T社が保有している。
NIGO®は2013年にA BATHING APE®のクリエイティブディレクターを退任。自身のブランド「HUMAN MADE®」を手掛けつつ、様々なブランドのディレクションを行っている。