バイヤーの頂点に輝いた男の「想い」
私たち「2nd STREET セカンドストリート」は、日本全国に700以上の店舗を展開しています。各店舗で販売されている商品は、ほぼすべてお客様にお売り頂いたもの。つまり、私たちのビジネスは、お客様にお持ち込み頂いたお品物を「買取」させて頂くことから始まります。まさに買取はリユースというビジネスの命ともいえます。この買取のプロフェッショナルとして、各店舗で日々活躍しているのが「バイヤー」と呼ばれる従業員たちです。
セカンドストリート社では、年に1回、No.1の実力を持つバイヤーを決めるコンテストを開催しています。ただしコンテストに参加できるのは、日本全国のセカストで日々買取業務に携わっている約1万名の従業員のうち、年間の買取実績や知識テストなどの様々な基準をクリアした上位10名のみ。
コンテストでは商材知識はもちろん、実際に用意された品物をその場で査定し、見積もり結果を説明する実技試験で接客能力も審査されます。つまり知識面・接客面ともに高い実力を発揮できた1名にのみ、「キング・オブ・バイヤー」の栄冠が与えられるのです。
2020年1月に開催された実力No.1のバイヤーを決める「キング・オブ・バイヤー」の模様。
1989年4月2日生まれ。北海道出身。大学を卒業後、2012年に入社。セカンドストリート越谷谷中店にて勤務経験を積み、その後越谷レイクタウン店で店長に昇格。再び越谷谷中店に店長として勤務したのち、現在はスーパーセカンドストリート柏沼南店の店長を務める。セカストが年1回実施しているバイヤーの実力No.1を決めるコンテストで見事優勝し、2020年1月 「キング・オブ・バイヤー 」となった。
難しいお品物の査定こそ楽しいと感じます。
-「キング・オブ・バイヤー」になって、反響はありましたか?
大畑たくさんの反響をいただきました。社内で「おめでとう」と声をかけてもらえたり、今まで話したことがない方とのコミュニケーションのきっかけにもなっています。自分の査定をお客様や後輩に説明するときも、これまでよりもさらに自信を持って説明できるようになりました。
-セカンドストリートには、新卒採用で入社されましたよね。それまで査定や買取の経験は?
大畑全くありませんでした。入社したての頃は買取の査定がとても難しく、あまり好きではありませんでした(笑)。ですが今では、難しいお品物の査定こそ楽しいと感じます。見たこともないようなインテリアやヴィンテージの食器など、リユース市場で「相場を判断するのが難しい」お品物をお持ち込み頂けると、むしろとてもワクワクします。
-見たことのない物や、相場が判断しにくいお品物の場合、査定金額はどのように算出するのですか?
大畑一般的なお品物であれば、当社の過去10年以上に渡る買取実績のデータベースをもとに、オークションサイトやフリマサイトも参考にしながら相場を把握した上で状態やサイズなども考慮し、査定金額を算出します。しかしお持ち込みのお品物が中古市場にあまり出回っていないような場合は、そういったツールも参考にできません。
以前、作者名などはないのですが、ひと目でつくりの良さがわかる純銀製の鉄瓶(急須)をお持ち込み頂いたことがありました。さっそく当社のデータベースを調べましたが、滅多にくるようなお品物ではないので、同等の買い取りを行った履歴はなかったんです。つまり私がセカストで初めて純銀製の鉄瓶の価値を判断するバイヤーという訳です。
-ということは、その後セカストで同等のお品物がお持ち込みされた場合、全国のバイヤーが大畑さんの査定金額を参考にするということですね。
大畑はい、その通りです。そこでオークションサイトも調べてみると、作者などの表記がない場合で3~4万円程度で落札されているものが多くありました。しかし私は、オークションサイトでの純銀製の鉄瓶の落札相場は、安過ぎると感じたんです。大事なのは、このお品物が「セカストでいくらで売れるか」です。そこで販売価格をオークション落札相場の倍くらいに設定し、それにしっかりと見合う査定額でお買い取りさせて頂きました。そうしたら売場に展開した翌日の午前中には売れてしまったんです。
-では、大畑さんの読み通りだったわけですね。
大畑はい、ある程度は価値を正しく判断できたと思います。ただ、日常使いするような物でもなく、決して安い値段の物でもないのにその早さで売れてしまうということは、セカストではさらに高い価値をつけられる可能性もあった、ということでもあります。いずれにしろ、こうした各バイヤーの買取実績と販売実績が日々データとして蓄積され、セカストでの「相場」が生まれていくんです。
買取を上達させるには
一つ一つの査定をどれだけ意識高く行い、自分にフィードバックできるかが大切。
-ところで先ほどの「オークション落札相場の倍の価格設定」という判断は、経験からですか?
大畑経験からの勘もありますが、その純銀製の鉄瓶に関しては質感や重さなど店頭で実物を手にしてもらえれば、たとえ作者不明でもお客様には「それだけの価値があるモノ」だということがわかって頂けるに違いないという自信がありました。
買取に対する社内の教育制度もどんどん充実してきていますし、各種マニュアルの整備もかなり進んでいます。経験で補うのは、教育やマニュアルではどうしても学びきれない部分ですね。
-ズバリ、買取を上達させるコツはありますか?
大畑買取を上達させるには一つ一つの査定をどれだけ意識高く行い、自分にフィードバックできるかが大切です。算数ドリルも解いたら答え合わせをしないと意味がないですよね。査定も同じで、ただやっているだけでは成長しません。この査定の正解はいくらだったのか、答え合わせが重要です。自分が買い取った商品が、いつ売れたのかを毎回必ずチェックしてフィードバックすることが、買取を上達させるコツだと思います。
最後に、こんな質問を大畑さんに投げかけてみた。
ーあなたにとって、「リユース」とは?
「知らないということすら、知らない」に、出会わせてくれるもの
大畑リユースのバイヤーをしていると、「知らないということすら、知らない」ということに気付かせてくれるようなお品物に出会えます。世の中は価値のある物に溢れていて、セカストで働いていなければ知ることのなかったモノや情報、感性や考え方がたくさんあります。
日々様々な物に触れ、その存在を知り、価値を知ることができ、価値を知るために調べた情報は自身の新たな知識として蓄積されていきます。少し大げさに言えば、そのモノの向こうにある世界にも触れることができます。 そして、この蓄積された情報や知識は、コミュニケーションや意思決定の手助けをしてくれて、結果的に人生を豊かにしてくれるものだと私は思っています。
キング・オブ・バイヤー大畑さんが語った想いは、いわば買取における自身の「哲学」ともいえるでしょう。
セカストの買取は、全国の700以上の店舗で蓄積される膨大な売買データはもとより、社内の有識者による教育制度、そしてバイヤー自身が直接お品物に触れ身に付ける経験と感覚によって、日々ブラッシュアップされ続けています。
データベースだけに頼るのではなく、ましてや経験や感覚だけに頼ることもありません。その両方をいかしつつも、実はセカストの買取を支えているのは、それを担う各バイヤー達の「想い=哲学」なのではないでしょうか。