MAISON MARGIELA

反モードの姿勢を貫きながらファッション界に影響を与えた。
1988 | PARIS,FRANCE | Martin Margiela

1957年、ベルギーに生まれたMartin Margielaは、1977年にファッション界で有名なアントワープ王立芸術学院に入学。のちにアントワープ6と呼ばれる、Dries Van NotenやAnn Demeulemeester、Dirk Bikkembergsらと共同でショーを開催していたこともあったという。

彼ら同様、1980年代のパリコレクションで有名になったCOMME des GARCONSの川久保 玲の影響を受けていたという彼は、Jean-Paul GAULTIERの元でアシスタントとして働いたのち、1988年に自身の名を冠したブランド、MAISON MARTIN MARGIELAを設立、1989年SSにパリ・プレタポルテ・コレクションでデビュー。当時主流であったゆったりとしたシルエットに逆らうかのようにタイトなシルエットを提案、「デストロイ・コレクション」と称されると同時に、つま先の割れた足袋ブーツを発表。リメイクやダメージ、ペイントなどの手法を用いた「ポペリズム＝貧困者風のスタイル」と、一貫した反モードの姿勢でファッション界に衝撃を与えた。

1998年SSのパリコレでは敬愛するCOMME des GARCONSと合同でショーを開催するとともに、1997年から2003年にかけてHERMESのレディースプレタポルテのデザイナーも兼任するなど、精力的に活動。

その一方で、表舞台には一切と言っていいほど顔を出さず、インタビューもFAXなどで行うというミステリアスな生き方でも知られており、創立20年に当たる2008年、アナウンスもないままMAISON MARTIN MARGIELAのデザイナーを引退。これは親会社の商業的成功を追求する姿勢と、創造性を重視するマルジェラ自身の方向性の相違によるものだったとも言われている。

2012年AWには同ブランドの歴史を凝縮したかのようなH&Mとのコラボレーションを実施、過去のコレクションへオマージュを送るかのようにさまざまな名作を復刻。この際に発表されたノーカラーのコートは、カニエ・ウエストも着用したことで話題となった。

2015年にはそのブランド名をMAISON MARGIELAと改め、自身のブランドやChristian Diorを立て直したことでも知られるJohn Gallianoがクリエイティブディレクターを務めている。