CHIPPEWA
アメリカのクラフト魂を守り続ける。
1901 | CHIPPEWA FALLS,USA | J.B. Piotrowski/John Andrejski
ネイティブアメリカンとも関わりの深い地、チペワフォールズで生まれたシューズブランド、CHIPPEWA。
その品質の高さを最初に見出したのは、周辺の伐採場で働くランバーマン、すなわち木材を切り出し丸太を運ぶ男たちだった。足場の悪い森の中でも快適に動けるとともに耐久性の高いブーツは次第に需要を増し、1901年に7人の職人から始まった会社は、300人もの従業員を抱えるまでになる。 さらに1930年代には石炭産業の高まりにより、高温のボイラーから身を守るためにエンジニアブーツの需要が増え、1940年代の第二次世界大戦中には、米軍初の山岳部隊のために寒冷地にも対応したブーツを開発。この時に蓄積されたノウハウは、現在も販売を続けるエンジニアブーツやアークティックブーツにも生かされている。
写真は現在ではバイク乗りの定番として親しまれているエンジニアブーツ。紐がなく膝下まであるデザインは、もともとは鉄道機関士など石炭を扱う労働者たちの足を炎から守るためのデザインであったという。トゥの内側にはつま先を落下物などから保護するため、スチールが入っているのも特徴。CHIPPEWAの靴に使われている革は新品の状態でも比較的柔らかいため、女性にも好まれている。
大戦が終わった1960年以降は、ビブラム社のアウトソールを使ったアウトドアブーツや、ブーツの足首部分にクッションを施したクッシュンカラーブーツを開発。ワークブーツだけでなく、アウトドアの分野でもその地位を確立することになる。
80年代に入り、いわゆる労働者のための靴としてのブーツの需要が低下する中、CHIPPEWAはMADE IN USAのハンドクラフトブーツという側面にフォーカス。同業者たちが苦戦とともにその生産の拠点をアメリカ国外に移すなか、CHIPPEWAはアメリカ国内での生産にこだわり、実直に品質の高いブーツづくりを続けながら、アメリカの文化的アイデンティティを守り続けている。