Dr.MARTENS
ストリートファッションと共に育ったブーツ。
1960 | Wollaston,UK | Bill Griggs / Klaus Martens
1947年、軍医としてドイツ軍に従軍していたクラウス・マルテンス博士は、エアクッションソールを搭載した柔らかくはき心地の良いブーツを開発し、販売を開始した。当初のソールの原材料は、ドイツ空軍から廃棄されるゴムタイヤだったという。
その快適で長持ちするソールは人気となり、その評判は海を越えてイギリスにまで届くことに。1901年よりロンドンの北に位置するウラストンにて製靴業を営んできたグリッグス家の三代目であるビルは、この画期的なソールを使った靴の特許を取得し、1960年、エアソールを使ったシューズのブランド「Air Wair」が誕生することになる。
このブランドが現在Dr.MARTENSとして知られているブランドであり、この時にリリースされたモデル1460は、現在も同社を代表する8ホール。ソールは現在もDr.MARTENSのアイコンとも言える黄色のステッチで仕上げられており、レザーのカラーはチェリーレッドだったという。ちなみに、このモデル名はリリースされた1960年4月1日に由来しており、マーチンの名はソールの生みの親であるマルテンスを英国読みしたもの。
現在も使われている「With Bouncing Soles=弾む履き心地のソール」というキャッチフレーズとともに、この2ポンドで買うことのできるシューズは労働者たちの間で人気に。ほどなくすると、THE Whoのピート・タウンゼントやThe Clashのジョー・ストラマーらが労働階級出身の誇りとともにファッションに取り入れるようになり、パンクスやスキンズなどに愛されることに。そして80年代以降はシンプルでさまざまなスタイルにマッチすることから、ストリートファッションの定番ブーツとなってゆく。
現在では先述の8ホールのほか、様々なスタイルにマッチする短靴の3ホール、さらにサイドゴアブーツやサンダルなど様々なバリエーションや柄物などを加え、ストリートファッションに欠かせないブランドとして世界各国において支持され続けている。