BARACUTA
80年以上前から完成されていた形。
1937 | MANCHESTER,UK | John Miller / Isaac Miller
マンチェスターにてBurberryやAquascutumから委託されレインウェアを製造していたミラー兄弟が、1937年に立ち上げたファクトリーブランド、BARACUTA。
ブランド開始当初から製造を続ける写真のG9ジャケットは、もともとはゴルフウェアとして使用される想定でデザインされたという。ドッグイヤーカラーと呼ばれる立ち襟やタータンチェックが施された裏地などスタイリッシュなスタイルでファッションアイテムとしても注目を集め、動きやすいラグランスリーブや風の侵入を防ぐリブ編みの袖や裾、防風性や撥水性に優れたきめ細かな生地、蒸れを防ぐアンブレラヨークなど機能的なディテールも相まって人気を博すことに。
日本ではスイングトップとして知られるこの形だが、英語ではハリントンジャケットという呼び名で通っており、これは1964年に放送を開始した人気番組「PEYTON PLACE」にて、ライアン・オニール演じるロドニー・ハリントンがBARACUTAのG9を着用していたことからその名がついたという。
そのほかにも映画「闇に響く声」でエルビス・プレスリーが、「華麗なる賭け」ではスティーブ・マックイーンがG9を着用していたこともあり、アイビールックやモッズファッションにも取り入れられたほか、日本を代表する名優・高倉健も愛用していたことで知られており、時代も洋の東西も問わない、まさに永遠の定番と言える。
さらにこのG9に類似した様々なバリエーションもリリースされており、運転時に快適に過ごすため裾リブを排してすっきりとした印象のG4は、ドライビングコートの別名も。さらにステンカラーコートタイプのG10なども存在しており、ワールドカップにてイングランドチームがハーフコートタイプを着用していたこともあるという。
時代に合わせてシルエットや素材を少しづつアップデートしながらも、ほとんど変わらない永遠の定番・G9ジャケットだが、近年ではSupremeにてデザインディレクターを勤めていたブレンドン・バベンジンが手がける大人のストリートウェアブランド、NOAH clothingとのコラボレーションで、80年代から活躍するミクスチャーバンド・Big Audio Dynamyte(B.I.G)に捧げるG9を製作するなど、カルチャーとの親密な関係を持ち続けている。