HERNO
伝統に裏打ちされたモダニズム。
1948 | LESA,ITALY | Giuseppe Marenzi
イタリア北部・マッジョーレ湖沿いにある町、レーザでジュゼッペ・マレンツィが1948年創業。そのブランド名は、工房の近くに流れるエルノ川(Erno)という美しい川から名付けられた。雨が多く、湿潤した気候のこの街において、ジュゼッペはエレガントで質の高いイタリアンスタイルを保ちながら、アルプスから吹き下ろす雨風に耐えうるコートやジャケットを作り始める。
1960年代にはカシミアコートやスーツ、女性向けドレスを発表。70年代から80年代にかけてヨーロッパや日本、そしてアメリカに進出することで、世界各地においてイタリアンスタイルを浸透させてゆく。
2000年代に入り、事業をジュゼッペの息子であるクラウディオ・マレンツィが引き継ぐと、HERNOはテーラリングで培った知識や技術を生かしながら、伝統とモダニティを共存させるために試行錯誤する。その結果生まれたのが、スポーティで機能的なハイテク素材と伝統的なテキスタイルを組み合わせつつ、イタリアらしいシェイプに落とし込むことで生まれた、新しい感覚のラグジュアリーウェアだった。
その変革の象徴とも言えるのが、2008年にNeil Barrettとコラボレーションして制作させたダウンジャケット。従来のようにダウンパックを使わず、軽量なナイロン生地に直接ダウンを注入することで、200グラムという驚くべき軽さのダウンジャケットを作り上げた。
HERNOはその技術を応用して、ダウンジャケット=カジュアルウェアというイメージを覆す、ドレッシーなダウンジャケットを次々と発表。写真のようなテーラードジャケットタイプのダウンや、パーティー時の華奢なドレスにもマッチするリュクスなダウンコートで、ハイエンドなアウターを作るブランドとして、これまで以上に知名度を上げることに成功することとなる。クラシックな手法を使いながら仕立てられる現代的なコレクションに、これからも注目したい。