VANS

ヴァンズ
HISTORY

ストリートカルチャーを彩る不朽のアイコン
1912 | CALIFORNIA,USA | Paul Van Doren and Jim Van Doren

1966年、カリフォルニア州アナハイム。その地に、一軒のシューズショップが産声を上げた。手掛けるのは、靴づくりを学んだポールと、その弟ジムのヴァン・ドーレン兄弟。「The Van Doren Rubber Company ザ・ヴァンドーレン ラバー カンパニー」と銘打たれたその店先には、「HOUSE OF VANS」の看板が掲げられ、自社工場でシューズを製造し、ダイレクトに販売するという、当時としては極めて異例なビジネスモデルが展開された。この時のシューズが、当時「STYLE #44」の品番が付けられた「AUTHENTIC オーセンティック」。無骨ながらも、徹底的に機能美を追求したそのプロダクトは、瞬く間にローカルコミュニティに浸透。感度の高い人々を魅了し、ストリートを席巻する〈VANSヴァンズ〉の伝説は、静かに、しかし確実に幕を開けた。

70年代、ヴァンズは南カリフォルニアのスケートシーンを牽引していた伝説的スケートチーム「Z-BOYS ゼットボーイズ」と、運命的な邂逅を果たす。メンバーであるトニー・アルバとステイシー・ペラルタをブランドに招聘。スケーター用シューズの専門ライン「OFF THE WALL(壁から離れる=型破り・普通じゃない・頭のイカれたヤツというスラング)」の看板アイテムとして、「STYLE #95」、後の「ERA エラ」が誕生した。オーセンティックがベースのシンプルで洗練されたデザインに、スケートボードとの相性を徹底的に追求したパッドを入れた履き口と比類なきグリップ性能を持つソール。その革新的なプロダクトは、スケーターたちの足元を支え、そのパフォーマンスを最大限に引き出し、ヴァンズはスケートカルチャーの盛り上がりとともに、その存在感を確固たるものとしていった。

1977年には、ブランドのアイコンとして、今や説明不要の存在となった「OLD SKOOL オールドスクール」が誕生。サイドビューに大胆に走るライン、通称「Jazz Stripe ジャズストライプ」は、創業者ポール・ヴァン・ドーレンの落書きから生まれたという逸話も、いかにもヴァンズらしい自由な精神を物語っている。1978年には、オールドスクールのハイカット版ともいえる「SK8-HI スケートハイ」がリリースされ、スケートボーディングの進化を加速させ、新たなスタイルを確立。ストリートシーンを席巻するヴァンズの勢いは留まることを知らなかった。

しかし、栄光の影には苦難がつきもの。1984年、ヴァンズは経営危機に見舞われる。だが、創業者ポール・ヴァン・ドーレンの不屈の精神と、徹底的なコスト削減、そして何よりも品質への揺るぎないこだわりが功を奏し、1987年には見事負債を返済。ヴァンズは不死鳥のごとく蘇り、新たなスタートを切る。その後1991年、ナスダックへの上場を果たし、スノーボードブーツ市場にも参入するなど、その勢いは加速。1996年には、ストリートファッションの頂点に君臨する〈Supremeシュプリーム〉とのコラボレーションを実現するなど、新たな戦略を次々と打ち出し、その勢いを増していく。

2000年代に入ると、ヴァンズはその功績が認められ、経済誌フォーブスによって「ベスト・スモール・カンパニー」に選出。さらに、スケートボードカルチャーの真実を赤裸々に描いたドキュメンタリー映画「DOGTOWN & Z-BOYS」の制作にも参加。ヴァンズのスケートボードカルチャーにおける地位は、揺るぎないものとなった。

ヴァンズは、単なるシューズブランドではない。それは、スケートボード、BMX、サーフィン、音楽、アートなど、多様なカルチャーをサポートし、創造性を刺激する、唯一無二の存在なのだ。ファッションを愛する我々にとって、ヴァンズは青春時代の記憶と深く結びついている。あの頃、ヴァンズを履いて街を駆け抜けた日々は、今も色褪せることなく、我々の胸に刻まれている。ヴァンズは、これからも不屈の精神と創造性を胸に、新たな歴史を刻み続けるだろう。そして我々もまた、足元のヴァンズとともに、時代を駆け抜けていきたいものだ。

ONLINE STORE
掲載商品は、代表的な商品例です。入れ違いにより販売が終了している場合があります。